『伊予の山河』(平凡社ライブラリー)読了

 これも、町田国際版画美術館の、畦地梅太郎展からの流れで読んだ本。

伊予の山河 (平凡社ライブラリー)

伊予の山河 (平凡社ライブラリー)

 

 装幀…中垣信夫 初出は、愛媛新聞昭和35年6月30日から8月25日まで、計50回連載されたエッセー。1983年に緑の笛豆本の会から作品集の一部として上下巻で限定出版されたものを、別刷り図版を割愛して一冊にまとめたそうです。

おもに自動車旅で、ジープなのかな、未舗装の砂利道が多いです。山行記ではないです。

頁54、つがね(食用になる川ガニ)

下記Wikipediaによると、長崎県モクズガニをそう呼ぶそうですが、愛媛でもそう呼ぶのか、違う蟹を指すのか。

ja.wikipedia.org

頁155など、自家製焼酎、密造焼酎を「ホケ」と呼んでいます。吉田類の映画で、高知山間部での幼少期を回想する場面にも、焼酎と税務署は出るのですが、「ホケ」とは言ってなかった気がします。検索すると、どこかの生涯学習センターが出ました。もっと探せばいろいろあるかもしれません。

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頁164、「鬼北」という地名が登場し、その地名は知りませんでした。南予地方の一地域で、「鬼南」「鬼西」「鬼東」「鬼中央」はないようです。

ja.wikipedia.org

鬼怒川温泉のある旅館で、「鬼子汁」という郷土料理?を出すとホームーページにあったので、いちど食べてみたいと思いつつ果たせないでいることを思い出しました。もうそんなページないかな。

戦前の記憶と、高度経済成長期の愛媛県の記述が交錯する本ですが、画家の朴訥かつ個人的な文章と、抽象的なペン画とスケッチ画の連続ですので、感傷を共有出来る人に向けた本です。その辺、著者の山の絵や、山男の絵と同じ。伊丹十三とかのー先生とか、これ読んでどう思っただろう。以上