『パンツの面目 ふんどしの沽券』(ちくま文庫)これから読みます →読了

 読んだのは文庫本。カバーデザイン・イラスト 南伸坊 巻末に主な参考資料と「言い訳だらけのあとがき」解説 井上章一

パンツの面目ふんどしの沽券 (ちくま文庫)

パンツの面目ふんどしの沽券 (ちくま文庫)

 

米原万里 - Wikipedia

この人の本は、自叙伝風小説で、バレエ界のことなど読んでから、もういいかなあと思っていたのですが、さくっと読めるかなと思って手に取りました。

井上章一 - Wikipedia

パンツの面目ふんどしの沽券

パンツの面目ふんどしの沽券

 

 単行本は2005年同社刊。

 表紙のパンツに書かれた単語 "Tpycы" はまったく機械翻訳で出てこない言葉で、意味が分かりません。この単語を含んだタイトルで、アデイダスのジャージ着た男性が演説する動画は、76万回再生され、チャンネル登録者が222万人いて、何かの旗とかサイトの画面とか街頭、機動隊となんか対峙する人たちとか、燃えている車の白黒画像、現在の落ち着いた街の画像なんかが映ってました。

以下後報

【後報】

ラテン文字で出せる字を横着してラテン文字で出して、キリルの書体の"ы"と組み合わせただけだったので検索が反応しなかったことが分かりました。ぜんぶキリルで検索したら、すぐ出た。

Трусы — Википедия

f:id:stantsiya_iriya:20191017182946j:plain

上の動画検索で出た動画が下記。

www.youtube.com

www.youtube.com

(2019/10/17)

初出は「ちくま」連載だったそうで、上述のとおり男性用下着の歴史を、ぱっぱっと文献引用を絡めておもしろおかしく語ろうとしたそうで、しかし卵巣がんが既に進行していたので、遺作ともなってしまい、生前大慌てで原稿をまとめて出版出来たところまででよしとして、あとは後世の判断を待つ、という感じだそうです。ライフワークとか書いてますが、いやこれは違うでしょう、あなた、周防正行の奥さんとおぼしき人への気持ちとか、ほんとに整理ついたのでしょうかという(ついてるんでしょうけれど)

最初は、パンツは毎日かえるものという、かつての日本人の常識が海外では通用しないという話。そのかわし、女性だと、毎日ビデを使わないと不潔がられるとか、そんなの。私はパンツ毎日かえるというと、すぐ朝日裁判思い出すんですよね。その当時毎日パンツかえられない人なんていくらでもいたのに、贅沢だという先祖の声。

その次が、ロシア人は大のあと尻を拭かないのではないかという仮説。それを、シベリア抑留者の膨大な手記か回想録からたんねんにひとつひとつ該当する描写、記述を見つけて拾ってゆくのですが、ロシア語同時通訳で向こうに知り合いそれなりにいるんだから、インターネット時代の昨今、ラインメールで訊けばいいのにと思いました。ロシア人男性のトイレと言うと、モスクワ空港にトランジットで立ち寄ると、長かったりでかかったりする一本グソを、流さず平然と放置立ち去る神経のほうが思い出され、確かにそこに紙があったかどうか、記憶不鮮明です。シベリアの場合は、ウサギのフンのようなポロポロなので、尻につかないんだろうと推測されてたそうですが… 紙の配給がないという切実な背景もあったとか。紙がなければ水で拭けばいいじゃない、と私は思うのですが。

今でも思ってます。ウォッシュレットでなく、タイからトルコまでの水文化圏のように、金隠しのない和式便器で、ホースや、切ったペットボトルと左手でやるほうが、紙よりはるかに清潔だと。辛いもの食べてもカプサイシンぬぐえるし。話を戻すと、シベリアの監視兵らのロシア人は、パンツもはかず、ズボン直ばきだったとか。シャツの裾が長いのは、もともと下着兼用だったという説が正しいことを実証してたそうで。

頁76、そのロシアで長く流通していた下着は、中国製「友誼」印だったそうで。ダマンスキー島事件のあたりまで、輸入は続いていたそうです。

頁119、建築探偵藤森照信は、『天下無双の建築学入門』(ちくま新書)で、日本の田舎の女性の立ちションベンについてその観察を記してますが、そうなると私は、京都のくろうと女性が、大原からお百姓がもってきて辻々に置いたコエタゴに、ひょいと裾をまくりあげて立小便のおそそぬらさず、懐紙を口にくわえてさっと事後は後始末、の、松田道雄『花洛』を思い出します。

頁154、パンツが、眼鏡の英語がgrassesみたいにひとつなのに複数形なのと同様、ロシア語では一個でも複数なのの謎を追及して、もともとは片足一個のものを縫い合わせて一つにしてるから複数形なのではないか、ブラは最初から一個で、片ちち単位でないから、ひとつで単数形なのだろうとしています。そうなのか。

よど号事件の犯人と結婚して、拉致加害に関与した日本人女性の手記『懺悔します』(文春)によると、北傀には生理用品がないそうで、ぜんぜん関係ないけどエリカ・ジョング『飛ぶのが怖い』でも、タンパックスを切らして、男女兼用トイレしかなく、そこはフランスで、フランス語でドンドン叩いたら、男性がアメリカ人のフランス語で返答し、ぽたぽた垂れてくる中、英語で言い返すが、相手は頑強にアメリカ人のかたことフラ語で通してきて、我慢できないのでおまたをすりつけあわせながら下の階まで降りようとしたとかの会話を思い出します。

頁200、ゲーペーウーの初期の制服ずぼんは、シャロワールという、コサックダンスを踊る時などに着る、ブカブカの、アラジンみたいなパンツで、マグレブからインドまで広範囲に及ぶ、パキスタンアフガニスタンでシャルワールカミースと呼んでいるあのシャルワールのロシア語形だとか。

Шаровары — Википедия

サルワール・カミーズ - Wikipedia

頁264、襦袢の語源はポルトガル語の"gibao  "なんだとか。有気音無気音の違いはあれど、ジバオとチーバオも似てるよね、旗袍。と思ったら、ジバオはさらにアラビア語のジュッバから来てるんだとか。

襦袢 - Wikipedia

جبة (لباس) - ويكيبيديا

そんな感じでしょうか。ライフワーク、う~ん(^ω^)

(2019/10/22)