山崎洋子(サン)を読んでみようシリーズ これまでさん付けしてませんでしたが、近代ナリコをさん付けしたので、こちらもつけようかと。
読んだのは二刷。メインの、病床つきそい記は婦人公論。装画―村田ユリ/ブックデザイン―梅原光子
三十一歳で五十歳のダンナと結婚して、二十年後に癌でハズが、という話ですが、二人とも収入がジリ貧状態から、妻の乱歩賞受賞作家生活突入売れる作品作り邁進の陰で、だんはんが遊び人として髪結いの亭主化してゆく、という経緯がありますので、単純には読めないです。東京と横浜をタクシーで往来するとか、どんなバブル紳士やねんという。いつもサイフにいくら現金が入ってないとダメな性格の人だったとか、たくわえがほとんど溶かされていたとか、それでワイフも心身絶不調になるとか、なんという。
腰痛が実は腰の骨のガンだったそうで、で、初期の医師はMRIのその兆候を見逃していたとか。関係ない手術をした病院から手術代金約三十五万が返金される話(頁104)があり、新幹線代(グリーン車)やホテル代は払ってくれないと作者は激おこプ(古い)ですが、今なら事前に一筆書かせて、手術代も返さない気がします。
で、末期なので、抗がん剤の副作用もあってか、「便コネ}(頁138)したり、赤ちゃん返りします。
頁129
ある日のこと、フライド・チキンが食べたいというので持っていった。チキンを嚙みきる力がないから、小さく裂いて手に持たせる。彼はチキンの切れ端を不思議そうに見つめ、もう片方の手に持たされたおにぎりの中に差し込もうとする。それは、まだ歩けない赤ん坊が、ベビーベッドの中でおもちゃを持たされた時のしぐさにそっくりだった。
最後まで本人告知はしません。その辺は今と状況が違うと思います。先妻の娘さんと介護。ハズの人は、小林旭の渡り鳥シリーズの脚本書いた人だとか。
ハズの人の友人の名前の箇所に付箋つけてたのですが、よく見たら、ワイフの方の(野毛友だち?)友人だったりしたので、なんだかよく分からなくなって、ここに写さぬまま付箋取りました。
最後は散骨したとか。闘病記の前に、父親、母の再婚相手だったステップファーザーの父親の臨終も書いていて、おとなしい、普通の職人だったそうですが、生前から死後は検体と手続きしていて、そうなって、秘めた意思の強さがあったんじゃいかと思いました。
あと一冊、ホテルもの読んでから最新作、もしくは、女性伝記ものでフィッツジェラルドの奥さん読んでから最新作、と考えています。以上