「宮本から君へ」"Miyamoto" 劇場鑑賞

2019.tiff-jp.net

www.youtube.com

佐藤二朗って役者さん、ちゃんと認識したことなかったですけど、いい役者さんですね。大野課長だか部長役がいちばんこの映画の役者さんで光ってたと思います。次点が漫画家。愛知県出身で信州大学ってところも、素晴らしい。でもこのドコモのコマーシャルは、じゅん散歩のようにはかなく差し替えられるのだろうか。それとも、キム兄五歳の番組のように生き続けるのだろうか。

英題は東京国際映画祭から。英語なら、「君へ」とか言われなくて済むので、暑苦しいとお嘆きの貴兄も安心です。" A message or a rose or something like a something from Miyamoto to U"ウィキペディア見たんですが、嫌われてるナンバー1の記事がなんの雑誌掲載だったかも、ちゃんと書いてないんですね。伝説だけが一人歩きしたのか。マルコポーロです。文春の総合月刊誌。花田紀凱が編集長の。ホロコースト捏造の記事を載せたことで廃刊になった雑誌、という情報だけで後世から色眼鏡で見ると、右寄り雑誌のような印象をもたれるかもしれませんが、汎用の雑誌でした。「SPA!」が近いのか、マガジンハウスが近いのか、週プレが近いのか。そんな感じ。それの漫画特集で、青年層主体のアンケートで、好きな漫画一位はマスターキートン。嫌い一位がこれで、その解説を関川夏央が仕方なくふられて書いていました。だから関川夏央に訊けば詳細は分かる。新井英樹は映画監督だれそれのカット割の場面切換を好んで使っている、という分析をしてたので、隠されてるのかもしれません。大友克洋の『童夢』が再版されないのと同じ理由。マニトゥ。ちょうどその時連載は、印刷屋に余計な仕事をさせた上に土下座攻勢の時期だったかと。なので、この映画の原作パートの時期は、或る意味突き抜けてしまって、嫌いな人はもう無視してたと思います。個人的には、味の天安門でヤケ食い阻止されるくだりが好き。その後の銭湯は、別に絵人間に銭湯で会うことなど実際にはめずらしくもなんともなく、筋彫りや片方だけなど、途中で止めたり止まっていたり(金銭的な事情もあるでしょう)、堅気の職人になった人もたくさんいるので、気遣いの気持ちがふつうあって、いちいち自慢なんかしないと思います。というか上には上というか、彫ってないところを探すのが難しいような人って、ほんとうにいるので、そういう人がいるのに半端に自慢は出来ないと思います。おみそれとらぶりっこ。ファッションタトゥーは別のはなし。

宮本から君へ - Wikipedia

ウィキペディアを読むまで、宮本の会社は、ライバルのスカシたリーマンの会社がコクヨで、そのライバルだから、ナカバヤシだと勝手に思っていて、ナカバヤシって、阪僑ばっかなのかと思ってました。ほっしゃん。柄本明の息子。別の会社だそうで。でも今ではもう文房具事務用品会社はなべていっしょくたにアスクルに喰われてるのではないかと。花沢健吾がスピリッツで、『ボーイズオンザラン』という、宮本のアクを抜いて一般受けするよう小学館のかしこい編集が実験してみたみたいな漫画を描いていて、そっちが先にテレビドラマ化されてましたが、そっちだと、ライバルのスカシた営業成績トップリーマンは、突如不治の病に侵されて余命宣告されながらまだスカシてるけど、同情される存在という展開でした。小学館の編集こわいと思いました。

神保先輩役で小雪の宿六久しぶりに見ましたが、仕事がないせいか、オーラがあれで、さびしいねえと思いました。その後の、起業失敗倒産のくだりははぶかれてます。神保妻は、拓真の彼女と同系列の、海老蔵のなくなった奥さんのお姉さん路線だったと思うのですが、映画では、このふたりはどちらもタイプがちがう人が演じています。大地康雄が康子の父役だと思ったのですが、違った。宮本父を新井英樹が演じていることは知っていて、見る前は、長年の漫画家生活で、足腰が弱って筋肉がおとろえているイメージでしたが、全然そんなことはなく、調子よく今すぐにでも編集のひとりやふたりたらしこめそうなイメージでした。

www.youtube.com

上にも書きましたが、映画化されたパートは、嫌われる青年漫画一位時点より先の部分です。その後、『ひな』とか、これは安田顕で映画化されましたが『愛しのアイリーン』が読んでいてよく分からなかったです。「月はどっちに出ている」は実際の在日とフィリピーナのカップルを元にふくらませた映画ですが、アイリーンは、パチ屋に勤めていて、フィリピーナ、両親高齢同居とか、いろいろ素材はよかったのに、人物がぜんぶ暴走機関車のように怒りまくっていて、話にならなかった記憶があります。ソーリーとアポロジャイズのくだりとか、婚姻ヴィザを持ったフィリピーナをフィリピンパブに斡旋する女衒とか、取材もしてたろうに、活かし方が力み過ぎた。婚姻ヴィザは、中国人のマッサージになると、もう主客転倒なので、継続ウォッチしてれば違う漫画になったのに。それから日本で漫画読んでませんでしたが、ふと気がつくと『ワールドイズマイン』をヤンサンでやっていて、ヤンサンらしい漫画でしたが、連載は無事終了して、掲載誌がなくなった。それから、『シュガー』というか『リン』がまた、読者を悪い意味で裏切る漫画で、偽悪もたいがいにと思いました。『キーチ!』は、子どもが主人公だから受けるのか、それだったらなあと思いました。あと、数ある社会の問題の中で、食肉偽装に特にこだわる理由を書けと思いました。

そういう人なので、熱狂的なファンがいて、見に来てるんだなあと思いました。シネコンでも逃したし、大森でも逃したのですが、下高井戸で追いついて、スタンプたまったので次回無料です。そんなに下高井戸来ないのですが、小田急線の快速急行で下北で降りてエスカレーターで上のホームに上がると、下りの各駅停車がちょうどきて、それで豪徳寺で降りると世田谷線ですが、それはしないで下北沢から井の頭線京王線を乗り継ぐことが肝要です。

ハッピー&ラッキーがどうのこうのというレビューを事前に読んでいたので、その場面楽しみでしたが、だまされた。どこにオチくんが出てるのかまるで分からない。この映画は、なべて原作を貸し漫画屋かなんかで読んだ上でまだ見てやろうという人しか見るべきではないと思います。蒼井優は南キャンのだんなはんと、「あんたの女にして」ごっこしてるのかなあプゲラとか思いながら見るとかすべき。

で、漫画読んでる人が多い前提なのか、構成を、事後と事前のカットバック?で進めてくれたので、興味が途切れず見れます。テレビドラマは見てないのですが、いまだに、ココリコのミラクルタイプで、完全パクリの脚本ドラマをやってたのが忘れられません。あんなのぱくるのかと驚いた。何も知らせずに嫌われる漫画一位を映像化して流して、同じ評価になるのかの、社会実験だったかもしれない。裕木奈江という単語をふと思い浮かべましたが、しずちゃんの親友とは別の話で。布団投げるのは近所迷惑だと思います。あと大声はすべて近所迷惑。井浦新という役者さんは、厚木で叡電、否京福とかもやってたのですが、これが初めて見る感じかも知れません。この映画はすべてが宮本ワールドで、宮本の脳内物差しで動いてるので、衆人の面前で股間蹴り上げられた井浦新が、宮本を傷害罪で告訴して診断書持ってくるくらいの、宮本が思う世界と他者が思う世界の違いを描いてもよかった気がします。レビューで、暴力に弱い人の意見、暴力肯定は絶対許さないぜ俺ガンジー、みたいな人の意見があって、かわいそうにと思いました。北斗の拳でも観ればよかったのに。

コンドーム女に用意させるとか、宮本の物差しは、やっぱりなあ。役者さんは、電柱で逆立ちして腕立てとか出来るので、かっこいい?と思いました。信者すごい。たくまというキャラは、現役かと思ってまして、ラグビーワールドカップへの嫌がらせで同時期公開なのかと思ってましたが、引退して外交官目指すキャラだそうで、それは忘れてました。役者さんは頑張って肉体改造したそうですが、殺し屋イチ浅野忠信と同じくらい、役に負けてました。レスラーとかに出てもらえばよかったのに。あの映画の浅野忠信は、三池崇史のいやがらせだと思う。ワキをあんなにヤクザ映画のベテランに囲まれて、完全に喰われて、かすんでいた。

下高井戸は三十人以上お客さんがいて、やっぱ中央線沿線は遊民人口の厚さが、厚木とはちがうと思いました。それはどうしようもない。埋めようがない。にぎりつぶすところで笑い声が起きる前は、蒼井優の職場に乱入してのかけあいで笑いが起こってました。タクマに話を戻すと、あれが最強というのは、あの時代の宮本尺度で、今のように録画が普及してしまうと、タクマにやらせてその動画撮って後で告訴、という半グレ戦法があるので、そっちのほうが、親は一流企業の部課長だし、息子は外務省志望だしで、傷つくことをおそれてびびると思います。だから、暴対法の本職はともかく、敵としては、半グレを相手にしたほうが、遥かに宮本の勝率は下がると思いますので、製作途中でそれ考えちゃったら、映画完成出来なかったろうなと思います。いちおうスマホは出るので、現代という設定で考えると、そうなる。

缶ビールは全部架空の銘柄に見えました。壜は、サッポロなのかな。原作は函館のはずですが、映画は実家何処なのか分からなかった。

そんな映画でした。マルコポーロなあ。明大の米澤嘉博図書館や、京都烏丸通りの漫画博物館にはないのかしら。大宅壮一文庫ならそりゃあるでしょうが。あと黒海と。以上

【後報】

こないだ見た「ヒンディー・ミディアム」では、わざわざ字幕をつけて、この映画は動物虐待をしていない、あの鼠はCGである、と明記してましたが、この映画も、金魚に関して、何かしたらよかったと思います。

(2020/2/18)