『明日は、いずこの空の下』読了

 これも、ほかの方のブログで拝見して、読もうと思った本、だと思います。いわずとしれたバルサの生みの親の旅行エッセイ。この人のバルサは、メッシのバルサでなく、ライカールトファン・バステンフリット(のちに英語読みでグーリット)のバルサだと思います。時代的に。

明日は、いずこの空の下 (講談社文庫)

明日は、いずこの空の下 (講談社文庫)

 
明日は、いずこの空の下

明日は、いずこの空の下

 

 読んだのは単行本ですが、表紙は同じ。上橋薫という人の「グラナダの空と白い路」扉絵も同じ人で、「オンフルールの朝」文庫にも扉絵がありますかどうか。同じ上橋サンなので、本文に数多く登場する母君かと思ってましたが、父君だそうで。

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本文挿画は後藤知江という人。イラストの署名"CHIE GOTO"がなければ、後藤江と読んでました。装丁 田中久子 初出は小説現代2013年1月号~2014年8月号。イランを旅した時のことを書いた「世界の半分」のみ書き下ろしです。イランは、ほかにもう一ヶ所、頁181で、気化熱を利用して涼をとるバードギール(風採りの塔)を煙突のように立てた住居の小型版のような部屋を体験するくだりがあります。

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アボリジニの専門家がイランについて書いているというだけで、いい本だな~と思ってしまう。講談社の本なので、巻末広告はバルサではなく獣の奏者です。毎年母親とツアー旅行をするそうで、もう二十回くらいになるとか。帯状疱疹、骨折、八十越えてギリシャでロバに乗る、作者のホームであるオーストラリアではトカゲのタマゴを食べたり、カンガルーの真似をしたりする。面白い人だなと思って読みました。

童話作家というかファンタジー作家として大成した人なので、こどものころに読み込んだ児童文学もひょいひょい出します。ローズマリ・サトクリフは読んだことありません。ウィリアム・サトクリフはあるのですが。

辺境のオオカミ (岩波少年文庫)

辺境のオオカミ (岩波少年文庫)

 

 バルサの母はスコットランドのキルトが好きみたいで、鴨川でバグパイプ吹くオッサンとは関係ないみたいですが、下に下着をつけないとかそういうネタから、本業の文化人類学的考察からいうと、キルトの「スコットランドらしさ」は、イギリスとの関係性で「作られたもの」であるという名著があるよと紹介までしています。さすが特任教授。

創られた伝統 (文化人類学叢書)

創られた伝統 (文化人類学叢書)

  • 発売日: 1992/06/01
  • メディア: 単行本
 

特任教授は川村女子学園大学だそうで、それで安孫子なんだとか。女子高を出て女子大で教える。高田馬場の栄通りの先にあった気がしましたが、あれは富士短期大学か。川村は目白。ヒロミの嫁の松本伊代が出たと思ってましたが、松本伊代は戸坂女子短期大学でした。オールナイターズは出てないのか。検索したら長谷川京子山田邦子が出た。バルサ

頁104、人類が誕生してからの人類の歴史の上で、農耕が始まってから現在までは人類史の何パーセントかを生徒に尋ねると、二十パーセントと答える学生が多いが、実は一パーセントくらいで、人類史の九十九パーセントは狩猟採集社会の歴史だった、という個所の学生って、共学じゃないから、みんなJDなんだな~と改めて思ったり。読んでる時は、なんとなく、文化人類学なので、宮本常一や稗田礼次郎に憧れるキモオタ青年しかいないイメージなのですが、女の園バルサ

頁76。羊のしっぽは食べたことないのですが、ゆでて冷ました肉を食べるのは、回族の"手抓羊肉"と同じなので、理解出来ます。アンモニア臭は分からない。頁138、英聯ポだからよく考えると当たり前ですが、オーストラリアでもバンバンフィッシュアンドチップスが食べれるそうで、白身魚は、本場英国と異なり、鮫肉も多いとのこと。鮫もアンモニア臭ありますよね。そういう食のエッセーもあります。頁1601、オーストラリアのクーバーピディという街は地上が熱いので、地下が発達していて、地下ホテルで寝るととっても深く眠れるそうです。ちょっと試してみたい。

クーバーペディ - Wikipedia

バルサの旅行エッセイですが、とっても読みやすく、謙虚で、人柄がしのばれました。都留泰作の次回作はもう始まっているのでしょうか。以上