『トラが語る中国史 エコロジカル・ヒストリーの可能性』(ヒストリアhistoria005)再読

 苦し紛れ。装幀:菊地信義

 著者は、私としては講談社版中国の歴史の明の巻を担当した気鋭の東洋史学者という感じの人。

上田信 (歴史学者) - Wikipedia

人によっては、上のウィキペディアと何故かリンクしない下記をご存じかと。

731部隊細菌戦国家賠償請求訴訟 - Wikipedia

山川の「ヒストリア」シリーズは下記。『カヌーとビーヴァーの帝国』は読んだことあります。それも面白かった。山本直樹が使う"Wide open your beaver in it!"のビーバーではありませんでした。

検索結果 | 山川出版社

この本の少し後かな、陝西省南部で、ナショナルジオグラフィックかなんかの虎の写真の切り抜きを茂みに置いて、「貴重な華南虎発見!」(もしくはシベリアタイガー発見!)みたいなインチキニュースを流した農民が処罰されたはずですが、そのアモイトラの皮が福建省農村の東学廟に祀られてるのに出会った著者が、そこからコツコツ、中国の野史や物語に登場する虎、畏怖される虎、漢方薬になる虎、追われる虎、現在の保護情況、などを調べ書いた、虎にまつわるオーラルヒストリーの本です。

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华南虎 - 维基百科,自由的百科全书

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こういう本はたいがい面白いので、とりあえず読むと、作者の人柄も分かってよいと思います。

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私はトラである。中国の東南部の山間部に住むトラである。ヒトがたどった三千年にもわたる歴史を、私たち一族は見つめてきた。永い時間のなかでは、気候も変わり植生も変わる。野生動物とヒトとのかかわり方も、変わってきた。ヒトが私たちに畏れを抱いた時代もあった。ヒトによる開発が、私たちを追いつめていった時期もあった。トラとヒトとの関係を、エコロジカル・ヒストリーとして語っていこう。

私は今世紀初頭、タイレストランで働いていた時、チェンマイ在住の店主が、ミャンマーから密輸入して日本国内で買い手を見つけていたベンガルトラの立派な毛皮を見たことがあります。こういうものに終わりはない。以上