苦し紛れ。装幀:菊地信義
著者は、私としては講談社版中国の歴史の明の巻を担当した気鋭の東洋史学者という感じの人。
人によっては、上のウィキペディアと何故かリンクしない下記をご存じかと。
山川の「ヒストリア」シリーズは下記。『カヌーとビーヴァーの帝国』は読んだことあります。それも面白かった。山本直樹が使う"Wide open your beaver in it!"のビーバーではありませんでした。
この本の少し後かな、陝西省南部で、ナショナルジオグラフィックかなんかの虎の写真の切り抜きを茂みに置いて、「貴重な華南虎発見!」(もしくはシベリアタイガー発見!)みたいなインチキニュースを流した農民が処罰されたはずですが、そのアモイトラの皮が福建省農村の東学廟に祀られてるのに出会った著者が、そこからコツコツ、中国の野史や物語に登場する虎、畏怖される虎、漢方薬になる虎、追われる虎、現在の保護情況、などを調べ書いた、虎にまつわるオーラルヒストリーの本です。
こういう本はたいがい面白いので、とりあえず読むと、作者の人柄も分かってよいと思います。
私は今世紀初頭、タイレストランで働いていた時、チェンマイ在住の店主が、ミャンマーから密輸入して日本国内で買い手を見つけていたベンガルトラの立派な毛皮を見たことがあります。こういうものに終わりはない。以上