江國香織の『神様のボート』で、手のかからない娘さんが読んでいた本のうちの一冊。『隊商』としか書いてなかったのですが、人類第四の発明「検索」で解決させました。
25歳にならないうちに夭折した(訳者あとがきによると、医療事故?)童話作家の三冊の童話集を一冊にまとめたということで、だから厚いです。福音館のこのシリーズはたいがい厚いですが。
- Die Karawane (1825) 『隊商』
- Scheich von Alessandria und seine Sklaven(1826) 『アレッサンドリアの長老とその奴隷たち』
- Das Wirtshaus im Spessart (1827) 『シュペッサルトの森の宿屋』
T・ヴェーバーほか画 表紙彩画・装丁 辻村益朗 三年間に年一冊矢継ぎ早に出たこの本達には、「教養ある階級の家の子どもたちのためのおとぎ話年鑑」という題がついている(訳者による邦題)そうなので、それっぽい構文をドイツ語版ウィキペディアから探してつけました。あってますように。
訳者あとがきによると、ユダヤ人の話は、アレなので訳さなかったとのことです。また、主人公の故郷が途中で変わってしまうスカタンな話は、アレッポでなく、バルソラに統一したとあります。アレッポならシリアですぐ分かるのですが、バルソラが分かりませんでした。セビージャにそういう地名があるとトラベルサイトにあるのですが、綴りすら出ない。バルソラでなく、バスラなのかな。
ほかにも、「フランク」ということばをフランクに使っているので、ときどき「フランス」と訳したそうです。ロメロ・フランクは平塚出身だが帰らない。
頁37、袋に入った猫を買う、は検索しました。"die Katze im Sack kaufen" アラビア情緒豊かな童話のせりふなのですが、ドイツのことわざだそうです。
【今週のドイツ語】
— ドイツ大使館🇩🇪 (@GermanyinJapan) 2018年9月28日
ドイツで最も人気のあるペットは猫🐈。ドイツ語で ”袋に入った猫を買う”と言うと、よく確認せずに買う、という意味になります。昔の市場の商人の悪知恵からきている表現なんです。詳しくはコチラから → https://t.co/HeBI179rz4 pic.twitter.com/Bdp1F312Up
頁569、スコットランドの話なのに登場人物の名前がヴィルムとかカスパルという話に、ピクト人が登場します。サトクリフの、ローマン・ブリテン小説にも出てきたなと。
ハールン・アッラシードが出てくる話がありますが、サラディンとごっちゃにして読んでました。時代も何も別人だった。
あと、ナポレオンも出ますが、平民伍長を強調させすぎてると思います。
これがおそろしいオランダ人ミヒェル。心臓を担保にとります。
Das Wirtshaus im Spessart – Wikipedia
stantsiya-iriya.hatenablog.com
江國香織小説で娘さんが読むのは『隊商』だけなので、ミヒェルとかは読んでないと思います。義賊オルバサンかっこいい。そんで、冷たい心臓には、けなげな幼な妻が出ます。
裏表紙
この女神がなんだったか思い出せません。トゥーシューズみたいの履いてますが、ベリーダンサーではないと思います。
本を開くと黒い森。以上