画家 小沢さかえ 装幀 名久井直子
タイトルを見ただけで、トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の冬』『ムーミン谷の11月』を思い浮かべてたのですが、当たらずとも遠からずといった感じ。主人公が冬眠するいきものだと前巻に書いてあった瞬間から、冬ごもりの支度秘話は、出るであろうと。スナフキンはそのあいだ旅行している設定なので、本作のヒト型ドワーフもまた、その時期は南方へ渡ります。
それでまあ、前作読んだ時は、物語の語り手である「わたし」ウタドリさんが女性であるとは夢にも思いませんでした。寮制の男子校の卒業生だというので、男性とばかり思っていた。男女別学だが女子部もあったそうで。出てくる教え子は男の子ばかりです。
人間世界の物語とヤービたちの物語が並行して走り、例の虚言癖の子の母と子の相克と、寄宿制の学校の子の入院中の母親との物語が重なるという仕立てです。萩尾望都ではないけれど、母と娘の物語は形を変えて常に。
前巻より、話を読み聞かせてあげる子が成長したからか、はたまたシリーズ一作目ではないからか、きらめきという点では前巻に一歩譲ると思いました。物思いに耽る秋だし、それでよいのだ、という話。
つづくそうです。以上