『大奥 18 』"oooku"(ヤングアニマルコミックス)読了

初出はメロディの2019年10・12月号 2020年2・4月号 デザイン 湯浅レイ子 arD.inc  時代考証 大石学(学芸大副学長)大石こずえ 正木理恵(学芸大修士修了)野本禎司(東北大東北アジア研究センター助教)←New! 英語タイトルは表紙カバー折から。

大奥 18 (ヤングアニマルコミックス)

大奥 18 (ヤングアニマルコミックス)

 

 表紙は大奥総取締瀧山と、その身の回りの世話をする「部屋子」という大奥の肩書の少年。商家の出で、火事で両親を失っているとのこと。この絵は、本編頁175のエピソードとたぶん関連。開けて中表紙は、皇女和宮と、多分「御中臈」という役職の黒木という青年。中澤バージョンが見たかった人の数を、インターネットのファンサイトなどでカウントしているといいなあと思いました。

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「時勢が代われば それにふさわしい者が、国を治めれば良い。」 「大奥」ついにラスト2巻で完結!  徳川が政の中心だった260年に終焉の兆しが…!  白泉社 よしながふみの男女逆転SF大河ロマン 

帯は背表紙にかかる部分に装幀者の仕事あり。

参考文献

「徳川の夫人たち」「続 徳川の夫人たち」吉屋信子朝日文庫)「大奥婦女記」松本清張講談社文庫)「江戸城大奥列伝」海音寺潮五郎講談社)「徳川将軍家十五代のカルテ」篠田達明(新潮新書)「徳川将軍家の結婚」山本博文(文春新書)「絵で見る江戸の女たち」原田伴彦・遠藤武百瀬明治柏書房)「江戸城大奥100話」安西篤子監修(立風書房)「大奥の謎」邦光史郎(光文社・知恵の森文庫)「江戸城村井益男中公新書)「江戸城・大奥の秘密」安藤優一郎(文春新書)「江戸奥女中物語」畑尚子(講談社現代新書)「大奥の奥」鈴木由紀子(新潮新書)「大奥よろず草紙」由良弥生原書房)「江戸城『大奥』の謎」中江克己(KKベストセラーズ)「『江戸』を楽しむ」今野信雄(朝日文庫)「標準日本史年表」児玉幸多編(吉川弘文館)「江戸東京年表」吉原健一郎・大濱徹也(小学館)別冊歴史読本徳川将軍家歴史大事典」「徳川将軍家人物系譜総覧」(新人物往来社)「維新侠艶録」井筒月翁(中公文庫)「骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと」鈴木尚東京大学出版会)「江戸の性風俗氏家幹人講談社現代新書)「徳川『大奥』事典」編/竹内誠、深井雅海、松尾美恵子(東京堂出版)「2時間でわかる 幕末・維新の日本史」編/歴史の謎を探る会(河出書房新社)「歴史の読み解き方」磯田道史朝日新書)「新しい江戸時代が見えてくる」大石学(吉川弘文館)「幕末の将軍」久住昌也(講談社選書メチエ勝海舟 歴史を動かす交渉力」山岡淳一郎(草思社)←New!

 次巻予告にこれまでのアベック(の代表)がズラリ並んでいるのですが、私は、半沢直樹の家定や天璋院篤姫からぱらぱら読み出したので、そろそろ最初の家光や吉宗を読んでみたいなあと思います。家光が異様に少女漫画。その後に、出版不況を受けて、『きのう何食べた?』の広告(映画化決定)があるのですが、私は昔連載開始からしばらく読んでいて、その後読んでなかったので、いつの間にか、美容師の相方がドラマの役者に風貌を侵食されていると思いました。

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頁138と頁154の背景処理。左上を空白にする意味を知りたいと思います。和宮の七十何ページかもこんなだった。たんに、池田理代子だとキラキラのきらめきと縦長コマの連続で逃げるところを、吉永流に処理するとこんなんでっせ、ということなのか。

 坂本龍馬が後ろ姿だけ出ますが、赤色疱瘡はもう終焉したので、竜馬は♂です。本巻は、家茂もさることながら、皇女和宮のやらしい在所の京女ぶりを堪能出来るのがよいです。洛外のヤンキー京女とか、進学で京都暮らしのバイトとか(水商売含む)ばっかし、現実の京都では会えないので、皇女和宮やらしいやらしい、でもちょっとかわいそ、と読むことが出来るのはよいと思いました。養子のぼんは、紀州徳川から来てるということなので、紀州だったら花びら餅食べたことありそうなのにと思いました。そういうもんでもないのかな。

勝海舟もガンバってるのですが、赤色疱瘡がずっと続いていて、勝も女人だったらなァ…、と思いました。赤色疱瘡全盛期の巻をやっぱり読んでみないといけないと思いました。司馬江漢とか高山彦九郎が女性で登場してたら、どんなんだと思いますか。『風雲児たち』のあのキャラが♀になってこうひねってああひねって、というのを見れたら楽しい。

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今年のお正月に、奇跡的に京都に行って食べさせてもろた花びら餅。ほんと、その後の展開考えても奇蹟かと。

以上