『夫婦が死と向きあうとき』(文春文庫)読了

 サバイ・グライとか、カチン語を喋ってた著者が、日米地位協定などにのめりこむようになる途上で書いていた日本人の生死を巡るルポルタージュのうち、現代書館の『生と死をめぐる旅へ』は近隣図書館に蔵書がなかったので、こちらを借りました。

夫婦が死と向きあうとき (文春文庫)

夫婦が死と向きあうとき (文春文庫)

  • 作者:吉田 敏浩
  • 発売日: 2005/06/10
  • メディア: 文庫
 

 イラスト・水上多摩江 

デザイン・坂田政則 

単行本は2002年6月同社刊。

初出は、週刊誌でないほうの文藝春秋の1998年4月号「夫婦が死をと向きあうとき」、1996年6月号「自然葬のすすめ」1997円3月号「『歩く』と『癒す』の不思議な関係」1999年4月号「私たちを『植物人間』と呼ばないで」2000年4月号「四国遍路、自殺者への祈り」などなど。それを大幅加筆修正したとのこと。

主要参考文献と、登場する家族会や支援団体の連絡先一覧は巻末。

解説は田原総一朗。自身の、先だった妻の介護の思い出とオーバーラップさせつつ、作者はなぜそんなしつこく関係者にあたったりすることに執念を燃やすのかと疑問を呈しています。ふつうこれくらいはやると思うのですが、田原家は違うのでしょうか。

第一章「ふたりは寄り添って死んだ」第二章「老老介護と無理心中」第三章「意識障害を超えて」第四章「伴侶に先立たれて」第五章「歩く、同行二人」第六章「生き死にの海のかなたへ」だいたいはタイトルがそのまんま内容で、最後の章だけ分かりにくいです。散骨と島尾敏雄・ミホ夫妻の話。

島尾ミホの話を読むと、作者は評伝書くのもうまいんだなと思いました。うまいライターはなにやらしてもうまいということでしょうか。その前の、合同自然葬は、ちょっとどきっとしました。いち遺族が船をチャーターするとコスト高だから、数家族でシェアするという内容は分かりましたが、混ぜた遺灰を一気に海面に投下する場面を思い浮かべてしまいました。遺灰を混ぜたりはしてないそうで。

DINKSのその後というか、お子さんのいない夫婦が圧倒的に多いです。そうなる率が高くなるのか。

頁122

「念のため申しておきますと、よく誤解されるのですが、私たちの会はいわゆる自助グループと呼ばれるものではありません。あくまで心理学的に実証された理論にもとづくグループ・カウンセリングを通じて、参加した人たちに元気になっていただくための会なんです」

 病院の外来ミーティングみたいなものでしょうか。

ビルマの夫婦の話も挿入されます。う~む、しかし今は男性の25%がこの位置(連れ合いがいてどうのこうの)にすら到達出来てないという。以上