『こわれない風景』読了

 デザイン 黒田益朗 レイアウト 川口久美子 プリンティング・ディレクター 加藤 剛直(D.N.P)

こわれない風景

こわれない風景

  • 作者:吉村 和敏
  • 発売日: 2006/06/21
  • メディア: 単行本
 

 9月9日に厚木に行った時、作者が2004年に出した『郷愁の光』という本の表紙を見て、読んでみようと思い、その本は別の図書館にないかったので、これを借りました。日本に、自然でなく都市でもないカナダの風景をずっと撮っている写真家の人がいるとは初めて知りました。図書館の人はやはり、本を知ってる。名前が、先日まで続けて読んだ、吉田敏浩に似てるのも読んだ理由です。

吉村和敏 - Wikipedia

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厚木の図書館で見た本。内容的には、風力発電の巨大風車群の音もほめてしまうなど、あばたもえくぼでカナダほめすぎちゃうかみたいな点がなきにしもあらずな写真集で、しかし、毎年行ってるのにボロクソけちょんけちょんにけなしていては、「お前何様やねん」になるので、これでいいと思います。カナダと日本の夜景のちがいとして、光源が水銀灯蛍光灯でなくオレンジ色の高圧ナトリウム灯で、各建造物に照明デザイナーによるライトアップ計算の有無が入っているかもある、と頁92に書いている個所など、少なくとも2020を控える(一年執行猶予)東京では本書出版時点より多少進んだと思います。でも本書に出てくるのは地方都市ばかりなので、そこはいろいろだと思います。作者は松本と塩尻のあいだ、アルウィンのあたりかな、その辺出身で、帰省のたびに地方郊外の風景の均一化を実感してるそうなので(本書の2006年時点)それで、オールドタウンを保存するカナダをほめてる面もあるかと。日本のコロナまでのインバウンドをどう評価してるか、作者のココログを見に行けば書いてあるかもしれません。まだ行ってないです。

ベッドアンドブレックファストの経営者高齢化による廃業を、経営引継ぎを条件として売りに出すことで回避しようとする手立てなど、読んでいて、そんなにうまくいくものかなと思いつつ、しかしまあがんばってけさいと思いました。日本でもコロナ前までは民泊が一般化しつつありましたが、そこは私はよく知らず、中国の旅社が、以前は子離れした退職者が空き部屋活用で始める例が多かったことは知っています。

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カナダでは洗濯物は物干しざおを使わず、洗濯紐を滑車でぐるぐる回して、人は動かず洗濯物をかけたり外したりするそうです。干す前に夜のあいだに降下して沈着した埃を拭くのがヒモだとイマイチな気がするのですが、雨が降ってもとりこまない(もともと濡れてるものをどうしてとりこむの? だそうです)ので、たぶんヒモも拭かないんだろうと。頁34。一面の雪景色にひるがえる洗濯物のシュールな写真があります。凍らないのか。

www.youtube.com

洗濯紐をグーグルで英訳すると、"Laundry string"でしたが、検索で出るのは"clothesline"です。滑車がプレー。

いい悪いでなく、カナダの写真を見るだけで楽しいと思いました。人が被写体だと、時代の変遷で、かつて撮ったものでも、今は載せるのに(特にウェブ)いろいろ細かくなってますが、人以外だと、古びず、今でも使えるという好例だと思います。一ヶ所だけ、アーミッシュみたいな、撮っちゃいけない人たちの馬車を、後ろから撮って、使ってまいましたがありますが、これがギリかと。以上