『泡日』"AWABI" Kan Takahama これから読みます ⇒読了

https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007718780-00

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ホニャコムに注文したのが九月十三日。品切れ連絡が二十七日。

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Honya Club.com をご利用頂きまして、誠にありがとうございます。
ご注文いただきました下記商品につきましては
商品確保が出来なかったため、ご注文を「取り消し」とさせて頂きます。
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【ご注文明細】
 1.泡日/高浜寛/有学書林
  価格:¥1,210 x 数量:1 = 合計:¥1,210
【出荷中止理由】品切


【ご注文金額】
 注文金額合計:¥1,210
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ご注文を頂きながら、ご希望商品をお届けすることができず誠に申し訳ございません。
何卒、ご了承いただきますようお願い申し上げます。

 アマゾンにも紀伊国屋にも新刊在庫がないのに、ホニャコムならなんとかなるのかなあ、と思いつつ注文したので、結局なかったという結果についても、しょうがないなと思うだけですが、出版社名を存じ上げず、ウェブでもぜんぜん出てきませんので、そこは不思議です。

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藤沢の書店に在庫があることは分かっていたのですが、ホニャコムに頼んでしまったので、ホニャコム品切れ連絡を待って、藤沢の書店に電話を入れ、まだ在庫がありましたので、買いました。近隣の系列店舗まで配送してもらおうかとも思ったのですが、えいやで夜外出して買ってきました。夜の電車って、いまこんなんなんですね。こんなんとだけ書いても、1mmも伝わりませんが。

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フジサワ名店ビルの吹き抜けのナゾの空間も、一階のミスドもそのままで、そこはほっとしました。中野ブロードウェイの出来そこないみたいな空間ですが、店側も高齢化もあってか、閉店時間が早いままで、まあやむなしというか、夜のクラスタ感染のとばっちり喰らったらかなん、みたいなカタギ層の空気を感じました。和菓子のアンの新刊案内の栞と、名店ビルのチラシもらえて、よかったです。夕飯食べて帰ろうかとも思いましたが、月曜休業だったりで、そのままとんぼ帰りしました。

時代劇チャンネルと同じようなガロ系の棚でしたが、肝心のガロがああいうことですので、昔の単行本が並んでいるわけもなく(内田春菊の『闇のまにまに』とか蛭子能収の『私は何も考えない』とか根本敬とか)内田春菊の新刊はありました。あと大友のAKIRAとか、ナントカメシとか。ナウシカは、あったかもしれないが、覚えてません。お金がないのか、中央線沿線の展示即売会でも見かける丸尾末広だけが、ちびまる子に名前の出る漫画家で唯一単行本が並んでいた。いや、花輪和一小学館の単行本があったかな。そういうところに、かろうじてこの本も残っていたです。あと、坊ちゃんの時代が何冊かあった。谷口ジローでも、関川夏央原作を残してるのかと。

それで、チョン・セランの本と併せて買って帰りました。海外文学の近くの写真集コーナーに長濱ねるがどーんとあって、五島出身の店員でもいるのかと思いました。

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高浜寛の描写力には嫉妬すら感じます。 この漫画泣きます -古屋兎丸- 描き下ろし表題作74枚に加え、短編5作品を収録!有学書林 

上が帯。ウェブで表紙だけ見ていると分かりませんが、裏表紙まで見ると、田辺のつるかなとも思えますし、そうすると、この眉毛の太さは、発表当時の現在進行形でなく、すでにその時点で過去のものとなっていたバブル期などの回想なのかと分かります。コサージュという単語を唐突に思い出してみたり。額のうぶ毛を抜いてたらはえぎわが後退する女性とか、開くとすぐに出て来るのですが、こういうつるっつるのオデコなのにシワが出るくらい喜怒哀楽が激しい女性とか、そういうあるあるを連想し出します。

表紙は白いのですが、まんが本編はワクをぜんぶ黒くしているので、それを紙版で読むと想定外の事態として、インクのにおいがよりキツいです。

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帯裏。全話英題もしくは仏題があるのかとか、あとでよく見ます。

2004年初版で、買ったのは2009年5月30日の二刷。装幀 金城達哉(凛・凛)あとがきはありませんが、かわりのブログのような日記がついてます。

作者の、まだ飲んでた時期のまんがも読もうと思って買いました。以下後報

【後報】

表紙の作品(表題作)は、ぜんぜん田辺のつるではありませんでした。しかし、なぜロングでオデコ出した女性をふたり並べて出したんだろう。己の描き分け力に挑戦したのか。

其の表題作の頁50、なつかしい、と思ったら、私がテレビ観てないだけで、ふつうに今でも出ておられる方でした。

MEGUMI - Wikipedia

田中みな実、苦手なタイプの女はMEGUMI!?「キレイだからこそ嫌なんですよ」― スポニチ Sponichi Annex 芸能

(2020/9/30)

【後報】

(1)

'AWABI' / Kan Takahama

Setting : 2003 November, Tsukuba ( Ibaraki ) 

Special thanks : Staff of TSUKUBA-EN (thats homepage-adress ) 

この話はタイトルページにこういうキャプションがついていて、舞台設定が西暦何年のどの季節か、場所はだいたいどこか、分かるようになっています。ラストページには脱稿の日付、2004. 1. 20 With Love! 主人公が職場無断欠勤5日目で、泥酔ブラックアウトで沼に倒れているところを発見され、主人公に似た髪形の中年婦人は巨乳で、それとは関係なく妻に浮気されている老人養護施設院長のズリネタが携帯におさめられた根津甚八、否、水谷豊、否、古谷一行の息子のヨメで、主人公と施設職員たちはそれまで何の面識もなかったはずなのに頁28から「えっちゃん」とくだけた呼び方をされだし、最後まで「えっちゃん」で、頁30、えっちゃんの彼氏はえっちゃんの親友の法的にもベターハーフな人で、要するに不倫で、中年婦人も不倫で、悦ちゃんの彼氏は頁73で、幼少時母が家出して、父親もアル中で一週間家に帰らなかったことがあるとEメールで告白しています。そんな話。

この話だけ描き下ろしで、しかし、巻末に、作者のホームページの日記のうち、制作に関連した部分の抜粋がこれでもかと収録されているうちの泡日に関する部分を読むと、わりと自信を持って制作に取り組んでいたようで、最初からこうやって単行本で出すアテがあったのかなと思いました。

表題作から、お酒に関するジャブが二発も繰り出されていたので、その点はまんぞくですが、それにしても表題の意味が分からない。「あわび」って、山梨の煮貝を指してるんだろうか。それとも、ボリス・ヴィアンのうたかたの日々をイメージしたんだろか。

うたかたの日々

うたかたの日々

 
うたかたの日々 (光文社古典新訳文庫)
 
日々の泡(新潮文庫)

日々の泡(新潮文庫)

 

日々の泡 - Wikipedia

 しかし私は最初からこのタイトルを北京語でパオリーと読んでしまい、日本人をナンパする話かと思ってました。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

baike.baidu.com

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

泡妞必殺技: 泡學書籍 (Traditional Chinese Edition)
 

 こういう方向を突き進むと、ナンパ塾みたいなおかしなことになりかねな… はともかく、パオリーと読む意味がないのは残念閔子騫でした。

koizumipress.com

 (2)

『ファニーフェイス・ファミリー』初出は「ガロ」(青林堂)02年4月号

'Fanny face's family'

by Kan Takahama

2002 Spring

Setting : 1986

Reference : Highschool Kimengumi 

ガロ系の鉄板、少年少女時代を回想する話。非常に彫りが深く、整った顔立ちの美男美女の小学生です。こういうところに作者の特徴がある気瓦斯。それで奇面組とは。美男美女過ぎて、頁98の顔のアップがどっちか分かりません。それによってラストの印象も変わるというのに。少年少女時代に性のめざめで町田ひらくになるのかと思ったら、なりませんでした。

(3)

『我らの世代が生きのびる道を教えよ!』初出は「ガロ」(青林堂)02年7月号

'Tell me how to survive!' 

Kan Takahama 2002 

Setting : 2001.9.11 - 2002 May 

Guest : Frederic Boilet (homepage-adress )

漫画としての実験的題材も普遍的テーマも既に描き尽くされたのちの世代は何を語ればよいのか、という意味を込めたタイトルと、9.11 と、頁106、イライラして泣いたり情緒不安定で、一度カウンセリング行ってみたらと友人に言われるマンガ家。9.11の後を詳しく描かないが、代わりに黒人が出ます。だからなんだろう。

(4)

『赤い実』 初出は「B.A.M」(Beaux-arts magazine) 03年 第9号

'La Baie Rouge' 

初出があちらの雑誌なので、左から右に読ませます。眼鏡彼氏。

(5)

『The Shock of Recognition』[気付きの衝撃] 初出は「The Comics Journal writter special」(The Comics Journal)04年

アバラの浮き出た裸体にオモシロスマイル下着。買い物依存。カウンセリング。いかにも普通人のように描かれている彼氏の、主人公への寄り添い方がふと気になったりもしました。さいごのコマ、漫画の神様は著作権法で保護されているためこの場ではお見せ出来ませんってアンタ、江口寿史の漫画では出してた気がしますよ。そういうのも含めて、先行世代にすべて描き尽された感があって、(3)『我らの世代が生きのびる道を教えよ!』になるのかも。就職氷河期世代っぽいし。

(6) 

「過ぎ去った恋と少量の飲酒について」 初出は「ガロ」(青林堂)02年10月号

これもガロ系の鉄板、オジーチャンオバーチャンの思ひ出。135ml缶ビールの老人晩酌はよく聞く話。それと若い世代の耽溺はまた別の話。柳沢きみお『妻をめとらば』の主人公証券マンが深夜残業を終えて帰宅した後何本も空けてしまうビールがこの容量でしたが、作者は特命係長だし大市民なのでだいじょうぶだった。

この後にホームページの日記の抜粋「山日記」があって、イチからあとがきの文章考えるのと違って、既に用意された電子活字をただ並べるだけなので、なんぼでも出来まっせという感じで、おそろしく長いです。そんなに読みたくないようという人には、作者への思いやりを持てよ、と言いたい。言いませんが。マックで作画してるのが分かったので、よかったです。

いろいろありながら生きてきたのが分かりました。日本の北京と揶揄される大量自転車通勤通学風景で知られる、日本においてはかなり人工的に形成されたといえる学園都市つくばの風景をもっと見たいです。が、今は長崎だそうなので、長崎の風景が見れるといいなと思います。Vファーレンの試合とか、じゃぱねっとたかたとか、トルコライスとか。以上

(2020/10/4)