『ニュクスの角灯ランタン 1 』"Nyx's Lantern" Kan Takahama LEED Publishing Co.Ltd. 読了

 一巻だけ入荷してなかったのが、遅れて入荷されて、書店に受取りに行ってなかったのですが、今日えいやで取りに行って、イートインのある書店併設のコンビニでしたので、その場でコーヒー飲みもって読んでまいました。

ニュクスの角灯 (1) (SPコミックス)

ニュクスの角灯 (1) (SPコミックス)

 

 [装幀]坂根 舞(井上則人デザイン事務所)初出は月刊コミック乱 2015年5月号~11月号。読んだのは2020年5月8日の5刷。五月に増刷したものが、九月の注文で別出荷になる書店流通のふしぎ。

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[B!] マチカフェシングルオリジンシリーズ「ケニア サファリマウンテン」が登場!|ローソン研究所

コンビニコーヒーで三百円もする高価なコーヒーで読みました。お茶うけは、下記、「もっちりとしたごまふかし こしあん

四巻になると根詰めた話になってきて、目がちかちかするというか、読むのがあれで、進んでないかったのですが、1巻は開頭でもの皆あらたでフレッシュなので、さくさく読めました。連載開始にあたって周到に準備したので、頁13のヒロインの顔のように、どこかで見た、好ましい画風も出ますし、第二話の冒頭にはチェシャ猫も出ます。バンダナのオッサンが、荒川宏ふうの絵に見えてなりません。

主人公はプレコグニション、予知能力というか、千里眼の持主なのですが、その設定をどのように膨らますか、この時点ではまだそうっと大事に水をやりながら育てているのだと思いました。これがまさか楳図かずおの『鬼姫』のようにグシャッと潰す展開になるとは。まだ三巻までしか読んでないので、主人公たちの危機に際して、もう一回ひねるのかもしれませんが(そしてア・バオア・クー脱出に成功する)作者はまだこの段階では非情ではなく、この後素を出して余裕を消すのかもしれないと思いました。

 コラム第一回で、作者がミリ飯にハマっているとあり、2015年でハマるのは、おそいか大丈夫かと「ミリメシ ブーム いつ」で検索しますと、2008年の記事やブログが出ますので、2015年は遅いとジャッジすることにしました。まあ、数年越しでハマってて飽きてないのかもしれなのですが。このコラムは二回と三回、次も見てね!的なお願い文章があり、連載アンケートの結果がよくなかったのかと思いましたが、四回目からは消えています。逆効果だよと誰かにアドヴァイスされたか。第四回の、トラウマになる動画検索は、しません。さっき見ていたNHK「所さん大変ですよ」では、今の若者はネタバレを好む、チートで投了をよしとする傾向があり、いわく時間をムダにしたくない、先行き不安感将来に対する漠然とした不安恐怖心が強い世代なので、ドキドキワクワクを求めないとあり、私も時を超えて彼らに同調しようと思います。

頁50、トルコはトルココーヒーかと思ってました。確かにチャイハネでは紅茶ですけれど。今読んでるミャンマーの小説は、街であくせく稼ぐ連中が、露店で熱い紅茶を一杯やるのが楽しみみたいな箇所があり、さすが旧英領でアッサムの隣と思いました。

頁60「つのんぼ草履」は、検索で事典も画像も出ないので、かなりレアなのだろうと思いました。

頁62、ローマ字を覚えるのと、英語の発音を覚えるのとでは多少距離があると思うので、"sewing machine"を「セウィングマチネ」と読まず、「ソーイングマシン」といきなり読めてしまうのは大変なことだと思いました。

頁109の顔もどこかで見た気瓦斯。探求熱心。思うのですが、この人は、主人公のホレる男性を、顔はいいけどだめんずみたいに描くことに抵抗がないのかもしれない。というか、そっちに行きたい人なのかも。私生活できちんとパートナーのおられる方なのであまりやいやいはよくないですが、どうもよかにせ、ちゅらかーぎーの秘めたる弱さ、よろめきの美学を描きたいのではないかと。なら耽美BL書けばよいのかもしれなかったのですが、そっちはちがうのでしょう。自分がもし少年だったらと考えてBLを作るタイプではないのだろうと。

頁130、支那語。この当時だと、なんだろう。からことば。唐語。清語とは言わないだろうなあ。

逆に、眼鏡女子など、きれいをあえて隠す系の女性造型に熱心な気もします。この巻のクライマックスは幻灯機で、世紀末、明るい新世紀新ミレニアムへの希望に満ちている世界が、どのように暗転するのかしないのか、また続きを読むことにします。

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19世紀末、世界がいちばん素敵だった頃のお話。 第24回手塚治虫文化賞マンガ大賞」受賞!! 手塚治虫文化賞手塚プロダクション 主催:朝日新聞社  第21回 文化庁メディア芸術祭マンガ部門「優秀賞」受賞  各賞受賞、続々重版出来の明治アンティーク浪漫!!

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帯をとるとこんな絵。

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1878年明治11年)――動乱の幕末は遠ざかり、長崎では海外貿易で莫大な利益を得る商人が多く現れはじめていた。 西南戦争で親を亡くした少女・美世みよは奉公先を求めて鍛冶屋町の道具屋「蛮」のドアを叩くが、そこで彼女を待っていたのは、店主・小浦百年こうらももどしがパリ万博で仕入れてきた最先端の品々と、それらに宿るベルエポックの興奮と喧騒だった――  フランスをはじめとする海外でいち早く、そして圧倒的に支持されてきた高浜寛、待望の初長編作! アンティークの基礎知識も学べる図解ページ Cabinet of Takahama完全収録!!

帯裏 海外評価は、セルフプロデュースの成果かもしれないので、なんともというかなんというか。
以上

【後報】

骨格から民族ごとの外見の特徴を云々するくだりは、19世紀が舞台なので、当時を鑑みてってことで仕方ないのですが、青い目の劣性遺伝が伝わったのはなんでだろうと思いました。

stantsiya-iriya.hatenablog.com

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(2020/10/3)