『大はずれ殺人事件』"THE WRONG MURDER" (ハヤカワ文庫)読了

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ようやくのおもいでジェークがヘレンと結婚したパーティの席上、社交界の花形、モーナが“絶対つかまらない方法で人を殺してみせる”と公言した。よせばいいのにジェークはその賭けにのった――なにしろ、彼女が失敗したらナイト・クラブがそっくり手に入るのだ! そして翌日、群衆の中で一人の男が殺された……弁護士ジョン・J・マローンとジェーク、ヘレンのトリオが織りなす第一級のユーモア・ミステリ。改訳決定版

https://www.suntory.co.jp/whisky/museum/enter/mystery/novel/img/501.jpgWHISKY MUSEUM ウイスキーと文化 ウイスキーとミステリーの世界 ポップ編 『大はずれ殺人事件』

サントリー公式に本書が紹介されてるのですが、バイエル公式に以前『アスピリン・エイジ』というアメリカ現代史の傑作ルポルタージュ・アンソロジーが紹介されているのにも似た感じを受けました。アメリカはその後、プロザック・カントリーになり、エムパイアステーツオブオピオイドへの道を辿ってしまうのですが、それとは関係なく、この、1940年に刊行され、1955年に長谷川修二訳、1977年に改訳新版が出た、原作者と新訳者の両方が、あれな人だったことを鑑みれば、その感じはご理解頂けるかと思います。

小泉喜美子 - Wikipedia

死因はらもと同じ、酔って階段から転落死。享年51。私は、関川夏央のエッセーのうち、生前の彼女を奥ゆかしく回顧するものが、彼の仕事のなかでかなり上位に好きです。

クレイグ・ライス - Wikipedia

en.wikipedia.org

Like many of her characters, Rice was an alcoholic and made several

セベラル以下はオミッション。

大はずれ殺人事件 (早川書房): 1977|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

大はずれ殺人事件

大はずれ殺人事件

 

いつか読もうと思いつつ図書館から借りないでいた本ですが、あれも読もうこれも読もうをセーブし続けて、この本を借りれるところまで戻りました。が、登場人物がとにかく酒を飲んで落ち着きたいという言動を繰り返し続けるので、それだけが残ります。アマゾンのレビューを見ると、戦中なので日本人に関する記述がアレだ、とありますが、執事のところかな、そこまで引っかかる記述とは思いませんでした。『大あたり殺人事件』を先に読んでるのですが、『大はずれ』から先に読むべしとの指摘は、そのとおりだと思います。冗長だという指摘は、まあそうかなというか、オチがあまりにシャレード、否、シャレオツなので、そこまで読まなければオチに巡り合えない焦燥感から出た指摘だと思います。その時点で、作者と登場人物の飲酒欲求に同調し始めているのかも。

訳者は、中村真一郎の本作評価や、乱歩がライスを「通俗」と評価したことにとらわれていますよ、という意味のことを訳者あとがきでずっと書いています。1977年時点で、今の読者は筒井康隆みたいのでないと笑わないのではないか、もうこういう古いユーモアミステリは受けないかも、いやいやそんなことはない、のループ。その辺は、本文を読んでても、どう? おもしろいでしょ? おもしろいでしょ? とひっきりなしに問いかけてくる感じがあって、強迫観念による翻訳作業を分析したい人にはいいかもしれないです。

 なにぶんにも昔の小説なので、警察と市民の関係も、捜査の方法も、現代と違います。そのため、かえって、旋条痕による銃の特定が当時の鑑識でもされていたことなど、知って、へーと思いました。以上