『酒のほそ道 四十八 』[酒と肴の歳時記]by ROSWELL HOSOKI(NC NICHIBUN COMICS)

おくのほそ道の英訳が"The Narrow Road to the Deep North"なので、酒のほそ道は、"The Narrow Road of Booze" とでも訳せはいいのかなあと思います。キングスレー・エイミスや吉行淳之介らに敬意を表して、酒の訳語にブーズを使って。

酒のほそ道 48

酒のほそ道 48

 

 COVER DESIGN CREATIVE・SANO・JAPAN 背景の料理画像が前からこんな膨大だった気がしません。取材した店の料理を並べてるのでしょうか。カラー口絵は、名画のパロディだと思いますが、二枚目のゴーギャン以外分かりません。最後のに至っては、元絵を見た記憶すらない。今検索して、最初のは、ルノワールの木蘭、否、ムーランなんとかだそうで、三枚目はゴッホの「夜のカフェテラス」だとか。四枚目は検索ワードすら思いつかないので、分かりません。貴婦人とか夜会とかカナッペとか入れて、名画とアンド検索しましたが、ダメ。

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ラズウェルさんと私は昭和三十一年生まれ。「袖振り合うも他生の縁」という言い伝えがありますが、京都のシェフの紹介で知り合った私達は前世ではどんな関係でどんな役どころだったのでしょうか。 村上弘明(俳優)

帯のとおり、あとがきは仮面ライダー。「人をワニにする酒によせて」という題名で、口嚙み酒がどうとかいう前口上で始まり、最後はワイン飲みながら書いてることが分かるので、素面で推敲すればよかったのにと思いました。京都のイタリアンレストランのオーナーシェフである西沢さんという、触媒になったこれも同い年の方は、検索すると、すっと四条烏丸というか蛸薬師のお店が出ました。

あとがき

そういえば、ほろ酔いの人は山羊か羊のような目でトローンとしてきます。更に飲み続けると泥酔した人の目は爬虫類のように据わって動きもワニのようにゆっくりしてきて、時には獰猛な顔つきになります。私は子どもの頃こんな人たちを身近で見てきました。というのも、(以下略) 

 まえがきは、飲酒による「ゾーン」も存在するのではないか、という話。私もそういうことを云う人に会ったことありますが、その人も、飲酒運転でそれを感じたと言ってたので(ラズウェルサンの場合は、今ほど自転車のルールがかまびすしくなかった頃の自転車)検証してはいけないたぐいの話です。ラズウェルサンはその次に自転車ごと転倒して骨折したそうで、私がその話を聞いた人は、一度は立ち直ったはずなのですが、その後があって、その後知りません。キーンと視野の焦点が結ばれて、感覚が研ぎ澄まされて、あらゆる路上や街頭のものが把握出来て、とか、それはやっぱ違うと思います。ラズウェルさんが自虐的に「酒の幻覚」と書いてるとおりかと。

第1話「鍋の追加具材」にしても第4話にしても、よく食うな、健啖家だなと思いました。頁38、うみぶどうは、常温保存鉄則と沖縄物産店でいわれて、守らず冷蔵庫に入れたら、溶けた思い出があります。ふしぎな海草もあるものだ。

松島さんとかすみのところで宗達についに年貢の納め時ガー(来ない)という話は、アマゾンのレビューで既に読んでいたので、なんで手持ちのコマを使おうとするのかと思ってます。女子大生はいつまで女子大生か。取引先のお嬢さんという初期設定がありましたが、入り婿になってその会社をサクッとついで、かすみとは不倫関係を続ける、宗達は要するにそれくらいの男、という匂わせが、有名な漫画になりすぎて使えなくなったとすると、それも面白い話。あるいは、長く続きすぎたことによって、21世紀のモラルの変化の波をもろに受けたと考えてもよいかと。京都精華大マンガ学科大学院の論文テーマにどうぞ。

頁84、カルパッチョはともかく、アクアパッツァスペイン料理かと思ってました。これもイタリアンなんですね。しかし世の中にイタリア料理店、ほんとうに多いです。ラーメン屋なみに人が利用しないと成り立たない数だと思うのですが、みんなそんな利用してるのか。

頁65の瓢亭玉子は、なんで煮抜きと言わず、玉子というんだろうと思うくらいですが、頁104の半助豆腐は食べてみたいです。

半助豆腐 - Wikipedia

でも、ネパール料理屋で創作料理、サンマのタンドール焼きを食べたとき、ちょっと頭が金気っぽかったので、そういうふうになる気もします。

頁114、昨年、JA西湘のカレンダーが、その日の行事等の記述が細かくてとてもよかったので、今年もほしかったのですが、ちょっと見かけないまま終わっています。JAさがみのカレンダーは、東京2020による急なカレンダー変更等もあってか、小さなものになってしまったので、西湘もそうなってるのかなあと思っています。

頁125 宗達の妄想の松島

こんなたよりない方だったんですのね… 考えなおしたほうがいいかしら…

 なんもなくて中年男がこんな妄想してるとしたら哀しい。ということはあったのかという。

頁140、むかし、大森のいわし専門店に行ったな、と。アジやカツオの専門店は聞いたことないですが、イワシはあった。

頁153、ボトルキープにまつわる永遠の懸念、と思われていたものも、やはり時代が変わるとどっか行ってしまう。未開封のように見せかけて、開ける時、こっそり口で「プシュ」と言うとか、ネタとしても話が通じない時代になったような。

頁159、炙り塩蛸で検索したら一発で店が出るかと思いましたが、出ることは出ましたが、たぶんちがうと思いました。

頁161、私の知人に、痛風ではないのですが、魚卵が食べられない病気の人がいます。だがしかし、世の中には痛風で魚卵が食べられない人がたくさんいるので、別にその人も飲み会で浮いたりしないそうです。下戸なんかもそうですが、自分は少数派だが、別のまあまあ数がいる派閥で同じ主張してると、助かることってあるなと。

頁176、柚子胡椒。私は最近はແຈ່ວ ນ້ຳ ຜັກとでも書くのでしょうか、ジャオバックとかディアオナムパックとか読む(らしい)ラオスの自家製調味料をよく使っています。

最後のワインの話は、麤と言いましたか、鉄板焼きだか焼き肉だかのお店で初めてデキャンタを見て、中のワインって開けてからどれくらい日が経ってるのだろうと思ったのを思い出しました。ほんとに空気にあてて開くにはグラスよりデキャンタでしょうけれど、前日の客や宴会の残り物を詰められてないかとか、余計なことしか考えない客は、すっぱい水になった日本酒でも飲んでればいいのかも。

以上