Chung Kuo (novel series) - Wikipedia
装画・安田尚樹 デザイン・坂田政則
第一部の巻頭言は、杜甫「野望」と、プレモ・レーヴィ『アウシュビッツは終わらない』から、『これが人間であるならば』1947年。
第二部の巻頭言はホイットマン『静かで辛抱強い蜘蛛』1868年。
エピローグはジェームズ・エルロイ・フレッカー『サマルカンドへの黄金の旅』1913年。
訳者あとがきは、苦労譚もよもやま話もここだけの話もなく、たんたんと筋を追うのみ。付記も、作者は一貫してピンインでなくウェード式なんだな、あるいは訳者が一貫して清音濁音は有気音無気音にあらずルールなのか、と思うカナ表記の列記。袁安えんあん(ユアンアン)衙門がもん(ヤーメン)関帝(コアンティー)観音(コアンイン)旗袍(チーパオ)禁苑きんえん(チンユアン)苦力(クーリー)紅毛(ホンマオ)胡蝶(フーティエ)胡同こどう(フートン)太史令たいしれい(タイシーリン)福(フー)分(フェン)没法子(メイファーツ)
ヤーメンなんかは、陳舜臣の『江は流れず』や小説阿片戦争など、清末ものによく出たなあと思い出しました。それと、観音はインドでは男性神なのに、胸が膨らんでいるので、仏教伝来後の中国で女性神に性転換されてしまったとか、苦力の語源はヒンディーもしくはタミル語とか、そういった蘊蓄。貨幣単位の分が、百分で一元、十分で一角と説明されていて、その次のメイファーズは、「今日では過去の言葉となっているようだ」と説明されています。就是没门儿。以上