「ウォーデン 消えた死刑囚」"The Warden" سرخ‌پوست 劇場鑑賞

抱き合わせ商法というわけでもないのでしょうが、「ジャスト6.5」と同じ配給会社(オンリーハーツ)がいっしょに配給してるイラン映画です。パンフも二本で一冊。イラン人お得意のまとめ買い商法なのか。映画鑑賞自体はべっこにお金払いますが、二作でパンフ一冊¥700とお得なので、パンフ買っちまいました。

 地獄へ墜ちるのはヤツか、私か? 
イスラム革命前、移転を強いられた刑務所が舞台の大ヒットサスペンス!

 事前に革命前の時代設定だとレビュー等で見ていたので、そこはすんなり入れましたが、説明的なせりふがあるわけでなし、キャプションがあるわけでなし、ナレーションがあるわけでなし、なので、予備知識なしで見る人は、まず、額にかかっている肖像が、シャー・レザー・パフレヴィー(二世でしたか)であることが分からないと、分からないと思います。革命後なら、ホメイニとかでなければならんので。

で、冒頭まずネクタイをしめるので、そこでも感づかなければいけない。革命後はほとんどノーネクタイの世界に突入するはずなので。私はネクタイは、米帝のくびき、西洋化という名の悪魔の奴隷の刻印だから外すと聞いてたのですが、吉本のイラン人芸人のエマミ・シュン・サラミの本では、たんに息苦しいからと書いてあり、どっちが真相なんだろうなあと思ってます。

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この映画は主演男優と女優が、そっくり「ジャスト6.5」と同じふたりで、その演技の違いなども着目ポイントらしいのですが、私は、この映画を何故か10年前の映画だと思い込んでいて、十年前なのに一昨年のアジャスト6.5より老けてるよっ! と驚きながら視聴しました。帰宅後パンフで、同じ2019年制作とあり、顔が赤くなったです。

革命前の1967年の車両という設定なわけですが、米製四輪も、シトロエンも、ナンバーはイランのあの読めない数字で、ちょっとここは意外でした。ほとんど砂漠を走行してるので、現在のナンバーでなければ撮影許可がおりないとかではないと思うのですが、どうなんだろう。公道は公道。

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https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/thumb/c/ce/Sorkh_Post_Poster.jpg/220px-Sorkh_Post_Poster.jpg主演女優は観月ありさみたいな顔でしたが、終始帽子をかぶっていて、革命前なら、ナマ髪ぶわさっ、でもおkだったはずなので、ナマ髪は映倫がおk出さなかったのかもと思いました。その辺のマレー人とかインドネシア人女性に聞いてみればいいと思いますが、プライベートな空間以外では髪をたえずかくす文化だと、髪を出すだけでエロいふいんきをかもしてしまうもんではないでしょうか。西アジアの女性に聞いてもいいんでしょうが、配偶者が横にいて(男性のつきそいなしに外を歩かせないとかなんとかの慣習)、テメー何既婚女性にダイレクトに話しかけてんだよ、と怒るかもしれないし、ここは日本だから怒らないかもしれない。

観月ありさを、主人公の婚約者と勘違いして観てましたが、特に問題は生じなかったと思います。その程度は睡眠とりながら見ていたです。イランはミルクティーのチャイではなく、ストレートの紅茶で、そのお茶をふるまわれた観月ありさが「メルスィ」と言う、そのせりふだけ分かりました。フランス語から来たのか来てないのか知りませんが、ペルシャ語でもありがとうはメルスィ。日本でケバブ屋に使ってみても、まずイラン人のケバブ屋はいないので、意味ないと思います。

The Warden (2019 film) - Wikipedia

邦題は英題に引き摺られてるわけですが、ペルシャ語の原題だと、この囚人名は、インド人を意味する渾名になっていて、ウォーデンとかワーデンではないとのこと。スノーデンと似た名前にして、人権派のうっかりさんが配信視聴するのを待つ作戦だったのか。待ちぼうけ~待ちぼうけ~ある日せっせと野良稼ぎ~そこへウサギが飛んできて~♫

サイズのあわないジャケットを着た、ケルマーン出身の遊牧民ぽい老人がイイ味を出してました。ホウシャオシエン映画の李天禄は実力者として敬愛されてましたが、この老人は、イランの都市部で農民はほんとこういう扱いなんだろうな、という感じ。五十年以上前の時代設定ですが、現代でもこうなんじゃいか、みたいな。

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新興の配給会社だからスタッフがガンバったのか、「ジャスト6.5」には「ヒゲ男まつり」みたいなレビューがついてましたし、この映画も、「イランはカエルをペットにするんですね」みたいな、とっつきやすさ満載のレビューがついてました。ゲコゲコ。

中国では、1930年代の租界時代の上海を舞台にしたドラマは、鉄板なほど人気がありますので、イランでも同じ理由で、革命前を舞台にしたドラマはウケるんだろうか、と思いました。そこ、どうなんだろう。

パンフの日本語字幕のひとは、とりあえず関西人であることは分かりました。「ジャスト6.5」の人より押しが強そう。スペイン語も出来るそうです。この映画も英語の台本から訳したそうですが、分からないなりに、別途ペルシャ語の台本も入手して、それを全文グーグル翻訳で、わけが分からなくなる日本語でなく英語にして、ニュアンスを摑み、字幕作成の参考にしたんだそうです。ということは電子版のペルシャ語台本をゲット出来たってことで、もし紙版入手で塗炭の苦しみを味わっていたらと思うと以下略。相手の不幸を願うと自分も不幸になってしまいますよ、自戒なさい to me。

訳者の人は、主題歌にとてもひっかかって、調べて、革命前に熱狂的な人気を得て米国に移住し、革命後イランを追放されたロックスターであることをつきとめます。で、劇中に使われる歌の英訳歌詞までパンフに載せた。

ja.wikipedia.org

イラン・ポップ - Wikipedia

それ以外にひっかかって、どうしてもペルシャ語ネイティヴに確認したかったことについて、あれこれドタバタしたすえ、イラン文化センターの方にたどりついたそうです。私も、なんて書いてあるか知りたいコインが三種類ほど、まだあるのですが、いつ、どこで誰に訊くか。訳者の幸甚を祝福して、以上です。

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just6.5andwarden.onlyhearts.co.jp


『ウォーデン 消えた死刑囚』劇場予告編


تیزر فیلم سینمایی سرخپوست | The Warden Movie Trailer

以上