「香港画」"HONG KONG - GA" "Montage of Hong Kong" 劇場鑑賞


『香港画』劇場用予告編

厚木で朝イチでやってたので見ました。短いのでラクです。

hong-kong-ga.com

 言語を英語に設定して、その上でURLを上に貼りましたが、日本語のままです。そんなものかな。昨年末、年賀状を書くため住所を見ようとして、2020年の年賀状をぱらぱら見ていたら、2019年、香港で警官に追われましたみたいなこと書いてる人がいて、こういうのに遭遇したのか、積極的に絡んでいったのか、どっちなんだろうなあと思ったです。ただの観光客が偶発的に巻き込まれることはそりゃありますし(私は韓国で巻き込まれました)しかしその人は海外旅行にホイホイ行くような人でもないので、サヨク的連帯から行った気がします。サヨクなら中共マンセーと思うネトウヨの人と日本でやりあってれば、警官に追われずとも済んだのになあ。いたるところに監視カメラがありますし、顔認証云々で、未来永劫中国共産党ブラックリストに載ったかもしれんと、病んでしまったのではないかと思われるような年賀状がその人から今年届きまして、コロナのせいも大きかったのかもしれませんが、そんなこんなで、いよいよそういう思いにとらわれましたです。

というかそういう恐怖と苦痛、不快感を、政治活動なんかと無縁なはずの一般大衆が街頭での偶発的かつ強圧的暴力的な職質で多く味わっているふうで、そうなるとふつう、大衆運動は一部の閉じたカツドウ家たちのものから大きなうねりにフレームアップして、ある程度成功をおさめるであろうというのが民主主義の世の常なのですが、開発独裁のさらに上を行く、銃口から生まれた政権が遍く天下をしろしめす中国では、そんなタワゴト通じませんという。キンペーチャン世代は、粛清されて消えたはずの紅衛兵から復活した亡霊で、文革世代の死屍累々の淘汰の中で、他者を蹴落として生き残った勝組なので(安田峰俊の考察参照)、世迷言は通じないんでしょうね。リーハイとしか言えない。

ふつうこういうドキュメンタリーは、さまざまな立場の人の意見をそれぞれすくいあげて、並列して、ならして、公平性を田んぼ、否、担保するものですが、この映画は、出てくれなかったのか何か知りませんが、容共派というか大陸派というかの声はまったくありません。暴徒に店にゴミを投げつけられる、中国に融和的な店主から「あいつらも意固地になってやりすぎだ、戦略的撤退も考えるべきだし、相手(官)のメンツを立てて引くとこは引けよ」等の声を引き出すとか一切ない。「主戦場」は、両派の意見にそれぞれけっこう尺を割いてますので、裁判でカタをつけるにせよ、日本は平和だと思いました。

民主派と本土派は、たぶん両方出てますが、不分別です。若いだけに過激路線をとる中学生が英語を喋るのは、安田峰俊の本か何かで読んだ、英領香港のけちみゃくこそホンコニーズの証、として英語にこだわる本土派だとピンときました。で、邦人はいつでもたえず、自分のことは棚にあげて、「香港人って、イングリッシュネーム持ってるわりに、英語ヘタだよね、あんまし話せないよね、出稼ぎのフィリピン人のほうが話せるよね」と言ってしまうそれを思い出しました。

抗う。
激動の香港で始まったかつてない国家の弾圧――若者たちの抵抗 
衝撃と怒りの28分。
門真国際映画祭2020ドキュメンタリー部門最優秀賞 第15回札幌国際短編映画祭最優秀ドキュメンタリー賞 
HONG KONG - GA 香港画

 この映画、冒頭にお供え物のリンゴが映ります。それがアップルデイリー、蘋果日報簡体字で書くと苹果日报)をイメージしてるかどうかはさておき、日本の富士とか紅玉とかサン津軽とかでなく、米国産の毒々しい真っ赤なやつで、學刈でした。

演説には手話がついてましたが、何語の手話かなあと思いました。昔ロッテルダムユースホステルで、欧州各地から集まった人たちが手話で会話してるのを見て、手話って世界共通言語なんだな~と思ったですが、それはウソで、手話は言語ごとに異なると、新潮文庫の『累犯障害者』という本で読みました。なので、香港の手話は、漢語の手話なのか、広東語の手話なのか、知りたい気がしたです。

将軍澳と書いて"Tseng Kwan O"とルビが振られる地名など、まったく分からず、今検索して、新界なんて観光客行かないもの、とブツブツ思いました。ジャンジュィンアオ。

ja.wikipedia.org

どこまで監督が考えているか分かりませんが、壁の落書き、〈中共滅〉〈支那〉などを撮って使っていて、本土派なら書きそうですが、誰かに写真見せてコメントさせるような余裕もなかったんかなあ、と思いました。〈支那〉の隣が、〈福建獨立◯會〉と書いてあって、なんで福建?と思いました。出稼ぎで香港側についてる人なんかいるんだろうか。出稼ぎはみんな、シャンガンレンシェンジンビンとしか思ってなさそう。そういう固定概念を覆す取材をしてるヒマもなさそうな28分間。

催涙弾の英語名が、"TEAR SMOKE"であると知り、勉強になりました。 バレットとかボムではないんですね。以上