カバーフォト=島田達彦 カバーデザイン=熊沢正人 カバー印刷=真生印刷株式会社解説 結城信孝
男たちのら・ら・ば・い (徳間書店): 1999|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
72年4月号発表。『男たちのかいた絵』(新潮文庫)収録。「ジャズのスタンダード・ナンバーに乗って躍動するチンピラやくざの連作集」とのこと。この人の小説なので、独特の気持ち悪さだけが滲み出るつくりになっています。賭場を旅館で開いて商店会の旦那衆を集めてどうの、不出席の場合付け届けが必要でどうの、その晩は辻々に下っ端が見張りに立ってどうの、敵対する組が殴り込みに来てどうの、という展開はすべてリアリティを出すための小道具。命乞いをしながら相手の変態行為に気づいた社会的権威のある男(組幹部)が狼狽する描写は、もうこの人のお家芸なので、何度も読んでる既視感にとらわれます。そんな小説。その意味で、ここでも筒井康隆は異彩を放ってます。以上