『それでも、海へ 陸前高田に生きる』(ポプラ社◎シリーズ◎自然 いのち ひと ⑰)読了

 この著者の難民の本を読んだので、東北の本も読もうかと思って借りました。どちらもポプラ社ですが、こっちは写真絵本です。

 編集:原田哲郎 協力 山ノ手写真製作所 頁15の写真提供:佐藤敏通 デザイン:生駒浩平(sai company)

本書は2016年の出版で、当時はまだダイアローグフォーピープルという現在の所属先がないかったのか、"studio AFTERMODE"所属となっています。パートナーの実家が陸前高田で、その縁で陸前高田。3.11の時、いちはやく沖合に船を出して船を守った六十代の漁師さんが、当初は、船が無事だったからといって、自分だけ漁に出るのはどうかと漁に出ず、港の片付けを手伝う毎日だったのが、お孫さんのことばに動かされて二ヶ月後海に出て、新鮮な魚介類を持ち帰って、缶詰などが中心だった家族や地域の人に分け合ううち、海の恵みとともに生きる暮らしの感覚がよみがえり、しだいにみなに活気が戻ってくるという話。海の「カジカ」は刺身にするとうまいとか、なまのツブ貝を海水の塩気だけで食べるとうまいとか、それだけでこころ動かされます。

作者のパートナーのご家族にもなくなられた方がいて、そういえば難民の本でも、クメール・ルージュの個所で、けっきょくその人の家族は今でも行方不明のままという記述がありました。

構成や絵コンテがうまいので、出だし三枚目でタイトルロールだったり、お孫さん登場の転調など、ひきこまれます。回想シーンの写真は黒枠でくくっていて、マンガの文法を転用してるのもアイデアだなと思いました。ふと思ったのですが、小説も回想場面は黒枠にしてみたらどうでしょう。段落の上の空白を増やして字数を減らすとか、字のポイントを小さく替えるとか、イタリックにするとか、色を変えるとか(エンデ)は見たことありますが、黒枠というマンガテクを使った小説があってもいいかもしれない。

そんなこと思いました。岩手県は私の行ったことのない県です。盛岡冷麺にすごい革命的なことが起こるとかないと、このままかな。以上