『片手袋研究入門 小さな落としものから読み解く都市と人』"The Introduction of Lost Glove Studies, From Small Drops Reading Cities and People" 読了

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私も撮ってみた片手袋。左から、実用型重作業用田んぼ系/放置型軽作業用道路系/放置型重作業用道路系。

企画・編集/近江聖香(Plan Link)

装丁・本文デザイン・DTP/リボ真佑(TAGGY DESIGN)

進行/磯部祥行(実業之日本社

写真提供…ゴムホース写真家、鉄塔ファン、街角狸、路上園芸学会、歩行者天国研究家、海洋研究開発機構、ほか肩書のない三名

資料提供者有

取材協力…東京別視点ガイド、落ちもん写真収集家、警視庁遺失物センター

協力…オデッサ・エンタテインメント(ママ)トムス・エンタテインメント(ママ)DANRO

参考文献…■『尾崎放哉全句集』伊藤完吾、小玉石水(編)(春秋社)

    …■『わたしの手袋博物館』福島令子(暮らしの手帖社)

    …■『獣の戯れ』三島由紀夫新潮文庫

    …■『アフターダーク村上春樹講談社文庫)

ビッグコミックオリジナルのまんが『前科者』のファミレス読書会に出てくる本。これも二号に渡って登場し、登場人物たちが、自分たちでも撮ってみた片手袋写真の手袋ポーズについて語り合う場面まで出ます。で、この本以降、『前科者』に実在する書籍は登場しなくなります。一体なにがあったのか(単に間隔開けてるだけと思います)

下記は本書のもとになった作者のウェブサイト。公式。本書英題は、前半部分がここから。2013年神戸ビエンナーレで入選、奨励賞を得て以降、着実に本研究は進展し、「片手袋を見守る会」まで結成されたので、以降の研究は飛躍的に進んだと考えられます。

katatebukuro.com

作者は玉川大学文学部芸術学科卒。和光大学でなく、隣の大学だと、いろいろ変わるんだろうなと。芸術学科あるの知りませんでした。二代目林家木久蔵はじめ、著名な方をたくさん輩出されている、歴史ある学科のようです。15年來、片手袋にとらわれているそうです。片手袋は、片方だけ落ちている手袋で、それを見ると可能な限り撮って、考察することにしてるんだとか。それでだいぶ時間を浪費してるともいえますし、人生が実りゆたかなものになっている可能性もある(棒 ともいえます。

可能な限り、死なない限りなので、軍手系が落ちてるのは道路上が多いため、撮影断念のケースが多いそうで、どうやったら安全・安心に撮れるのか考察してますが、まあ危ないです。後報で私見を書くかもしれません。

で、作為を排除するため、絶対に撮影時は触らないようにするマイルールを持っているとか。ただ、片手袋は、ただ落ちている状態(放置型)と、気がついた人が、見つけやすい場所、汚れにくい場所に置きなおしてる場合(介入型)ごくまれに、かかしがつけてるなどの実用型の三タイプに分類出来るそうで、撮影後は介入してるのかもしれません。私も、銀行ATMなどで実によく、軍手やビニール手袋でない「ファッション・防寒類」を見ることがあり、あとで取りに来てほしいなあと思ったりします。あと公園の「お子様類」それで作者は、警視庁遺失物センターまで取材に行ってます。ライターでもないのに。でも本にするということはそういうこと。

で、ウェブで活動してると、当然広がりがあって、横浜の海洋開発研究機構から連絡があって、深海調査時に、深く沈んだ、主にビニール手袋に深海生物が棲みついてる写真などを見せてもらってます。ここはいちばんおもしろかったです。

参考文献に出てくる三島由紀夫とかハルキ・ムラカミなどは、すべて作品中に片手袋が出てくるからだそうです。落ちている片手袋が出てくるのみならず、片方手袋をなくすという所作にまで触れているので、「ローズマリーの赤ちゃん」なんかも出ます。アニメが多い。本書収録の、片手袋登場作品は、なべて作者がひとりで見つけた?2018年10月現在のデータ。「片手袋を見守る会」が出来たあとは、飛躍的にデータベースが増量してるのではないかと思いました。四コマまんがなど、人海戦術が活きると思いますので。四コマに限らずですが。

私はスキーをしたことないのですが、スキー場って手袋落ちてないのでしょうか。項目がないので、気になりました。あと山か。必ず回収されてるから落ちてないってことでしょうかね。寒くて困るでしょうし。

本書は、残されたもうひとつの手袋たちについても考察してるのですが、私は、どんな人が落とすのか、作業用以外は(築地は片手袋の聖地だそうです)お年寄りが多いんじゃいかと思いましたが、そこの考察はありませんでした。落ちている場所の考察はあるので、あとは、どういう人がよく落とすのか、考察すれば、手袋を落として買い直すもったいなさをどれだけ未然に防げるかだろう、と考え、そこまで考えてから、他人は変えられない、自分は変えられる、をもう一度心の中で唱えました。どうしたら他人が落とさないように出来るかだなんて、おこがましい。でも私は、誕生日プレゼントにもらった皮手袋をなくしたら、たぶん悲しいです。以上

【後報】

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バイクのグローブかな。車道の、歩道脇吹き溜まり。

トム・ハンクスなどの著名人も、片手袋を見ると思わず撮ってしまう嗜癖を持っているとか。

(2021/9/29)