「明日に向かって笑え!」原題 "La odisea de los giles" 英題 "Heroic Losers" 劇場鑑賞

安定の観客五人。ギャガ配給。

「2001年アルゼンチン。アテにならない政府に悪徳エリート達。金融危機に乗じて夢も財産も奪われた小さな町の人々の痛快リベンジ作戦が始まる!」「人生の大逆転。」「アルゼンチン映画動員No.1 (2019) 」「2020年ゴヤ賞(スペインのアカデミー賞)最優秀スペイン語外国映画賞」"Rotten Tomatoes®94%Fresh" etc. 何を言っても、成功の方程式「元気な老人映画」「現代の老人は若い時だいたい左派」これさえ守れば、という映画。面白いのは面白いのですが、高市支持のような右派の老人もいるでしょうから(左派全盛期に冷や飯食ってたルサンチマンがすごいのはわりと日常の観察で理解可能)、そっち好みの映画というとどんなんだろなどと思いながら観ました。

バクーニンと言われると、マスターキートンの、莫と名付けた息子に自殺された男の話を思い出します。また、デフォルトというと、アルゼンチンの人はよくあんな何回も金融危機になってるのに平気だよなあといっつも思ってたのですが、じつはあんまり平気でもなかったんだなあ、と思えました。今回最大の収穫。でもわがくにの人が、国の債務が何兆円もあって返せないのに大丈夫かと言ってるのは、預金封鎖や新円切換の具体的な体験から恐怖してるわけではないので、この映画でアルゼンチンの実態知ってもあんま関係ないです。

主人公が最初のほうでブラウン管テレビで見てた映画は、フォークランド紛争の映画でしたでしょうか。ここ、ちょっと分かりませんでした。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/7/72/Heroic_Losers_poster.jpgレビューで、悪党がひとりしかいないので、みんなでよってたかってのイジメ感があるのは否めない的なのがありましたが、特にそうは思いませんでした。この映画の悪党、マンシーと呼ばれてましたが、シーメンスジーメンスみたいなもんで、スペルは"manzi"、まじ卍の東京リベンジャーズ、危ないですよこの人は。人に銃をむけちゃいけません。銀行の支店長夫妻がガス漏れで死んだ、というくだり、万次さんが人間不信だから、事故に見せてぬっころしたんじゃなかろうかと思いました。それくらいなので、特に。預金封鎖のインサイダー情報を得て、自己資産を全額ドルキャッシュに変えるという荒業ですが、それをただ貯めこんでも仕方ない気がしました。闇チェンジマネーの胴元でもやって儲けるのかと思った。

エル・トゥルク・サファ、「トルコ人」サファ、何故トルコ人と呼ばれているのか知りたかったです。万次さんの秘書は凛ではなくフロレンシアで、あいりん・ザニノヴィッチという女優さんとのことでした。スラブ系のおなまえ。

原題のオデュセウスはそもそもイディオット的な人物ですので、邦題は、それを活かしたメタファーにしてもよかったなという。爆破した自動車からアシがつくだろうとか、素寒貧の連中が一夜にして皆金回りがよくなって悠々自適になったら、怪しまれるの確実だろうとかは思いました。そんなにうまくいかないだろうと。アルゼンチンの警察がまともならば。

奥さんの回想シーン、最近見ないセイタカアワダチソウの花だったと思います。街全体を停電にしたら、手術中の病院とか困るだろう、これだからパヨクは発想がテロリスト、と右翼の人に言われそうな気がします。三点台の星なのはそれとは関係ないでしょうけれど。

ペロン主義とか忘れてるのでパンフ買って勉強しようと思いましたが、パンフ売り切れでした。公式のトリビアである程度補いましたが、あれば讀みたかったです、パンフ。ブーメランは自力でシャレード、否、おされどどぼうに辿り着きましたが、公式にちゃんと書いてありました。

第40回『おしゃれ泥棒』 | メカニカル・テック

映画『明日に向かって笑え!』公式サイト

主人公と息子さんが、役者も親子とは思いませんでした。息子さん役が、実は髪ちりちりのヒゲ野郎とは、もっと思いませんでした。

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BGM、最後の一音だけ変えた音をどこかで聞いたことがあると思い、必死こいて思い出しましたが、中国のバンドの歌でした。殺死那個石家庄人。

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本当に一音だけちがう。

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この映画の曲のほうがもともとなんでしょうけれど、そっちは分かりませんでした。エンドロールもよくみてないかったですし。

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奥さんの死は、はみ出し運転の対向車線のクルマがただただ悪いと思います。あんま万次さんと関係ないような。主人公の息子さんのヨメが、ガラス越しにぼんやりなので、秘書とデキたのか、關係ない女性とくっついたのか(おそらくこっちだろうとは思います)は分からずじまい。支店長の死もそうですが、あんまりはっきり語らない映画だなと。

この映画のおかげでひさびさに万能青年旅社を思い出せてよかったです。以上