『ブラジルのごはん』"Brazilian meal"(絵本世界の食事⑦)Picture book World meal⑦読了

編集/竹田央(株式会社ぷう)装幀/佐藤正久(株式会社スペース・ユー)絵 萩原亜紀子 企画 銀城康子 表紙写真 AFLO 取材協力の方二名(たぶん沖縄系のひと) 参考資料巻末奥付記載 2008年初版

表紙のキャミの女の子はおねえさん。本書には、サンバカーニバカルックの女性*1*2も出ませんし、ヘソ出しルックの女性も出ません。為念。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/stantsiya_iriya/20211212/20211212215608.jpgシリーズの『ペルーのごはん』がたいそう参考になったので、どうかと思って図書館で借りました。

『ペルーのごはん』は平均的なペル―人家庭(海とリマに近いところ在住)の食生活を描いてましたが、この本は、サンパウロ近辺の日系人の家庭です。三世代同居。しかしオカーサンはヨーロッパ系で、釣男一家が念頭にあるのかなあと思いました。

まず朝ご飯で、ブラジルの朝はパン食であることが分かります。この本もペルー同様、さいごのページに代表料理のレシピがあるのですが、ここにポン・デ・ケージョが載っていて、セブニレブンのもちもちパンを自分で作れとか、どんだけハードル高いねんと思いました(ほかの二品は、パルミットのサラダと、フェイジョアーダです。フェイジョアーダ作らせるのか)買い物のページを見ると、女性に荷物持ちをさせるとインポライトなので、買い物は必ず男性がつきそって、重いものは男性が持つとあるのですが、ブラジルスーパーで、パンをドカ買いする日系老人の姿がまぶたをよぎりました。みんな日本でもそうやってるんだなあ。

昼食の個所で、ブラジルのご飯は味がついている(塩などで味付けして炊く)とあるのですが、日本のブラジルレストランなどで、あまりそれを意識したことはありませんでした。日本だから味付けてないのか、味ついてたけど私がそれを認識していなかったのか。

昨年テレビで吉祥寺のブラジル料理店(店主は邦人)を見た時、ブラジルではナイフを左手、フォークを右手に持つとあり、そう聞いてからブラジルスーパーやブラジルレストランに行くと、たしかにみなナイフを左手に持っていて、おどろいたのですが、本書の絵はそこは描けていませんでした。残念閔子騫

ブラジルレストランに行くまでは私はブラジルはコーヒーだと思っていたのですが、輸出国はおうおうにしてそれをあまりとらないの法則どおりなのか、ブラジルレストランなどではあまりコーヒーを飲んでおらず、オバーサンというかマダムなどが主人と来ては"Tubaina"というガラナ飲料の2ℓペットなどをドンと置いて食事しているので、ブラジル人はジュース飲みもって食事するのかよ、私のいとこがシュウェップスのオレンジで白ご飯食べていて、私が吃驚仰天めんたまとびだしたのを日常でやってるのか、と思ったものですが、本書ではなんということでしょう、登場人物たちは「水」で食事しています。水でいいんじゃんかよ、もう(ペルーは知りません)

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パルミットというヤシの芽もテレビで吉祥寺のブラジル料理店のオヤジが紹介してました。その店には行ったことないです。

で、買い物のページには、いろんなブラジルならではの野菜が載ってるのですが、後述します。その次のページにはフェイジョンの作り方が書いてあります。朝ご飯が終わったら作り始めて、それで昼食に供せるんだとか。スペイン語のフリホールはフェイジョンなのかという謎は、この本では解けず、持ち越し。

ブラジル料理はさまざまな民族の融合料理であるわけですが、本書のそのページでは、サハラ以南のアフリカ人が豆やパーム油の調理方法を考え出し、インディオがキャッサバの有毒種の毒抜き方法を知っていたとあります。有毒のキャッサバは鳥や獣につつかれないし、虫もつきにくいので、わざと有毒種を育てて、毒抜き出来る人間さまだけが食べるというやり方が、人類にはあるんだそうです。すごいですね人類。手間暇かける。ほかに、ドイツ人やイタリア人、ポルトガル人(ニンニク使用はポルトガル起源としてます。福建じゃないんダー)が出てきて、それは分かるのですが、酪農、乳製品はオランダ人となっていて、へえと思いました。レバント、中近東オリジンのブラジル料理をネットで見知っていたのですが、中東はこの本には書かれてません。

で、フェイジョアーダの食べ方が載ってるのですが、

①ときどきつけあわせのオレンジで口をさっぱりさせるとか(私はまだフェイジョアーダをモノホンのブラジル料理店で頼んだことがないので、オレンジがつけあわせについてるか知りません)

②所謂ケール、コウベと呼ばれる葉野菜の炒めものを添えて、これはキャベツの外側の捨ててしまう部分のようにこわくて濃い緑色なので、苦みがあって、それがフェイジョアーダに合うんだとか。この野菜はブラジルスーパーで必ず見てるのですが(ブラジルスーパーでのカナ表記は「コウビ」)、こうやって食べるとは知りませんでした。よく、日本が霜降り牛のようなギャンブル中毒、否やわこい肉が好きで、欧米は赤身肉の固いのが好きと言いますが、同じことが、キャベツにも言えるのかしらと思いました。外側の硬い皮を捨てた、淡い色のやわこいキャベツが好きな日本、固くてこゆい緑のコウベが好きなブラジル。

③ファリーニャという炒ったキャッサバの粉をオーダーしたものの、どう食べていいか分からず泣いた(心理描写)ことがあったのですが、これ、フェイジョアーダ食べる時に、ゴハンにふりかけるんだとか。なんだその食べ方。そうなのか。ヤラレタ。

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某、たぶんもう行くことのない店のファリーニャ。ところが、スーパーの人に聞くと、ごはんにかけるのでなく、フェイジョンや肉類にかけるとのこと。私が味わったファリーニャは、単に粉なので、粉がふりかかっただけで、味の変化というほどのこともないと思ってしまうのですが、何かがあるのか。今のところ、さっぱりまだ分かりません。

パリピのページがあり、シェラスコ焼くのは男の役目とか、キビやコシーニャなどの揚げ物料理は総称として「サルガジーニョ」"Salgadinho"と呼ぶとあります。

その次のページが日系人についてですが、私がこないだ日系人絡みのライター記事で読んだ、ヤキソバと、マルシアの実家にうわっていたという、柿の木は出ません。

次のテーブルマナーは、音を立てるなとか(スープに特化した言い方ではない)皿を持ち上げないとか、ゲップしないとか、まあ、西洋です。食べる前にはお祈りするとか。

四季の料理では、フォンデュが出るので、ブラジルでもフォンデュ食べるのかと思いました。平塚のスイス料理にも行くんだろうか。

地域差については、川魚と、ムケッカは北東部がトピック。

最後の解説の個所は目からウロコが多くて、フェイジョンのインゲンは大豆よりたんぱくが少ないとか、コレステロールがたまりやすいブラジルの食生活では、豆を毎食大量に食べることで、豆類の水溶性食物繊維がコレステロールの吸収を阻害して排出させ、バランスをとっているのではないかと書いています。これは、スーパーでも聞いてみましたが、知ってる人はいませんでした。ひとりにしか聞いてませんが。あと、パンでなく米食なので、米に少ないリジンというアミノ酸を豆による補食でおぎなっているんだとか。さらに、内陸でヨウ素が不足する点については、ヨウ素を添加した塩が売られてるんだとか。

むう。水とコウベとファリーニャについて、今度実践してみます。以上

*1:福富町撮影。2021年4月5日

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*2:西小泉撮影。2021年12月12日

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