ブックデザイン 鯉沼恵一(ピュープ) 2021年4月20日初版 考えたら、このマンガも「本書は書き下ろし単行本です」って書いてないですね。漫画家にとって、連載という段取りを飛ばすのは、なんしか決まりが悪い気がするのでしょうか。むかし、双葉社の西遊妖猿伝ムックで、スーパーアクション編集の地引という人が、単行本だけだと、原稿料ガーと云ってたのを思い出します。専業漫画家に対しては、だから、どういう雑誌であっても、いったん掲載して、原稿料という色をつけてあげたいという時代が長かったのではないでしょうか。それが、今は、ウェブ掲載も多いですし、都留泰作の人は富山大学を経て竹宮惠子の京都精華大学教授ですから収入は安定してるわけで(そうでもないかな私学助成)、平凡社と握って、単行本でいきよしということなのかと思ってますが、そういうのって、うちうちの話(をさらに私が空想してる)で、外野がこの本手に取ったら、どこに連載してるか分かんないっ、ムキーとなりそうです。
京都精華大学はむかし一度だけ飲食店の出店設営で学祭に行ったことがあるだけで、その時、目の不自由な学生さんが歩いてると自然に階段などで手をさしのべて助ける学生の気風というか規範に結構感動したのですが、人にその話をすると、「左」とかリベラルとカテゴライズされる人間が、なぜか「それってあざとくね?」と云うので、わりと話して損した気分になります。黒人総長とかの部分はフンフン聞いてるのに、なぜそうなるのか。
このマンガの作者のお名前は泰作と書いて「だいさく」で、大乱は「たいらん」です。「だいらん」とは読まない。
ちょっとこれまでの巻よりうすいです。①224②256③272ページと増えてきて、ここで188ページに減。価格は本体で100エソ上がりました。デフレ脱却。『AKIRA』も四巻は微妙に薄かったしな~。
帯に文章をよせたおふたりはともに京都精華大学つながり(と考えます)ゲームセンターあらしが精華大学とは知りませんでした。天気のいい日は屋外に各自マットを持参して、水魚のポーズでもやってるんだろうか。
この巻は、サル似のひとの顔の描き方が、やや甘くなってる気がします。なんか遠慮することでもあったのか。一巻で学童期の娘さんが鬼滅の刃に夢中と書いていて、童貞も何もないもんだと思いますが、生涯童貞のどこが悪いとうそぶく還暦の人が、その後中勘助『犬』のようになったらそれもこわいので、「こころの童貞」くらいが中庸でいいのかなと思いました。
生理周期、排卵期から妊娠しやすい時期を判定する医学的知見って、近代になってからのものだと思ってましたが(オギノ式とかそういう)この物語世界ではすでにあるという。現実もそうだったのかなあ。どうだろう。だだをこねる黒姫は、都留ファミリーの日常にインスパイアされてる気もしました。
はだかのお坊さんが服を着るとサマになるところなども、流石京都暮らし、日常で和服を見る機会が多いので、しっくり描けるのだろうと思いました。サンガ浴衣デー。そういう江戸期の服装の人物たちが「帝国」で「皇帝」なのがまさにファンタジー。なんで日本人がキングダム描いたり読んだりするのか不思議に思うか思わないか、一度中国人に聞いてみたいです。吉川英治、横山光輝。お話としては、やっとヌタウナギ征伐が始まりそうなので、主人公身辺の動静に進捗が見られるんだなと。
次の巻は「本書は書き下ろしです」の一文が目次ウラか奥付に入って、その頃には『7人のシェイクスピア』休載理由が京都精華大学マンガ学部から明らかにされてくれないかと。以上
【後報】
むじなはかわいかったです。ブスリ。(同日)