『椿井文書 日本最大級の偽文書』"Tsubai Document: Japan's largest fake document."(中公新書)読了

ふと虚構新聞を見たら、著者インタビューがあって、それで読もうかと思いました。

b.hatena.ne.jp

椿井文書 - Wikipedia

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重盛さと美 - Wikipedia

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そんなことはどうでもいいというか、グーグル翻訳だと「椿井」は"tsubakii"になってしまうので、AIがんがれと思います。昨日読書感想を書いた、「襲」と書いて「かさね」と読ませる人は、姓といっしょに貼ったせいか、ちゃんと訳せてました。この結婚相談所は、ドイツ語の、アイン、ツヴァイで、「2」の意味だと思いますので、椿井政隆という文書作成者とは関係なさそうです。

本書の内容は、専門家以外にとっては、ほぼほぼ虚構新聞のインタビューでだいじょうぶ的な感じで、最近も私はくずし字に悩まされているのですが、日本史研究者と言っても、くずし字を読む訓練をしてるのは近世史だけなので、それ以外の人は、専門家なんだけど、ほぼほぼこの手のものに騙されやすい、という印象だけが残りました。私が今悩まされてるのは近代の人の手書きなんですが、それはどうなるかな。

みを(miwo) - AIくずし字認識アプリ | ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)

ledge.ai

解析:木簡・くずし字解読システム

いろいろとAIで突破しようとしてるのかもしれませんが、花押ですか、サインがモノホンとちがうようにワザと書いて、江戸時代の公文書偽造罪に問われないようにしてるなどの点は、くずし字が読めるだけではいかんともしがたく、また別の解読法が必要なんだろうと。そういうのも虚構新聞のインタビューに載ってました。中世のお城の図面が、ぜんぜん当時のベーシック攻撃&防御を意識してない、常識外のものなので、そこで「世紀の発見デスヨ~」と云うのでなく、「これは基礎知識のないシロウトのインチキ絵図だ」とグッドセンスに基づいて判断が下せる人が下した箇所は本書にあります。確か、地元贔屓で、このやまにはおらほのせんぞのとのさまのおしろがあってやんど、だから山林の利益に関しての権利は継承者である我々にありんす、と、ウソであっても言いたいだけで書いた図面だったかと。

著者の馬部さんが椿井文書に気づいたのは、院の博士課程に進んだ時、同時に枚方市の市史担当部署で非常勤職員として勤め始めた時だそうで、院に在籍しながら自治体で非常勤職員として働くことが出来るんだというのが目からウロコでした。苦しい院生の生活費の足しになるなら良いなと思います。

本書はルポルタージュとかエンタメノンフではないので、椿井政隆という稀代の偽書量産家が、どんな人間で、何を考えていたかまでは書いてません。思想的にアレだったとかそういうことはなさそうで、当時の国学のあるあるを持っていた人で、わざと気づかせるポイントを置くクセを持ってはいたが、その依ってくるところまでは推測出来ないというのが、学者である馬部さんのスタンスなようです。逆にいえば、偽書だよ~ん的なポイント(明朝体とか)をぜんぜん出さない文書は、グレーだけど疑わしきはナントカで、史料批判の対象になってないのかなとも思います。

馬部さんがほかにも書いていたのは、国史だと、そりゃ荒唐無稽なものはほかの通史と相容れないので、史料批判されたり、うっちゃられたりするけれど、史料のない地域史だと、そういうこともあろうで、トンデモ説がそのまま生きていたりするそうで、そうなのかもねと思います。埼玉県の新座(にいざ)が新羅(シルラ)からの渡来人云々で新座(にいざ)になった説など、提唱者が在日コリアンなだけ(広開土王碑日本陸軍捏造説の人だったか、違ったか)で、特に史料はないと思うんですが、まあ、まほろばロマンの一環として、高麗川の高麗神社とセットで語られるおはなしになってると思ってます。全国的、アジア的な歴史でオオウソこくと、さすがにそういうわけにいかなくて、ヤマトタケルオマーンのヤイジで火攻めにあった、古事記の焼津は静岡県でなくオマーンであると言われても、世界地図でエロマンガ島探した時についでにこの地名見つけて思いついただけだろと言われてオワリかなと。酒井勝軍だかの説だったか、ちがったか、忘れましたが。

下記はこれまでに読んだ偽書関連(の、いちぶかな)

stantsiya-iriya.hatenablog.com

stantsiya-iriya.hatenablog.com

上の、整理した本の中に、『日本の偽書』藤原明(文春新書)が見えます。以上