『恋とゲバルト (3) 』"LOVE AND GEWALT" vol.3(モーニングKC)MORNIG KC 読了

闘争の時代のうねりと共に――― 全共闘、来る!!!!

いちぶの人(ネトウヨとか)を逆なでしそうな帯のマンガ。アンダーニンジャもそうですが、たまたま寄った書店にあったので買いました。電子決済機が壊れて修復予定未定だそうで、ひさびさに現金で買い物。

2021年12月~2022年3月にコミックDAYS掲載。カバーデザイン 角田正明(ツノッチデザイン)巻末に次巻予告なし

前日感想をあげた『アンダーニンジャ』が、掲載誌ぜんたいのバランスとか、ほかの読者の視線を気にしなけらばならないのかなあというのに比べ、こっちはウェブ連載ですので、通知ほかでこのマンガだけを読みに来る読者だけを相手にすればいいので、なんしか、肩の力を抜いて気楽にやってる気がします。あるいは、好きなように描いてる。

彼らは私たちと共闘する気など最初ハナからゼロ!! 選挙で一人勝ちして自治会を牛耳る腹づもりだったのさ!! 左翼を変革する大きな事件が!? 自治会選挙で学生運動が過熱し ボクはやっぱり心が痛いです! 青春の光と影―――

帯裏。フィクションの大学なので、全共闘が結成されたといっても、どの程度のものなのか、なんに対して戦うのか、さっぱりさっぱりで(当時の世相の大きな潮流であった70年安保は作中には登場しない)このお話ではまだ安田講堂落城場面にはなってないですが(冒頭の展開通りなら、クライマックス第一波が安田講堂落城になる)玉砕の美学に感銘を受けた日本津々浦々の多種多様な大学の学内左翼組織がつぎつぎに籠城するも、特に意味のない籠城の場合誰も相手にせず、「飽きたら家に帰るだろう」くらいの扱いだったので、放置されて憤懣やるかたないわこうどたちが、自分たちで報道各社に電話したり手紙を出したりして、取材に来てけさいと要請したとかしないとかの話を思い出しました。

大学での任務を成功させ、 仙台へ帰省した東儀ひろし。 小学生の弟・たけしと高校生の諍いを 機転により解決し、東京へ舞い戻る! 校内では各学部の自治会選挙が始まり、 左派内の闘争が過熱していく。 東儀たちが警戒を広げていく中、 革狼派を牛耳るチャンスを狙う公方は、 美智子にあるミッションを出し――!? 激化する学生運動はついに革命の狼煙へ!!

カバー裏の文言。公式やアマゾンの内容紹介と同じ。

kc.kodansha.co.jp

ヒロインの昆虫食の理由が明示され、ダイインとは違うのでしょうが、頁110「私は死んだの」の場面は、元ネタは分からないのですが、私も昔同人誌に同じセリフを書いたのを思い出しました。なんかこういう有名な作品があって、モチーフにしたんだと思うんですが、思い出せない。この巻はそこそこ演劇やらギリシャ神話やらが登場しますが、そこにあった話かどうか。

この漫画は、冒頭に実在するセクト名を出したが作中では仮名のセクト名にして、「民主若衆同盟(民若)」なるものも出て来るのですが、頁140でそこが日本共産党系であるとズバリ書かれ、あれあれ政党名も日本コムレイド党とか仮名考えればよかったのにと思うより前のコマで、「民コロ」の現実まるかぶりフレーズまで登場したので、東大出て今は弁護士でバリバリやってるので、何かあったら助けてもらおうと、連絡もとったことないのに勝手に思ってるかつての友人を思い出したりしました。人間は切磋琢磨、自己研鑽すれば。どこまでもというわけではないですが、すっごいところまではゆける、という人。最後の会話が「あいつら(そこの大学の新左翼)ひでーよなー、こっちは平和的に新聞配りに来てるだけなのにいきなり以下略」要するに政党新聞買ってという電話だったんですが、懐かしかったので、忘れてない。このあたりで「トロツキスト」の単語も出るので、反意語の「スターリニスト」はいつ出るのかなと思いつつ読み、頁181に手書きで「~ズム」と書いてあるのは分かりました。ほかにもあったような気がしたですが、後から確認出来ず。

グーグルでこのマンガを検索すると、アンド検索ワードのトップが「中止」「連載中止」で、驚きましたが、コミックデイズ公式を見ると、ふつうに連載してるようで、ヨカッタです。なぜ「中止」がトップに来るんだろう。日本共産党の蠢動なのか、反共勢力による謀略なのか。

恋とゲバルト - 細野不二彦 / 第1話 | コミックDAYS

関係ないですが、最近、統一教会関連のニュースのヤフコメなど見ると、往時のノンセクト系の人などが、80年代の反原理反原連を熱く語っていて、なるほど、この時代と言えば、ホイチョイ『見栄講座』でテニスラケットのガットの中央をライターで炙ってすすをつけると、どんなタマでも芯で喰う上級者と思われますみたいな学生ばかり、と思われがちのバブル前夜'80年代学生ですが、実は60年安保70年安保に比して、80年代には反原理反原連反原発があった、と言うことが出来るのだなと目からウロコでした。むかしのことですからそれなりに盛っても分からないでしょうし「まさに昭和のSEALsであった!」くらいのウソは言っても… ダメでしょうけどね。関係ないですが、SEALsだった人は身バレ顔バレしてるので、その後現在に至るまでえんえん粘着するネトウヨがいるとの話を聞き、昔の韓国の学生運動家がなべて就職出来なかったことを思い出しました。前大統領時代は、まさにその時代のルサンチマン爆発(でもないか)話を戻すと、反原理の人も、相手が相手なのもありますが、けして性格のよい人たちではなく、むしろその逆だったのですが、現在から過去をリビルドしてしまうと、60年70年には安保だったが、80年代は反原理だったという模造記憶で、ふしぎな実装が出来そうな気もします。

何が言いたかったかというと、もし『恋とゲバルト』が中止になったら、そく続編もしくはスピノフ『恋と反原理』を描いてしまえば、何か社会的にインパクトがあるかもしれないな、ということです。

b.hatena.ne.jp

上の記事、論破王ならこれくらいして当然、とも思いますが、私もむかし、はてなダイアリーを始めた頃来た名古屋の信者の人に、こんなこと言ったような言わないような。信仰だけならええけどもや、という話。

FreshCream

頁145。頁143のほうが鮮明な絵です。ここが私的にはこの巻でイチバンでした。

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なんでかというと、クリームだから。以上