『横国刻々』vol.6 2022 "YOKOKOKU KOKUKOKU" 読了

横国刻々 - 大学案内 - 横浜国立大学

横浜国大の広報誌。

YOKOHAMA NATIONAL UNIVERSITY 

YNU

YOKOKOKU KOKUKOKU

横国刻々

YNU TIMES

vol.6 2022

YOKOHAMA NATIONAL UNIVERSITY

Take Free

「知」は、めぐる。

未来をつくる研究教育拠点大特集

和田町の切符売り場にあったので、そのとき読んでた本の栞代わりにするつもりでとって、読んでた本がすぐ読み終わったので、しょうことなしにこれをその後読んでました。年刊で、2017年から出ていて、デジタル版バックナンバーはぜんぶウェブから読めます。

編集ディレクション 立古和智、松本友也、木村颯介(fridge Inc.)

編集・執筆 松本友也、木村颯介、柏菅樹実子(fridge Inc.)

撮影 榊 智朗、吉原正敏、奥田一平

イラスト 中尾悠

アートディレクション 江原レン(mashroom design)

デザイン 高橋紗季、田口ひかり、奥田一平(mashroom design)

四ページ、『ヨココク歴史ものがたり』というマンガが載っていて、なかなか面白かったのですが、作者名が書いてなくて、なんだろうと思いました。どうも毎号描き手が変わっているようで、どの号にも作者名は書いてないです。歴代漫研部員が描いてるのだろうか。

今回のまんがは、横浜の大学なので海浜に面したみなとみらいキャンパスライフを夢見ていたのに、実際は鬱蒼とした木立の森のキャンパスで驚く新入生に、突然現れた留年森ガールが、その「森」の成り立ちについて語るというストーリーでした。1965年数ヶ所に分散していたキャンパスを程ヶ谷カントリー倶楽部跡地へ移転させることとなり、1979年移転完了後、人工的な植林植樹では逆に維持管理に費用と工数がかかってしまうので、宮脇昭という人の指導のもと、自然林を模した構成で、低木から高木、草木まで各種を人工的に配置したんだそうで、

ああ、それで人工っぽくないんだ

のひとことでFAなのですが、それではものたりないので、夏場の気温上昇を抑えるとか、火災時の防火壁になるとかなんだりかんだり書いてあります。宮脇昭センセイは平成五年に定年退職後名誉教授となり、昨年逝去。

今号は「先端科学高等研究院研究センター」の紹介で、「台風科学技術研究センター」は名前負けすること必定だと思ったのですが(まさか人口的に台風を発生させたり進路を自在に変えたりして、兵器として活用する研究をしてるわけでもないだろうので)「リスク共生社会創造センター」が予想を裏切った名前で、最初はダイバーシティとかジェンダーで、トイレをどう分けるかの定義やルールでも研究してるのかなと思ったのですが、あにはからんやいきなり「水素エネルギー」という取り扱い注意のエネルギーを、どうリスクヘッジしながら社会に取り入れていくか、ガイドラインを考えたりするんだそうで、そうなると、書いてないけど、当然「原子力」もイの一番に研究テーマなんだろうなと思いました。どうつきあうか。

また、「量子情報研究センター」は、「知ってるよ、すべての暗号を無効化するやつでしょ」と思ったのですが、書いてあることは、

(略)いまだに実用化は遠い。ネックとなるのが、量子デバイスをつなぎ合わせることで、長距離の通信を実現させることの難しさだ。

だったり、

(略)ダイヤモンドの色中心(原子構造の格子欠陥)を情報のやりとりに活用した「量子メモリ」の機能開発・性能向上にチャレンジしている。

だったりで、さっぱりさっぱり、おそろしく理解出来ませんでした。理系はスゲエな、としか。

そんな私がほっとしたのは、「KNOWLEDGE CIRCULATES THROUGH SOCIETY 横浜国大の名物授業!」のひとつ、YNU CHARACTERISTIC & ICONIC CLASS >>>01「中等教科教育法(国語Ⅳ)」で、この授業は教職を目指す学生と共に、中高の古典授業を考える講義で、その中でも中国古典文学の準教授が行う漢文講義では、実際に漢詩をつくる作業を行っているそうです。カードを並べて組み合わせるやりかたで、グループワークで30分もあれば七言絶句を一首作り上げられるんだとか。私は、現代日本語の音読みでも平仄をとらえることは可能だとかなんとかかんとか石川九楊だかなんだかかんだかの文で読んだような読まなかったような記憶がありますが、それが正しければ、日式漢詩は平仄がデタラメとの世評をくつがえして、地の利を活かし、横浜中華学校中華学院の生徒たちと漢詩対決くらいやってもいいのではないかと思いました。まあ対決しなくても、漢詩も「披講」と呼ぶのかどうか知りませんが、お互いに詠み合う会があってもいいかなと。どうも中国の古典は、丸暗記、背beiを長い歴史のあいだに膨大に積みあがったものに対して行うのがキホンのキみたいなところがありますので、もう出来上がったデータベース(四庫全書全文検索版とか)を人類第四の発明「検索」で引き出してゆけばそれでよい21世紀では、このような試みこそ楽しけれ、なのかもしれないと思いました。

以上