『閻魔への訴え』རྣམ༌ཤེས༌ཀྱི༌ཞུ༌གཏུགས། "Appeal to Yama." ཨེ༌ཉིམ༌ཚེ་རིང་། E. Nyima. Tsering 艾・尼玛次仁 / 『チベット幻想奇譚』བོད་ཀྱི༌འདྲེ༌སྒུང༌ངོ༌མཚར༌གཏམ༌ཚོགས། "Tibetan Fantasy Tales"より 読了

チベット幻想奇譚|星泉 チベットの現代作家たちが描く、現実と非現実が交錯する物語

装画・扉絵 蔵西 装釘 宗利淳一 ←クギの字を使った「装釘」は、暮らしの手帖などに使われていると、ほかの方のはてなブログで拝見しました。

収められている十三の短編の、一個一個の感想の、六個目。第二のチャプター「Ⅱ 異界 / 境界を越える」カテの作品。三浦順子サン訳。初出不明。2011年甘粛民俗出版社から出た『石と生命』《石头与生命》が底本。その本は甘粛省から出ましたが、ご本人のエ・ニマ・ツェリンサンはメインランド・チベットの山南の人、ウーというのかな、の地方の人です。

ウー (チベット) - Wikipedia

経営者としても活躍中の人だそうで、本書の著者写真は、グラサンをかけた、まあまあ横幅のあるイカツイオッサンです。が、「蔵人文化網」という、くらんどと読んで日本酒杜氏のサイトと勘違いしてはいけない、漢語によるチベット文化人紹介サイトの写真では、一部腹を抑えて目立たなくしてますが、好青年に映ってます。安田峰俊かと思った(うそです)

艾▪尼玛次仁-藏人文化网

相変わらずチベット語の打ち込みには自信がありません。著者名は間違えようがないと思ってて、最初のエはウィキペディアチベット文字でそのまんまがありましたし、

チベット文字 - Wikipedia

「ニマ」はゲンドゥン・チューキ・ニマサンのウィキペディアを拝見しましたし、

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5d/PanchenLama.jpg/435px-PanchenLama.jpg

ゲンドゥン・チューキ・ニマ - Wikipedia

bo.wikipedia.org

「ツェリン」はこれまでにもほかの作家の方の名前で出てきましたので、これでいいはずです。でもこのおなまえを打ち込んでの検索結果に、今まで出してきたという本の表紙とかが出てこないので、自信がないのです。『百年の予言』《百年命运》とか近刊なので、出てもよさげなのですが、分からない。

小説のタイトルはもっと自信ないというか、閻魔を意味するチベット語は日本語版ウィキペディアの閻魔の項目にも登場するのですが、その単語がタイトルに使われていないので、意訳かなと思ってます。

閻魔 - Wikipedia

bo.wikipedia.org

en.wikipedia.org

He is also portrayed with an erect penis.

【ネタバレ】善行を積んだので人として生まれ変わることが出来た人間が現世で苦しむだけの人生を送り、悪行を積んだので人として生まれ変われず、永遠に異形のものとして苦しむはずだったものたちは飽くことなく冤罪を訴える。善悪を映し出すはずの浄玻璃の鏡が、あろうことかコンピュータウイルスに感染して復旧のめどが立たなくなっており、万策尽きた閻魔大王は、おのおのの望むべき来世を各人に与えた。結果、人界は魑魅魍魎の生まれ変わりだけの修羅の場と化し、苦しみしかない人間界を避けた善人たちは、誰一人人間として生まれ変わろうとしなかったという。【ネタバレおわり】

いやー、こう書くと、なんか説教くさいと思う人もいるかもしれません。あまり具体的には書かれてませんが、本書の「善人が現世で受ける苦しみ」は、ニアイコール拷問です。どうなんでしょう。中国でも投資詐欺やネズミ講マルチ商法は、中国だからというべきか、相当で、ただ当局の摘発や弾圧もそれなりにあるので、そっちをおおっぴらに苦しみと書くと、当局の治安維持が成果をあげてないみたいに思われちゃうかしれないので、書けるかどうかっていう事情もあるかと思いました。アウトローの犯罪、凶悪犯罪は書いてもいいだろうし、大企業の不正など、特にそれが外資だったら、習近平体制の大好物という気もします。いくらでもエンタメで正義の公安警察が一網打尽にしてよい。あと事故等でない、人災での人生の苦しみというとなんでしょう。カルト宗教とか。西側の尺度でも邪教邪教。以上

【後報】

私が打ち込んだ『チベット幻想奇譚』の、チベット文字がいちぶ違ってるとご教示頂きましたので、つつしんで訂正します。まだほかにもあるんだろうなあ。

✖: བོད་ཀྱི༌འདྲེ༌སྒུང༌ངོ༌མཚར༌གཏམ༌ཚོགས།

○: བོད་ཀྱི༌འདྲེ༌སྒྲུང༌ངོ༌མཚར༌གཏམ༌ཚོགས། 

 

トッホッホ。(2022/11/16)