『酒のほそ道 五十二 』"SAKE NO HOSOMICHI 52"(The Narrow Road to/of Sake)[酒と肴の歳時記]by ROSWELL HOSOKI(ニチブンコミックス)(NC NICHIBUN COMICS)読了

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まえがきは、アフターコロナカの外飲みについて。かつてのようにガンガン外に出まくる生活が出来ない、つかれるからとしています。加齢ではなく、外出しないことに慣れた結果なのかもしれないと。

家飲みの利点として、①帰宅の心配をしないで済む②冷蔵庫の食材が片付く③料理の勉強になる だそうで、よいことづくめだが、それでは①世の飲食店は死活問題②外に出ないとネタが拾えない(リモートではだめでしょうか)ので、外飲みももっと活性化しようという結論。

私の個人的な意見ですが、もしコロナカにならず、TOKYO2020狂騒曲があのままヒートアップしてたら、それはそれで絶対焦げついてたと思います。インバウンドがさらなる絶頂を迎え、高齢ドライバーは出控えない。冷や水を浴びせられたことで、いったん冷静になれた人も多いのでは。出社せずとも会社は回り、リモート講義でも学生の反応は大差ない。私はかねがね、人類は早期にどこでもドアを開発実用化すべきと思っているのですが(犯罪用途の懸念を払拭する術は持ちませんが)コペルニクス的転回で、移動しないという選択を人類がすることで、同様の効果を生み出してしまい、よかったなとのぞをごろごろさせています。在宅ローンチでシームレス社会実現。

酒のほそ道』に出会った冬、初めてマリアージュを意識して熱燗と刺身を頼んでみた。最高だった。初めて酒が「うまい」と思った。菅良太郎(パンサー)お笑い芸人 酒の細道ラズウェル細木

帯。カラー口絵は名画のもじりでもなんでもなし。JD退場だからここに出てこないのか(でマツシマサンを出した)と思いましたが、本編でJD登場してました。最終回で、宗達は男性がナゾのウイルスで死滅した社会に生きるJDの脳内妄想キャラだったというオチが待っていれば、最高なんですが。

最初の話は七草粥ですが、「ビールがいっそうすすむくん」(頁14)というセリフは、清野とおるがダリッコサンとサシ飲みするまんがでも「黒ホッピーがすすむくん」という台詞を見たので、ダリッコ起源の科白ではないかと勝手に考えました。

次の話は、つまみのチーズは安っぽい(失礼)プロセスチーズに限るという話。おにぎり権兵衛のチーズおかかおにぎりのチーズは、どちらでしたか。関係ないのですが、このまんがで以前紹介されていた、ブルーチーズ大学いもを、食べてみようかと先日新宿を歩いていた時ふと思い出し、新宿の、サンペイの先のあたりのビルの上の階の居酒屋だったような… と思ってもスマホがないのでそれ以上外付けの記憶をたぐることも出来ず、そのままでした。今検索したら、まだお店はあるみたいです。ブルーチーズ大学いもがまだメニューにあるかは不明。

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次の話は、貝社員とコラボしてもよいようなネタだったが諸般の事情でボツった、と勝手に話を作ってもいいような話。菜の花と浅利の酒蒸しは、家では作らないので、おいしそうでした。

次の話に女子大生が出ます。ホヤやナマコは沖縄の豆腐ようや中国の腐乳とあわせてもいいように思いますが、タイのスプノーマイ、タケノコの発酵食品とは合わないと思いました。インドネシアのルジャクだとどうだろう。世界の料理がいろいろ試せる世の中になったおかげで、最近こういう、現地の人がニヤニヤ笑いながらこっちが初めて食べるのを見ている料理がいくらでもあるような気がして、しかし改めて考えるとそんなに思いつきませんでした。

次の話は雹。蚊がいないという設定なので五月で、作者が遭遇した吉祥寺の雹も五月。しかし私が個人的に遭遇した、ドロップ飴くらいの大きさの雹は六月だったです。先ごろ逝去した御厨さと美『NORA』では、地球が天変地異で、ソフトボール大の雹が降るようになり、当たるともちろん即死という場面があったように思います。まあでも雹は球状にはならないですよね。実物の雹を見ると、真ん中が空気抵抗でへこんで凹型になっている。

次の話はペット談義。ヴィーガンとまではいかないが、かわいいペットと同じいきものは食べられないという談義。私は、爬虫類や猛禽類(フクロウなど)を飼ってるひとが、エサのハツカネズミの死骸を、鮮度を保つため冷蔵庫に山積みで保管していると聞くと、「その冷蔵庫は専用ですよね? ほかの食品といっしょに保存してるんでしょうか?」と聞きたくなり、そっちのほうがぞわぞわします。

次は天丼の話ですが、どちらかといえば、食事中はスマホの電源を切って、外部に煩わされることなく食事に集中という主張を描いた回。しかし現実は逆に、食事しながらスマホをいじってスマホを楽しむ人の方が多いかと。何見てるのかは知りません。私は職場で、誰かが食事中スマホをいじってる横を通る時、ゲームなら「脱衣麻雀ですか?」「エロゲですか?」「また課金してる」と言うことにしていて、「全然違うから」と言い返してもらうようにしています。ラインなら「また不倫ですか」かなあ。

次は、野菜専門で、おまかせコース料理しかない居酒屋でパプリカづくしを堪能するも、再訪時もうその店はどこにあるのやら、という酔ってまち散歩あるあるネタ。私も、大森の鰯専門店と、厚木のトンテキの店がそれで、前者は再訪出来ましたが、後者はよく分かりません。酒ほその野菜専門居酒屋が閉店したとするなら、野菜専門で客が来なかったというより、ヴィーガンと思わせといて、最後に肉を出すだまし討ちが真剣に一部の客とでバトルになったのではと思います。パプリカのデザートやパプリカのリキュール、パプリカのカクテルも見たかった。

次は、小料理屋で上半身裸になる客の話。ほかは客も従業員も女性。宗達がどうその場を収めるかが見ものです。北京ビキニは北京でやって。

次の話は新にんにくという、「にんにくとは違うのだよ、にんにくとは!」について。作者がその存在を知った土井善春サンの「きょうの料理」はNHK公式にまんまありました。

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次の話は、器に汚れが残ってる、から始まって、お店のコート預かり保管場所、共用のトイレ用サンダルや座布団、床がぬらぬらしてる店の話。コートやかばんの預かり場所が物置のビールケースの上なのではないかと想像するのは、従業員の持ち物をそういう所に放り込んどくお店が多いからで、大なり小なりそういうところでバイト経験がある人も多いからだと思います。

次はフライドポテト前後編。世界のフライドポテトの中に、ペルーのサルタード一族を是非入れてほしかった。フライドポテトを肉や玉ねぎと炒めてしまうふしぎな料理。ジャンクなつまみ縛りでフライドポテトが出るのですが、他の料理に「ギョニソ炒め」というのがあり、最近ほかでも「ギョニソ」という言い方を相次いで聞き、魚肉ソーセージをギョニソを言うんだと理解しました。南米のサルチパパという料理も魚肉ソーセージで作れるんでしょうか。

ja.wikipedia.org

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次は、高騰する21世紀うなぎ社会で、如何にリーズナブルに、かつ楽しく鰻を食べれるかの話。安いファストフードの中で優劣を競うのではなく、回転寿司でうなぎ寿司を一皿頼んで、あとはほかのものを食べるのがいちばんリーズナブルで楽しいという結論に賛成します。キャビア尽くしのインフレで底の見えない奈落に落ちるより、クラッカー、カナッペ、スプーンのキャビアを楽しめという解に近い。

次の話は、氷入りビールはまずいという話。ベトナムではふつうに氷入りビールでしたが、もう昔の話なんだろうな。中国で、むかしはビール常温でしたよねと言うが如くで。

次の話はゆば前後編。京都のゆばなべの店とは関係なし。この回の松島さんは、むかし知ってた女性に似てますので、実はもてて、合コンなども常連で、女子同士で料理をふるまう家飲みなんかもやってて、そして長く付き合ってる男性も別にいる、というふうに、その人に重ね合わせて読みそうになりました。

次の話は、〆のラーメンとしゃれこんで、御贔屓のラーメン屋に職場ご一行と雪崩れ込もうとしたら、もう若くないので、とか、女子なので、とか、いろいろで、結局ぼっちラーメンになったという話。京都だと、じゃあうどんにしまっか、というふうにみんなのために方針転換するかもしれません。ラーメンじゃなくあんたと二次会つきあうのがいやなんやさ、と、実はみんな思っていて、いやいやうどんも入らへんのんすわ、ほんますんません、になるストーリーはほかの誰かが描くと思います。

次はしらたきの話。こんにゃくだからアクがあるわけで、春雨なら問題ないのにと思ったりもします。が、たらこ春雨は私も聞いたことなし。めんたいマヨ春雨ならありそう。「まぶしてある」の意味で、「まぶってる」(頁154)という単語が出ます。検索してもそういう用法は出ませんでした。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

次は、スイーツのある居酒屋の話。オチてません。

次は、甘口カレーをめぐるエトセトラ前後編。オチてはいますが、こち亀で部長が「両津いるか」と言って殴り込めばそれでオチるのと同じアルゴリズム。ひさびさに居酒屋で常連同士の口論という展開(片方は理屈っぽい)が読めて、しかもそれが本来の意味での「やおい」(山なしオチなし意味なし)なので、それはそれでよかったです。間違ってもそこで論破王など出さないでほしい。エッセー部分を読むと、作者は最近はオチを考えず自由に漫画を描いて、結果最後のコマでちゃんと落ちるそうで、熟練の域に達したのかもしれません、とヨイショしても私には益なし。褒め殺しは三文の徳。

その後、「振り返り自分史」カレー編があり、米沢で青雲の志がどうのこうのヰタ・カリーアリスで、自分探しではなくインドに行ったが、その後、日本でインド料理の練達の士にSNSで巡り合ったことのほうが与えた影響が大きく、現在は南インドミールスの自作に邁進中で、「ガラムマサラ」なんて使いたくない境地にまで至ったとか。漫研が入ってるのが第一か第二か知りませんが、生協のカレーでないことは確かなんだろうな。また、ラージプートに触れているのが、かなりうれしかったです。ご夫妻はバルセロナに移住したとむかし聞いたことがあるのですが、真否は知りません。

ラージプートの花嫁 : パキスタンカレーをムスリム・ホットで (東京三世社): 1993|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

次は「○○したら負けだと思ってる」の話。そういうのって、自分でだけ守ればいいと思うので、なぜ他者に強弁せんければならんのかが分かりません。自分との闘いなので。

あとがきの芸人さんは知らなかったので検索しました。王様のブランチでマンガ紹介してたりしましたでしょうか? 和山やまサンや『無能の鷹』の回で。それは珍しく女性が調理してるインド料理屋で見ましたが、その店は特にリピートする要素がないかったので、二、三回のあとは行ってません。

帯裏。以上