『NHKにようこそ!06』"Welcome to the N.H.K." vol.06 STORY:TATSUHIKO TAKIMOTO×KENDI OIWA:COMIC 原作 滝本竜彦×大岩ケンヂ 漫画 (Kadokawa Comics A)角川コミックス・エース 読了

月刊少年エース '06年9月号~9月号掲載。

前巻まで、「装幀・デザイン COVER DESIGN and PHOTO:大塚ギチGICHI OTSUKA(UNDERSELL Itd.)」と書いてあったのですが、それがなくなりました。カバー折の作者近影には、「撮影協力:有限会社サーカス」の文字がつき、二次元のかわいい女の子のイラストや抱き枕に囲まれた作者が写っています。また、同じようにかわいい二次元の女の子のアップの目次ページには、「©2006 S&Y PROJECT」の文字があります。

こんな感じ。と書いてから、目次の文が切れてることに気づきました。原作者の人は乙一と仲がよいそうですが、この写真はやせすぎな気がします。

頁8に「統合失調症」という単語が出ますが、ネトゲの世界でだけ会っている人物から主人公に投げられることばで、無責任に言われただけです。頁26までの主人公の家族会議では、病院に行って薬を飲めばなおるような会話があり、ひきこもりがそれでなおるという認識が彼らにはあったようです。(作中ではその後、病院に行かず、かつなおりません。行ってなおる、行ってもなおらないというストーリー上の選択を作者がしなかった。ここもループ)

頁38に、海路旅立った主人公がロシアの入国審査を受ける場面があり、へーと思いましたが、ウソでした。

後輩が専門学校の声優の卵にやたら迫られます。このまんがの唯一のよい点というか、女の子とやらないので、女の子を傷つけないという不文律の大原則があります。それはここでも適用。いくらせまってもしないので声優の卵の人のプライドは傷ついたようですが、まあプライドだけなので。野獣のようにまぐわうマンガとなり、そこに薬物が絡んでたら大変でした。

ダブリだか2ダブだかのヒロインは、クラスのいろんなグループに誘ってもらっても結局孤立し、自分より下位の女生徒と友だちになってあげようとして、そんなクラスメイトがいないことに気づき(みな友だちがすでにいる)このクラスは自分をハブにしてると学級会で告発します。頁79。こういうのも特定の宗教の教義と関係あるんでしょうか。ないんだろうな。その後、保健室でカウンセラー相手に上から目線でいろいろ知識を披露する人になります。初期の頃は「プログラム」という単語を使っていたのですが、現実とかぶったせいか、「プロジェクト」という単語に言い換えられています。さしさわりがあったんでしょうか。

主人公は新宿とおぼしき街で、ゲームとパチンコで親からもらったお年玉貯金を全額使い切り、ホームレスっぽい生活になるかと思いきや、後輩を頼って空き部屋に潜り込み、マンガ的展開で先輩に発見され、助かります。このまんがは、新興宗教を描こうとして描けなかった面もあるわけですが、新興宗教の対抗勢力としてのホームレス支援団体を詳しく描く方向にもいかなかったです。炊き出し行列に並んで、イケズなひとことを言われるなどの案はなかったのでしょうか。やればよかったのに。頁72。頁138。

しかしヒロインは、マルチ講勧誘者の兄で、オンラインゲーマーで、ひきこもりの、ゆうきまさみのマンガに出て来そうな男性を、身を挺して救います。よかったです。ひとりでも救うことが出来て。これでもうこのまんがはいいかな。この方法で現実に救えるものかどうかは別として。

頁119、リアル女性とエロいことが出来ない後輩の春の目覚めは、幼少期に触れた18禁の2次元だった、というエピソードが展開されます。よく分かりませんが、2006年はもう表現の自由とかコミケになんとかという時代は終わっていたはずで、やっぱりよくなかったと言い出す人がいてもよかったのかも。才能のある人はどこでも頭角を現すと思うのですが、アニメ、ゲームの専門学校の講義風景がちらっと頁123に登場し、仕送り貰って上京してこれはいやだと思いました。卒業後の不安が、みなバカでかいと思います。いい給料をもらう仕事につけるのかこれで、みたいな。

頁136。その後輩に迫っていた女性が、実はLGBTQ?の「L」で、後輩のことが好きなわけでもなんでもなかったという展開が、いかにも面白いでしょう的に語られますが、プライドが傷つくであろう行為と拒絶が何度もあった後でこう描くと、同様の体験をした読者へのフォローととれなくもないです。多分この女性が「かわいそう」という声は多かったと思うので。「だいじょうぶ、なぜなら彼女は百合だから」と言って、「そっか、それなら大丈夫だよね」なんて読者が納得すると思われてるとしたら、読者はなめられてますが、どうでしょう。

主人公がワンルームアパートで先輩(パートナーと別居した)と同棲生活を始めるところでこの巻は終わります。ヒモになれる要素もまた彼には欠落していた、というオチになるや否や。

で、この巻のカバー裏が、左のような絵で、なんなのかさっぱり分かりませんでした。カバーの折り目を逆に曲げると、新古書店でない古本屋ではメチャクチャ言われるので、悩みましたが、けっきょくここに置きます。

これで、大塚ギチという装幀家がおりたのか、「©2006 S&Y PROJECT」なのか。私にはさっぱり分かりません。

アップの女性以外は、主人公と後輩が作ろうとしていたエロゲキャラみたいです。ボディスーツの女性は銀河帝国のプリンセス「バシャール(仮)」だそうで、ここはネーミングがおもしろいと思いました。美少女「サイババ」美少女「和尚」が出てくればさらに面白かった。

ミニスカートにストッキングでスカーフの女性は、吸血鬼の生き残りで、山田エリス(仮)」だとか。私なら「うどん(仮)」にしたと思います。好きなJリーグクラブ、浦和レッズ。サポが買ってくれることを期待して。

もふもふした服の女性は森の精霊「ニエ(仮)」生贄の「ニエ」でしょうか。私なら森は森でも、中国湖南省張家界の森の精霊にして、アバターを意識させる。で、中国の精霊なので「~アル」としゃべることにして、「ニエアル(仮)」という名前にします。好きな海は湘南で、特に鵠沼海岸がお気に入り。好きな歌は義勇軍行進曲

以上