『サウダーデ』① "Saudade" vol.1 by Ikebe Aoi 池辺葵著(KCDX)読了

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ブッコフが広告にちょくちょく出してくるので、つい買いました。紙の新刊は版元品切れ再版未定。講談社の女性マンガで2011年刊行なので、まあそうだろうなと。電子版に寄せてる。ブッコフであまり値が下がっておらず、①②巻それぞれ¥550税込でした。①巻は帯なし。②巻はなかに帯が挟まってました。

「Kiss」2011年No.6~No.10掲載。巻末におまけ漫画。

池辺葵 - Wikipedia

茶店を営む二人の女性と、同じく女性のアルバイトと、お客の話。聖蹟桜ヶ丘の、映画の喫茶店とか、そういうのを連想しました。電子版の煽り文句だったかレビューだったかだと、客を入店拒否したり、客のプライベートにずかずか立ち入ったり(親身なわけでなく、次々イヤミを繰り出してくる)というすごい女性が主人公なのですが、読んでいて、ひょっとしたらこの人、思ったことを場の空気を読まず口に出してしまう性癖でもあるんじゃいかと思いました。

で、ほかのキャラも作者分身の法則で、似たりよったりの性格です。暴言の暴走の後、受け止められない方が悪いみたいな発言背景の解説が入ることが多く、スゲー上からだなと思いました。タイトルは、店でかかる「サウダーデ」という曲で、お客がアイリッシュバンドとカンチガイするような曲らしいのですが、さっぱり分かりませんでした。

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Saudade, saudade - Wikipedia

カタカナで検索すると、「サウダーデ」なのに「サウダージ」も含めた検索結果に勝手に改竄されて、ポルノグラフィと久保田早紀の異邦人の入ったアルバムタイトルばっか出るので、AIがおのれに自信がないケースがおうおうにしてそうなるの法則だろうと思い、"saudade"で検索すると、まず上の曲が出ますが、2022年の曲なので、作者の池辺葵サンがプレコグニション、未来予知能力の持ち主でなければそれはないということになります。

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バイオハザード2のエンディング曲もサウダーデというそうですが、これをアイリッシュバンドだとカンチガイするでしょうか。また、これがかかる喫茶店はどうなのか。

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上の曲もサウダーデ(ジ)ですが、こんなボサノヴァ100%満開な曲をアイリッシュバンドと思うものかよと。

主人公の芳乃という女性は、小学生男子に気さくに話しかけるのですが、嫌われています。成熟した女性のフェロモンを小学生男子が敏感に感じ取って警戒警報を出してるのでしょう。出張がちの父親の日記を勝手に読んで、そこに出てくる場所を巡る趣味を持つ青年は、ファザコンかもしれません。エディプスコンプレックスでは説明がつかない気瓦斯。目に光のないマモラ目のヤバいライターが出ますが、たぶん2巻でもっとヤバくなるのではと推測してます。しかし外れました。短期連載だったそうで、なので、話が全く読めないもどかしさも、計算のうちなのだろうと思っています。

"郷愁"の名を持つ喫茶店、「サウダーデ」。
待ちわびた誰かが訪れる所。そして、大切な人を待つ所。
一途が香る喫茶店です。

カバー裏の煽り文句。「イケズが香る喫茶店」の誤植の可能性もあります。

出入りの食材卸業者を使わず、スーパーで買い物し、乾燥野菜が多いという部分が、リアルでした。しかし、女子会お泊りの朝食が、和食なのに冷ややっこがオリーブ油と塩の調味料で、へんなのと思いました。以上