- 作者: 佐々木芽生
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/08/25
- メディア: 単行本
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我ながらこういう本を読むのははやい、と改めて思いました。
要点だけ読んで、読んでるようで読んでないんだろうな、と。
今週のお題「受験」
なんとなく、2014年11月14日に読書感想あげた、下記を読んだ時の気分を、
思い起こしました。ほんとはもっと下記みたいな、埋もれた名著みたいのを、
読んで日々過ごしたいと願っています。でも、本気じゃないかな。
『牧夫フランチェスコの一日―イタリア中部山村生活誌』 (NHKブックス)
『肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見』 (中公新書)
ドキュメンタリー映画に付随する本がある場合、それを読むのは、
映画だけでは描き切れなかった情報を吸収し、かつ、
映画でとおりいっぺん見ただけだと勘違いして捉えてしまった箇所を、
修正出来ますので、よいです。
本書も、映画では話が拡散してしまうので切ってある、
国際捕鯨委員会の毎回の総会風景が収録されています。
登場人物のその後についても、映画のト書きでは書き切れない情報が、
書かれています。シーシェパードの黒髑髏の旦那は、
頁100
外国人活動家はすべてパスポート番号と名前を控えられ、私たち報道関係者も名前と所属団体、滞在期間などの届け出を義務付けられた。
頁101
彼らは二〇一二年に法務局入国管理局で差し止められて以来、一度も日本への入国を許されていない。一度シーシェパードのメンバーとして太地で妨害活動をするとパスポート番号と名前が控えられ、観光目的が疑われて再入国するのが難しくなる。以後、毎年新しいメンバーが代りに太地に送り込まれるようになった。
で、彼はその後、デンマーク領フェロー諸島の捕鯨妨害にシフトし、
(あちらは血まみれをまったく隠さず延々渡り合ってるそうです。
白人同士だから騎士道精神とかで括られちゃうのかとか、
ひがんで、妄想したくなったりして)
その後組織のトップと方針の違いで衝突してやめたとのこと。
自費というふうに映画では読み取りましたが、旅行費は組織持ちで、
給与も出てたが「家族を養うにはじゅうぶんでない」とか。(頁42)
本は読んでみるもんです。日本の政治団体の人が建設業にシフトするまでには、
和歌山を襲った自然災害でご家族を失うなどの出来事もあった由。(頁273)
わんぱくフリッパーの調教師だった人が売却先にあげた北朝鮮が、
映画で字幕つかなかった点が印象的でしたが、本では記述アリです。頁267。
この本なんで図書館にあるかーと不思議でしたが、朝日新聞嫌いには、
水銀問題(一章を割いている)でアエラがマッチ役の記事書いたり、(頁176)
クラウドファンディングを始めた直後、朝日新聞が英語ニュース配信して、
そこでシーシェパードと最初のFB衝突が生じたこと(頁219)が、
おいしい燃料なので、その意味でもあっていいかもと思いました。
朝日新聞には気の毒ですが、監督は三日寝込んだ後、アメリカには、
ネガキャンの対応を専門に手掛ける「クライシスPR」という分野の、
会社があるそうで、そちらにアドヴァイスを求めています。
(その前に産経新聞の記者の助言も受けてますが、それだけ読むと、
また二項対立ガー、ウヨサヨガー、となるかな?)
下記はシーシェパード代表ポールワトソンの36ヶ条の教えの一部。
頁228
・力を結集し、組織を奮い立たせるために戦いの重荷を友だちや仲間に共有してもらえ
・目的達成に向け、得点を稼ぐためには常に相手のトラブルにつけこめ
・自分の意図や動向については偽情報を流せ
・相手の目の前で作り話をでっちあげ、それが真実であるような手がかりを残せシーシェパードは自作自演集団、そしてイルカの擬人化は、イルカ保護活動家たちのキーワード。ワトソンはそのことを利用しつつ、さらに「イルカを食べること」=「カニバリズム」、「イルカを囲うこと」=「ナチスのユダヤ人迫害」と表現するロジックを使う。
ここと水銀の前の記述ですが、監督は頁104、2015年に初めて、
鯨食します。で、なんだか分かりませんが、その日は記憶を失うまで、
焼酎飲んでます。人間て不思議なもので、食のタブーでも塩分でも糖質でも、
カロリー計算でも深夜の食事でもいいですが、いったん罪悪感が生じると、
それ以前とは同じように口に出来なくなるものだと思います。
根拠がなければいずれまた変わると思いますけど…
イルカに限らず、欧米では「賢い生き物は食べない」風潮がエスカレートし、
賢いかバカかの基準は、人間に似てるかどうかだそうです。
タコやチキンも人間に似てかしこいところがあるという人がいるとか。(頁130)
イルカに対し最初にその賢さに着目したジョン・C・リリーという脳神経学者は、
エルの食べ過ぎで学者としては消えますが、カルト信仰の中心人物に、
シフトしたそうです。頁132 Wikipediaにもケタミンとか出てるw
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BBC%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC
頁155に、中国の犬肉祭批判と中国からの猛烈な反論、そして何故か、
英語のネット上でも中国側(🐶犬食おk)にくみする言論が、
フィフティフィフティという、中国おそるべしな状況が、
紹介されています。ほんとかしら。話を戻すと、クジライルカ賢いと、
言う割りに2種類しかいないと思ってる人がいるとか、(頁109)
面白かったです。あと、日本ではドキュメンタリーは色眼鏡排除して、
出来るだけ客観的に事実を映し出さなければならないと皆思ってるが、
欧米では、それは見る人に委ねて、それぞれ判断してもらえばよいので、
プロパガンダおk、当たり前、観る方で自衛しろ、なんだとか。(頁31)
で、隠し撮りも合法だと同じところに書いてあるのですが、それは流石に、
本当だろかと思いました。ページ忘れましたが、相手の顔にカメラ向けて、
足を踏むと、相手は怒るので、怒る表情が撮れ、そこにヤバンとか、
キャプションつければいっちょあがりみたいなアカデミー賞映画のテクも、
紹介されてました。まあそういう本です。図書館で、
カバーごとビニルかけてくれたので、カバー記載の、
映画の告知が読めます。装画 山口晃 写真 Fine Line Media Japan
ブックデザイン 鈴木成一デザイン室 あとがき参考文献有。以上