- 作者: フェイケラーマン,Faye Kellerman,高橋恭美子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1993/12
- メディア: 文庫
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- 作者: Faye Kellerman
- 出版社/メーカー: William Morrow
- 発売日: 2009/10/13
- メディア: Kindle版
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カバーデザイン:小倉敏夫
解説:穂井田直美*1
前作読書感想:http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170211/1486790843
前作と異なり、事件自体に米国ユダヤ人社会固有の要素はないです。
主人公は新米ユダヤ教徒見習いとして経典やヘブライ語の学習に余念なく、
事件はこの頃の推理小説の定番というか、富裕層が絡む猟奇快楽殺人。
相変わらずこのシリーズは恋愛描写がうまいなと。
(本作は二作目ですが、新作はハーレクインロマンの出版社で訳出)
女性作家(夫婦ともに熱心なユダヤ教徒)が描く、セクシーなくたびれ中年男と、
まだ若くて美しい、信仰を持った子持ちの寡婦の戀。
ほとんど男性の一人称独白で語られてますが、
一ヶ所だけ、ヒロインのモノローグがあって、男の心理を読んで、
いたわってあげてるのに男が逆切れしてて、女も怒る場面です。それは。
頁313
スペイン語の語学力は衰えていない。最初にスペイン語を学んだのはマイアミでパトロール警官をしていたときで、キューバ人たちからきかされるろくでもない話を理解するためだった。まったくひどい話だ!
(中略)
しばらく弁護士として仕事をしたのち、デッカーはロサンゼルス市警察にはいり、そのまま東ロサンゼルスに配属が決まった。それが大きなまちがいだった。ラテン系の連中は自分たちの母国語を理解する白人を信用しない。どこにいってもスパイ扱いされ、いくら努力しても決して地域に溶けこむことはできなかった。あんな連中なんかくそくらえだ。
そのデッカーをして学習に相当苦労してるのがヘブライ語です。
学び始めの年齢差もあるでしょうが…
下記は、ハラルならぬカシェル*2を破って、ビッグマックを食べた後のラビとの会話。
頁363
「なるほど」ラビは答えた。「どうせ規定を破るのなら、もっと自慢できるようなごちそうを食べればよかったのに――ロブスターとか、エビとか、フィレミニヨンとか」
デッカーは肩をすくめた。
「わたしには理解しかねますが」ラビは思案にふけりながら言った。「道を踏みはずす学生ポハリイムは、たいていもっとも世俗的な方法で過ちを犯すものです。美しい女性と姦淫の罪を犯すのではなく、手近にいる下品な娼婦ゾナを相手にセックスをする。ロサンゼルスでいちばんおいしいレストランで食事をするのではなく、タコベルへいく。想像力があまりに乏しい。論理もなにもあったものではない。なぜそんな低い目標しかもてないのですか、ピーター」
「わかりません。自分を卑しめたいと思っているときに、そんな気取った方法は使わないと思います」
タコベルジャパン公式
http://tacobell.co.jp
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%99%E3%83%AB
頁398
ダスティンは三杯目のウイスキー・サワー、キャメロンはジン・トニックを飲んでいる。計画は順調に進んでいた。ダスティンには警官だと見破られていない。デッカーがソーダ水を注文しても、どちらも驚いた気配はなかった。禁酒中のアル中患者だと思われているのかもしれない。
そういうものですかね。
頁472
「あの日、お母さんは酒を飲んでいた。実際は重度のアルコール中毒だった。アル中患者には強い生存願望がある」
虐待の話は割愛します。
頁480
「あんたはなんにもわかっちゃいない! あの女のせいでみんな殺されるところだったんだ! だんだんひどくなってた。酔っ払うと被害妄想になる。みんなが自分を殺したがってると思いこんでた。ナイフをもってぼくたちを追いかけまわすんだぞ! 本気で親父に切りつけたことだって……」
全然関係ないけど、冒頭には先天性梅毒の少女が出ます。
次の巻は上下巻なので、また時間がかかるなあと思います。以上
作品リスト Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3#.E3.83.AA.E3.83.8A.26.E3.83.87.E3.83.83.E3.82.AB.E3.83.BC.E3.82.B7.E3.83.AA.E3.83.BC.E3.82.BA