- 作者: 橋本健二
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2008/06/28
- メディア: 単行本
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検索すると、作者ははてな市民でしたので、ヘタなことは書けないと思いましたが、
上手なことも書けないので、仕方ないと思いました。
格差社会を追及されてる方のようです。
社会学者らしく、統計から、かつての居酒屋ユーザーが、
居酒屋すら利用出来なくなるほど所得が低下し、
かつての中流ホワイトカラーがその隙間を埋める形で下方スライドしていると、
丹念に検証されています。
(元ネタ「全国消費実態調査」をどう丸めてるのか、今一つピンときませんでしたが)
さらに言えば、そのかつての居酒屋ユーザー労働者階級が居住する「下町」と、
「山の手」の境界が武蔵野台地であることなども、丹念に検証されています。
頁145
何しろ、下町と都心の間には最大で三・三倍、山の手との間には一・七倍前後の所得格差がある。課税対象所得とGDPでは正確な比較にならないが、世界各国の一人あたりGDPで三・三倍の格差といえば、日本とハンガリーやバルバドスくらいの差だし、一・七倍ならアラブ首長国連邦やギリシャとの差になる。「国境」という表現が、誇張ではないことがわかるだろう。
しかも、近年の日本で進行する全体的な格差拡大にともなって、地域間の格差も拡大している。一九九七年の統計によると、足立区の平均所得はやはり二三区で最低だったが、それでも二三区平均の七七%と八割近い水準で、港区との格差も二・一倍程度だった。わずか八年間で、この変化は大きい。富裕層がますます富裕になる一方で、貧困層が激増したことが、こうした変化の原因である。
酒つまのオータケさんが三鷹出身なのに、
ホッピーや立ち飲みを語ることへの違和感がときどきあったのですが、
そのあたりが社会学で分析されてる感じです。すっきりします。
格差以外の考現ですと、焼け跡闇市ややきとんヤキトリについて考現されてます。
これも興味深いです。明石書店の本は、読んだような読まないような…
- 作者: 佐々木道雄
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2004/07/28
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という思想があると思いますので、
この本も巻末に、どうすればよいかの提言をされています。
頁254
現在のように酒の容量に対して課税する従量税ではなく、価格に対して課税する従価税にすれば、高価な酒にはそれだけ多くの税がかけられる。酒に含まれるアルコールあたりに換算すれば、累進課税となる。現状では、ビール大瓶にかけられている酒税は一三九円、一〇〇万円のロマネコンティは六〇円である。こんな不合理が許されていいだろうか。
などなど。
でまあ思うのですが、アルコール分解酵素を持たない人と、
断酒してる人については、どう考えたらいいのかしらと。
階層による消費酒類分析のグラフも、「勤労者世帯のみ」とわざわざ注してるのですが、
行政の支援とかそういう人はこのグラフに反映されてないということかと思いました。
外飲みが出来なくなるほど所得が下がったら、
4ℓの焼酎ペットボトル抱えて、家飲みの世界に突入だわなあ、「こわい!」
連続飲酒とか、隠し酒とか、すぐそういう段階に突入する危機を孕んでる。
そこへのまなざしがない、書き切れなかったのか、あえて略したのか、
そのあたりだけ、気になっています。
酒自体の功罪を、階級ごとにわけて考察してみるのも意味がある。
以上