『創作人VOL.2』 (玄光社MOOK illustration別冊)読了

諸星大二郎のインタビューと創作風景なんかが載ってるということで、
以前紀伊國屋店内でフェースtoフェースで知人から教えてもらった時には、
全然食指をそそられなかったのですが、紙情報で教えられると、
俄然気になってしまい、Amazonで注文しようかとも思ったのですが、
書店ではじの少し曲がった本を手に取り、
「ムックってこうなるんだよなあ、別に粗雑に扱ってるわけでもないのに」
と書店業界の荒波に思いを馳せ、もしネットではじが曲がってないの入手しても、
すぐ自分の扱いで曲がっちゃうかもだし、今買っちゃえ、と買いました。

インタビューですが、漫研育ちでもないし、
美術学校経由でプロになるという発想もない時代だったと、
わざわざことわっているのが、まず印象的でした。
それを明文化しないと、いまの若い人には伝わらない時代なのでしょうか。

コムと手塚賞のあいだにアクションでの短編発表があったこと、
なんであの扇風機は回ってないんだ?」(不安の立像)
スーパーアクションとコミックトムのあいだにアクションキャラクターがあったことなど、
ファンやウェブでの著作一覧を見てる人にはいわずもがなの省略もありました。
地引地引。コマ割りの前のシナリオなんか、確かにメフィスト編集者の目を引いたと思います。

どこまでデジタル処理をしてるのか疑問でしたが、
ぼかしなどの特殊な効果(頁33)のみとのことで、
そこは納得しました。

学生時代は伝奇に興味はなく、都庁に勤めていた時代に
まぼろしの邪馬台国』を読んで、そこから古事記なんかに進んだことが、
今の作品ジャンル、分野を形作ったという話も面白かったです。

何で読んだか忘れましたが、ジャンプでデビューした頃、編集者が、
もともと澁澤龍彦を読んでてマンガ家になる奴なんかいなかった、
諸星大二郎はそういう意味でほかのまんが家と完全に基礎、血と骨が違う、
みたいな話があったと思いましたが(出典思い出せず)、
絵画や映画でもそれ系に強い人が伝奇SFを選ぶとこうなるのかみたいな感じ。

私は、日本の伝奇SFは、半村良に始まって半村良に終わったと思っているのですが、
諸星大二郎も間接的に半村良の影響があったと言わないかと思いましたが、
今回の編集者も、まず半村良で誘導しようという発想というか、
半村良という固有名詞自体考えもつかなかったようなので、
それは後世の検証を待ちたいと思います。

しかしこういう古事記との化学反応ケミストリーを起こした人は、
夜学出身で全文暗記した白川静を別にすれば、
諸星大二郎だけではないかと思いました。

西遊妖猿伝、あきたとのことですが、
火炎山のトルファンでなく、一巻で出て来た、インドハヌマーンまでちゃんと至って、
堂々と完結させてください。私の生きているうちに。お願いします。

ほかのふたりの方の箇所は、特に感想ないです。すいません。

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

http://ecx.images-amazon.com/images/I/31JT25rOfcL._SL500_AA300_.jpg
http://www.saruhage.com/works/book004.html
確かしりあがり寿のこの初期作品に、
星野之宣ヤマタイカのパロディがあったと思います。
日めくり…日めくり…ひめこここにあり…卑弥呼ここにあり…邪馬台国は日めくりだったのか!
全編そんな駄洒落話。おしまい