『百姓貴族 (1)〜(3)』 (ウィングス・コミックス)読了

百姓貴族 (3) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (3) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

読もう読もうと思いながら、家人の蔵書のどこにあるのか分からず、
なかなか読まなかった本。たまたま地層から表層に現れた。
鋼の錬金術師は読んだことがなく、
シルバースプーンもちょこちょこしか読まなかったのですが、
別にそういう作者についての知識はいらない本です。
掲載雑誌についても、
同人とかBLとかコミケには鳥取県だか島根県の人口以上の来場者がある、
などの知識もいらない本です。

気楽に読めます。北海道の開拓農民、酪農、商品作物などについて、
プロだから深いです。
それを、カジュアルな女性編集者との丁々発止のやりとりで読ませる本です。

アイヌについては、十勝の語源くらいです、出てくるの。
もし北海道がソ連だったら、という話がありますが、
みな一度はそういうことを考えるのか、東直己の小説でもそれは読んだことあります。

あと北海道独立談義。沖縄だと、かなり本気で書かれたそういう本見るのですが、
北海道だとどうなのでしょう。勿論このマンガでは軽く冗談で、
食糧自給等のネタで盛り上がっています。

農家についてのマンガですが、これは北海道の農家についてのマンガなので、
本州や沖縄の農家の耕地面積や大型特殊取得、所有率、商品作物とは違うと思いました。
東北で農家の嫁やってると家の光で読んだ池野恋や、
中国(地方)で農協指導モノカルチャーで、
ピーマンばっか出荷した経験のマンガ描いた明智抄なんかと、
対談してみたらどうなるんでしょうか。
http://ibarakinews.jp/photo/13814999428049_1.jpg
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=13814999428049
沖縄のマンガ家はよく知りませんが、五十代以上の農家が、
アメリカ時代アメリカに農業研修に行ってたのに対し、
復帰以降は北海道研修が人気と聞いたことがあり、
しかも人参収穫が人気と聞き、しりしりはそこから来たのかしら、
と思ったことがあります。
http://www.okinawatimes.co.jp/article_images/20140612/PICKH20140612_A0007000100H00007_l.jpg
沖縄タイムス 沖縄長生薬草、県内初の黒ニンジン栽培 2014年6月12日 07:34
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=72614
http://ryukyushimpo.jp/uploads/img52aa60ca54702.jpg
琉球新報 島ニンジン「甘いよ〜」 糸満で収穫最盛期 2013年12月13日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-216610-storytopic-5.html

じゃがいもを掘るキカイなんかあるんだなあ、と感心しつつ、
池上永一の小説で、大正時代の八重山の献立三食タロイモ、とか、
(カジマヤーで読んだ気がする)
そういう里芋八頭の栽培北限の山形などで、
河原でさかんに芋煮が行われていることから、
やはり縄文人の祖先は黒潮にのって南方から来たのかしら、
などとあらぬ方向に空想の翼を広げてページを繰りました。翼。与沢。

獣医になるには六年間大学に通わねばならずその学費がないからマンガ家になる、
という選択でその初志を貫徹させてしまうのは真にすごいと思います。
北海道出身のまんが家が多い理由もそこなのか。
岡田史子とか三原順とか岡田史子とか三原順とか。
大型特殊はいいと思いました。
あと、就農人口とかの話ですが、企業の農業参入が、
かつての土地なし小作農民、水吞み百姓の復活につながる危険性は当初から懸念されており、
(非正規雇用ハケンの農業従事者ですね)
すぐこの本を連想してしまいます。

東北の神武たち (新潮文庫)

東北の神武たち (新潮文庫)

まあだからといって大規模集約農業やらないのか、というと、
効率よくやるには、アメリカの農地解放で分割され過ぎた農地を、
家族経営中心で維持してゆく今の形態がいよいよ休耕地荒地続出で、
どげんかせんならんということだと思います。

あとこの本が触れていないのは、農業とウツの話かなあ。
シルバースプーンでは書いてるかもしれないけど。
農家の自殺事件の報道をニュースで聞くたび、印象を深めます。以上