『「禍いの荷を負う男」亭の殺人』
(文春文庫)*1
『「化かされた古狐」亭の憂鬱』
(文春文庫)*2
ネロ・ウルフ賞*3というのを
獲っていて、
シリーズで賞取ったのは
これだけみたいです。
だからか、アマゾン
レビューでも、
さいこうけっさく
みたいな評がありました。
今回の舞台はロンドン近郊。
実在する(した?)パブの名前を
借用し、場所を移したと
巻頭にて作者特記しています。
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本書に収録されている
左の図版を元にしたようです。
この図版は1719年のもので、
国立薬の図書館から
引っ張ってきたとあります。
磁気ネックレスというと、
現代のものと思ってしまいますが、
そもそも原題は、
"The anodyne neckrace"で、
鎮痛や痛み止め、
意訳すればヒーリング的
意味合いもある
"anodyne*4"はあれど、
「磁気」なんて
書いてないです。
じゃあ鎮痛ネックレスとは
何か、ということですが、
頁198
ドクター・チェインバレンは、骨で作った粗末なネックレス――そこのドアの上の看板に描かれているやつだ――彼のこしらえたそのネックレスが、子供の歯痛から痛風に至るまで万病を癒すと主張したのだよ――」肩をすくめて、「どれくらい売れたのか知らんが、ネックレスは一つずつ小さな密封パックに入れてあった。エネルギーを逃さんように密封したわけだ。そこの菓子屋の隣で婆さんが売っておったのだよ。店はいまでもある。婆さんのほうはとうに亡くなったがね。鎮痛磁気ネックレスはいんちき呼ばわりされたものさ。あんたもそう思うかね、警視?」
頁199
つまり元祖のチェインバレンには」――慎しく、両手でチョッキの胸を押えて、「大勢の競争相手がおった。ロング・エイカーのバーチャー。一七二〇年代に確かシャクヤクの枝でこしらえたネックレスを売り出した、〈手と大鋏〉のオクスプリング氏なる人物。そうとも、競争者は大勢おったが、わしとしては、このわしのネックレスこそ真の力を持つものだと考えたいね」
富山の薬売りも江戸時代で(ギルドとして確固とした基盤を築いたのは明治以降と記憶)、
この鎮痛ネックレスも一八世紀なので面白いな、と思い、で、
たぶん邦訳を出した時点では下記が日本で有名だったので、
それで「磁気」をつけたのかな、と思います。
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(上記URLで京都府立医科大学の御尊名を拝見するとわ…)
今なら、「いやしのネックレス」「ヒーリングネックレス」「英国ミサンガ」
とでも訳したらいいのかな、と思いました。(絶対そんなダサくは訳さないと思います)
あと、頁225の料理、ボラとフライドポテトとはどんな料理か気になりました。
イギリス人はどうやってくさみを消すのか。
ではでは