「メットガラ ドレスをまとった美術館」(原題:The First Monday in May)劇場鑑賞

http://metgala-movie.com/

他の方のブログを読んで、展覧会のテーマが中国で、
相互不理解や文化誤解が描かれてるのかなと思い、
観ようとは思ったのですが、腰が重くて、やっと今日厚木で観ました。
最後の一日じゃいかな。
http://atsugieiga.com/the-first-monday-in-may/
他の方のブログ
http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20170508/1494238255

メットガラが何かというと、ヴォーグによると、

https://www.vogue.co.jp/tag/event/metgala
メットガラは、US VOGUE編集長アナ・ウィンター主催による世界最大規模のファッションの祭典。毎年5月最初の月曜日にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催される。各界の名だたるセレブが集い、その装いに全世界のメディアが注目するファッションイベント。

とのことで、Wikipediaは英語しかありませんでしたが、
https://en.wikipedia.org/wiki/Met_Gala
映画コムの解説によると、

http://eiga.com/movie/86147/
1946年にスタートし、一流メゾンによるオートクチュールの数々、豪華セレブリティたちが集うガラパーティは、ファッション界のアカデミー賞と称されている。

とのことで、さらに映画公式の「メットガラとは?」によると、

豪華セレブリティと一流メゾンの鮮やかなオートクチュールが競い合う狂乱の一夜を主催したのは“プラダを着た悪魔”こと、アナ・ウィンター。一人あたり25,000ドル(約285万円)と高額な席料にもかかわらず600席が瞬時に満席になるのは、彼女の人脈と情熱の賜物だ。(この収益金はメトロポリタン美術館服飾部門の1年間の活動資金に充てられる)

とあり、この映画でも、アナは雪の女王何をしてるかというと、
テイクアウトのコーヒーを絶えず手に持ち乍ら、
もっぱらセレブの席割りにご執心でした。それが成功の秘訣なのか。
あとアナがやった大事な仕事はリアーナのギャラ値切ること。
ほかの誰も言えない事項だったようでした。
https://eiga.k-img.com/images/movie/86147/photo/294eec0cd5bc0a45/640.jpg?1489635144
https://eiga.com/movie/86147/gallery/3/
アナの片手がエナジードリンクでなくコーヒーなのはまだよいかも。
あと、黒人のスピリチャルみたいな車谷長吉みたいな人がいました。
ジャスティンビーバーは首に刺青入れる前です。
で、メットはメトロポリタンの略で、ガラはガラかめ、否、
ガーラ湯沢とかのガーラと同源のことばみたいでした。

ガーラ Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%A9

英語で祝祭を意味する言葉。クラシック音楽祭の「オープニングガーラ」のように使う。長音を加えずガラとすることもある。

で、私がこの映画観ようと思ったのは、この年2015年のテーマが、
中国だったからで、映画では、「鏡の中の中国」と訳されてましたが、

China: Through the Looking Glass | The Metropolitan Museum of Art
http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2015/china-through-the-looking-glass

メットだかメッツの公式中文名は、"中国:镜花水月"
(ご丁寧に"鏡"の金偏が簡体字)です。

で、まず、そうそうたる80年代90年代の名作映画が登場し、
と言ってもファッション関係にインスピ与えた観点からなので、
ベルトリッチのラストエンペラーチャン・イーモウの紅夢*1
チェン・カイコーの霸王别姬*2、ロアン・リンユイはあったかな、等々で、
で、"花样年华"と簡体字で書いたらアカンか、
花樣年華のウォン・カーウァイへのリスペクトが語られ、彼が舞台監督だかに、
なります。ここ、字幕ではチャイナドレスと書きながら、英語のセリフでは、
「チーパオ(旗袍)」と、そのまま中国語が英語にとりこまれたのだな、
と分かることばで会話されていて、これがそのまま字幕にならなかったのは、
ちょいと残念です。それだけ日本人は「チャイナドレス」という言葉が、
好きなのかもしれない。ハマトラとかあの頃の不良はなぜチャイナドレス。

で、過去のステレオタイプの中国像の映画、という展開になり、
おっこれは慕情のハン・スーインとか砲艦サンパブロのマコちゃん、
いやそれは違うか、配役オール白人のパール・バック原作大地、
とかの話をするのかな、と思いきや、全然違いました。

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こういう映画の話で、この時代は、回顧主義というか復古調、
中国でもカッコいいらしく、一時期大流行だったのですが、
でも、服飾的には、上海モダンは、男性は特に洋装なので、
なぜこれを鏡の中の中国展でことさらやるかというと、
西洋が観たステレオタイプのオリエンタルチャイナを際立たせる、
そのためだということです。アンナ・メイ・ウォンという、
ハリウッド初のアジア人女優が紹介され、彼女が演じさせられた、
ステレオタイプの中国人女性像というものが、分析されます。

アンナ・メイ・ウォン Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%B3

アジア人初のハリウッドは早川雪洲ちゃうのん、と思いましたが、
初のアジア人女優、ということだったのなら、雪洲は男優なので、
違うんだろうなあ、それでいいんだな、と後で思いました。

早川雪洲 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A9%E5%B7%9D%E9%9B%AA%E6%B4%B2

で、アンナ・メイ・ウォンがよく演じさせられた、ドラゴンレディ、
自立しているがゆえに男性にとって便利な、しかし悪女、深情け、
等々のト書きみてると、アリーマイラブでルーシー・リューが演じた役、
そのままやんけと思い、前世紀末でもあまり変わらないのなら、
今世紀も大差ないだろう、メットガラそこまで言及してるのかなと思いました。

あと、興ざめというか、これはダメだと思ったのが、
五万本だかの白薔薇と青い薔薇(高そう)で、
巨大な青磁のオブジェを作る場面。
植物と磁器では質感がまるで違い、透明感がなくて、ヒドいです。
これは肌のキメの粗い白人と関係…はないでしょうが、
東洋人のしっとり肌なら、こんなツヤのない壺オブジェ考えないだろう、
う〜んどうだろうと思いました。

アナもロクに知識がないのか、本土中国人記者のことをあとで、
1949年以前の歴史は存在しないと思ってるのかしら、みたいな、
岡田英弘も苦笑するようなバカトークしてたりして、それで、
ウォン・カーウァイが、ブッダ毛沢東を並べて展示する案に、
消極的姿勢で抵抗し続けたところ、これもよかった。やってたらバカすぎる。
トランプ大統領とローマ法皇並べた展示を北京や平壌でやられたら、
嫌というか、あいつらオリエンタルはやっぱ西洋のこと分かってないなー、
と思うだろうに。ウォンがメインランドチャイナ寄りなわけでは無論なく、
香港人の彼は北京での会見で英語使ってて、アナ分かるかと思いました。
でも、彼の頭の中では、下記の曲とかぐるぐる回っていたのではないか。

グオペイという北京人のデザイナーの語りは全部北京語で、
しかし私にもほぼ分かるくらい平易で、かつそらさない、
立派なインタビューで、マレーシアやシンガポール
南方すべて、日常で普通話喋らないすべての人にも、
聞いてほしい、そういう独白なんだなと思いました。
ここはよかった。中国の小さなお針子。それは違うけど。

郭培 百度百科
https://baike.baidu.com/item/%E9%83%AD%E5%9F%B9
Guo Pei Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Guo_Pei
公式 http://www.guo-pei.fr/