- 作者: 宮坂静生
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/10/21
- メディア: 新書
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頁147
月は月の他にこのように用いていいとの季語案内であるが、明白なのはここにあがっているのはみんな知識である。それも中国の古典や民間伝承からのもの。先にも述べたように、西郷信綱が奈良朝から平安朝初期にかけての貴族の社会は「大唐国の植民地」(『日本古代文学史』)だと書いているが、中国の植民地支配は、月文化に関しては古代のみならず江戸時代末まで続いたのである。文人はいかに中国文化のことばとしての知識を消化し、実体に近づくかに躍起であった。歌語の月から独自な季語など生まれようがなかった。
大部分の日本人はそれでよしとし、植民地なるが故に豊富な知識を安心して駆使し楽しんできたのである。
しかし、この植民地支配に身をもって立ち向かったのが西行であった。
たまたま古本屋で買った本。
西行と、あと、芭蕉は、従来の漢文学から借用した様式美に対し、
己のパトスや体験を季語に籠めた改革者だったみたいですよ。
あとは縄文とか、万葉集とか。うん。