『うなぎでワインが飲めますか?―そば、てんぷら、チョコレートまでのワイン相性術』 (角川oneテーマ21)読了

え〜、ソムリエの書いた本です。
最近はアプリソムリエなんてのもいるそうで、よく分かりませんな。
よく分かりません。ヨク分カラナイダカラ。モルゲッスムニダ。
ヤ、ニエッ、パニマーニュ。不暁得。
タイトルは戦略的に付けられたもので、書名ソムリエ帯ソムリエが活躍したんでしょう。
著者的には勿論うなぎに合うワインもあるわけで、
産地、ブドウ品種、価格の折り合いの3ポイントから総合的にオススメを提案されてます。
このへんマーケソムリエも参考にすべきですね。
著者はさすがソムリエ第一人者だけあって、昨今の粗製乱造ソムリエに厳しいです。
ソムリエである以前に、一人前のサービスマンたれ!てところでしょうか。
あくまでお客さまが食事を楽しむアシストに徹すべき、との基本姿勢です。

・ただ、そのお客さまを、
 ホスト(おごる人)とゲスト(おまねきされる人)に分ける欧米文化(+日本以外のアジア) と、
 ワリカン(ダッチアカウント)の日本文化の違いというのがね。
 頁184「ホストの役割をしっかり果たしていますか?」などを見ても、
 著者がもどかしく思い、やきもきしているのが分かります。
 例え割り勘であっても、食べログぐるなびで見つけたお店に連れを連れていく人が
 ホストの役割になるわけですから、
 ソムリエがビールねえとか食前酒に専門用語だらけのあーだこーだごたく並べても、
 しったかぶりしないで、それってどういう意味ですか、としっかり聞いて、
 しっかりリードしてイニシアチブをとって妥当な価格のオーダー決めて、
 最終的に食事を楽しいものにしろよ、ってとこでしょうか。
 そういえば、シロヨ(싫어요)はハングルで「いやや」の意味ですね。
・『神の雫』流発音だとブショネ、この本ではブッショネは、神の雫だと素人でもすぐ分かる
 みたいに書いてある気がしましたが、この本によると、呑みつけてないと本場の人であっても
 ソムリエでも分からないそう。勉強になりました。

神の雫 DVD-BOX

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神の雫(1) (モーニング KC)

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・ヴィンテージ・ワインというのは聞いたことがありましたが、ヴァライタル・ワイン、
 ジェネリック・ワインというのは初めて聞きました。(頁84)殊に後者は、ジェネリック薬品
 が浸透していることもあり、ちょくちょく使ってみたい単語だと思います。いいよね、
 ジェネリック・ワイン。発泡酒ジェネリック・ビアー、三増日本酒もジェネリック清酒
 呼べば解決ですよ。
・ポートワインや赤玉パンチはワインのニセモノだと思っていましたが、酒精強化ワイン、
 フォーティファイドワインと呼ぶのですね。シェリー酒もそうなのか。勉強になりました。
 中国でむかし唯一流通してた青島ワインはこればっかなんですよね。よし、これから胸
 はって電気ブラン養命酒飲もう、て、もう飲めないのか。わっはっは、忘れてた。
http://www.suntory.co.jp/wine/original/akadama/img/04-01.jpg
・ヴィンテージに関しては、バースデー・ヴィンテージの話が面白かったです。
 女性がこれに関しては、ついサバ読まず正直に話してしまうという…

著者の育った相模原には、日本ワイナリーのはしりともいえるゲイマーワインが
あったわけで、ゲイマーワインについては、検索すれば民間のいろんなサイトで
詳しくしのばれているわけで、やはり人を育てるにはそれなりの土壌があったと思います。

覚えていますか?あの強い味 大野台・ゲイマーワイン思い出話
タウンニュース さがみはら南区版 掲載号:2012年11月22日号
http://www.townnews.co.jp/0302/2012/11/22/166147.html

頁182
略)これは、日本人の酒を飲む目的は酔うことにあり、酔ってコミュニケーションを図る、酔ってうっぷんを晴らす、酔って盛り上がる、などということが前提となっているのです。しかしフランスやイタリア、スペインなどでごく日常的に家庭などの毎食事にワインが供されるのは、家庭全員で酔うのが目的ではありません。主たる目的はより食事を美味しく、そして次に愉しくあることでしょう。もちろん愉しくあるために、ある程度のワインのアルコールによる“酔い”もその要素になってはいますが、日本人の考えるところの“酔い”とは少しニュアンスが異なります。

頁183
 一方田舎のビストロのたとえば仔羊の煮込みなどは。料理だけ食べているとしだいにワンパターンの味わいに飽きてしまったり、なにかものたりなく感じたりすることがありますが、ワインを飲むことで、ワインの酸味や苦味などが料理の味を引きしめ、ワインの風味がスパイスの代わりとなり、がぜんおいしく感じるのです。

日本人と欧米人のアルコール分解酵素保有量の違いとかそういう話は置くとして、
ページは忘れましたが、蒸留酒をワイン同様朝から飲んでて、肝臓理由の死亡率が高い
ヨーロッパの田舎の話もあります。そういう本でした。
頁175で、赤は常温か冷やしたのどちらになさいますかと居酒屋アルバイトに聞かれ、
棍棒で頭を殴られたかのような衝撃を受けたシーンが好きです。
(赤を飲む場合、ヨーロッパより日本は室温が高すぎることにプロが気付けなかった)
おしまい。