これも図書館で「ラマダン」で検索して出てきた本。トルコの民話を英国出身のインド系ムスリム作家が執筆し、インドの女性イラストレーターが絵を描き、インドで出版されたそうです。訳者はペルシャ語畑の人。巻末の「訳者のことば」で、インドだからイードのごちそうがビリヤニやサモサなんですよと書いてます。トルコだったらポロとマントゥになるはず。
装丁 森枝雄司 2017年4月初刷 原書は2007年刊
Fawzia Gilani-Williams - Wikipedia
作者はこんな人。本書時点では勤務先のUAE教育省と夫と娘が住む米国を往復する生活を送っているとか。
イラストレーターは額にティカをつけているので、ヒンディーです。UAEの絵本『ラマダーン』もアルゼンチンのイラストレーターが描いてましたし、偶像を描くことを忌避するムスリマだと絵本の挿絵は難しいのかなあと思いました。全ページ幾何学模様やアラベスクの絵本があっても、それはそれで斬新と思うので、回教徒の子どもにはそういう絵本を与えてほしいです。絵だけ他教徒に描かせても、読み聞かせの対象はムスリム児童なんだろうから。
本書はインドで英語版だけでなく、各言語版が出版されてます。上のサイトで各言語版のさわりが見れます。表紙だけ下記、グーグルレンズで写しました。
Hindi ヒンディー語
इस्मत की ईद
फौज़िया गीलानी विलियम्स
चित्रांकन प्रोइती राय
अनुवाद राजेश उत्साही
Bengali ベンガル語
ইসম্মতের ঈদ
ফাওজিয়া গিলানি-উইলিয়াম্স
চিত্র প্রৈতি রায়
অনুবাদ ঊষশী দাস
Marathi マラーティー語
अिस्मतची आद
फौझिया गिलानी-विल्यम्स्
चित्रे प्रोईती रॉय
अनुवाद स्नेहलता दातार
Gujarati グジャラート語
ઈસ્મતની δε
ફૌઝિયા ગિલાની-વિલિયમ્સ
ચિત્રો પ્રોયતી રૉય
અનુવાદ રેખા ભીમાણી
Telugu テルグ語(バーフバリの言語)
ఇస్మత్ ఈద్
ఫౌజియా గీలానీ-విలియమ్స్
చిత్రాలు ప్రోయితి రాయ్
అనువాదం శేషు కుమార్ బి. వి
Kannada カンナダ語(大野晋サンがハングルのルーツかもと云った言語)
ಇಸ್ಮತ್ಽ ఈదో
థౌజియా గిలాని - విలియంనో
ಚಿತ್ರಗಳು ಪ್ರೋಯ್ತಿ ರಾಯ್
ಅನುವಾದ ಜಯಶ್ರೀ ಕಾಸರವಳ್ಳಿ
Tamil タミル語(大野晋サンが日本語のルーツかもと云った言語)
இஸ்மத்தின் ஈத்
ஃபௌஸியா கிலானி-வில்லியம்ஸ்
படங்கள் ப்ரோய்தி ராய்
தமிழாக்கம் ரங்கஸ்ரீ ஸ்ரீநிவாஸ்
マラーティーがコピーのさい語順がおかしかったり、カンナダ語は題字の上の行をグーグルが文字と認識してくれなかったので切り貼りしましたが、「ನ」は貼り付けると前の字の関係で字形が変化してしまい、表紙のとおりにならないので仕方なく違う字の「ಽ」を貼ったりとかでした。
で、インドイスラム教徒最大多数の言語、ウルドゥーがないです。なぜかウルドゥーでは出版されてない。インドのイスラム教徒は人口一億八千万人(出版時)で、中東でいちばん人口の多いエジプトより多いと「訳者のことば」にあるのですが、その最大勢力の文字がないのは、なんでかとふしぎでした。パキスタンのことばだから出版しなかったのかなあ。文字は違えど、音波ではヒンディーといっしょなので、ウルドゥーで出版してもよかったと思います。バングラディシュのベンガル語と、スリランカムスリムの多数派言語タミル語はあります。
というか、ウルドゥーがないことで、非ムスリムへの布教目的も兼ねた本なんじゃいかと勘ぐってみたり。じっさいはそうでもないですが、理念上は、誠実な回教徒なら偶像を描いた絵が巻頭から巻末迄ずらずら載ってる本を手に取るはずもないだろうから、異教徒でイードに関心を持った層がターゲットと邪推。
ただまあ、例えば、黒いチャドル一択でなく、カラフルなヒジャブです。母親に贈るかぶりものも、水色。ドゥパッタという、宗教関係なく着られるかぶりぬのです。
い な い
ね ん だ
え か 娘
。 か は
ぶ ヒ
っ ジ
ち ャ
かみさんは鼻ピアス。鼻ピアスのムスリマが存在するのか、アリかナシか知りません。
そういう絵本です。誰かウルドゥー版出してけさい。以上