『酒のほそ道 6』 (ニチブンコミックス)読了

酒のほそ道 6 (ニチブンコミックス)

酒のほそ道 6 (ニチブンコミックス)

初版から12年、昨年春の16刷が届きました。
巻頭カラーページから、
旅先といえども、真昼の酒はほどほどに。
との注意があり、まえがきでも、

 机の横に酒のグラスを置いて飲みながら仕事をしていた、というマンガ家の大先生のウワサを二例ほど聞いたことがある。それで、立派なマンガが描けるのだから、やっぱり大先生というのはスゴい。朝まで飲んでてそのまま土俵に上がって勝っちゃう往年の名力士みたいだ。私ごときにはとてもできるワザではない。飲んだら最後、何にもしたくなくなっちゃうもん。
 もっとも、お二人ともすでにこの世にはいらっしゃらず、仕事中も飲んでるってのはやっぱりちょっとヤバいんじゃないかな。それって結局、起きてるあいだじゅう飲んでるってことでしょ。

と攻める。コラムでも、
「酒の失態①乗り越し②ケンカ③忘れ物④記憶喪失⑤二日酔い」と攻める。
とどめは第六話「酒人生」
酒豪が年を経て問題飲酒暴力飲酒仕事に影響転職家庭崩壊、
人間関係が築けず酒に逃げ内臓etc.(譫妄離脱肝臓でなく、膵臓
アル中病棟でなく内科入院で、見舞った宗達が帰り道、
明日からの禁酒を誓って祝杯をあげて終わる話。
この巻は攻めの話が多くて、よかった。

頁62マレーシア旅行ではイスラム教の戒酒について想いを馳せ、
海釣りの話はとにかく釣った魚の鮮度の描写がいい。
屋形船は乗ってみるとたいしたことない、の話は、
私は友人が屋形船でアルバイトをしていたことがあり、いろいろ聞いていたので、
うなづくことしきりでした。戸口を開け放しておくコラムもいい。

マンガも、女子大生麗ちゃんと竹の股らが知己であることが分かる話があり、
(コンビニ本にも収録されてますが、読み飛ばしてました)
宗達がかすみと麗を混同してかすみから言葉責めを受ける話、
白身魚の握りの話などよい話ばかりでした。コンビニ本に入っていない(と思う)話も、
盆踊り、牡蠣の殻、ナマ銀杏、板前が目の前の鉄板で切って出してくれる高級ステーキ、
などよい話が盛り沢山。

難を言うなら、焼き餃子を水餃子の下に置く発想のシーンと、
日本人の発明である回転テーブル*1をくさす場面くらい。
当時の中国はそうだったかもしれませんが、今は中国も羽根つきギョーザ好きさ。
回転テーブルは、けっこう好きなので、くさされて残念。
香港式のそれは、日本でそれを置いている店も無論あるのですが、
臨機応変に人数変更に対応出来るかどうかの細やかな神経が、
どんどん摩耗消耗している気がします。
疲れるわけですよ、そういうころころ変わるお客さん対応は。
おしまい

【後報】
あとがきに文を寄せているのはデーブ・スペクターでした。
(2014/2/5)