『インド酔夢行』 (講談社文芸文庫)読了

インド酔夢行 (講談社文芸文庫)

インド酔夢行 (講談社文芸文庫)

ぱらぱらめくっては棚に戻していた本書ですが、
小学三年生の時読書感想文の数をクラスで争った時に水増しするために
一年のとき読んだエルマーとりゅうの読書感想を再度書いたみたいな心理で、
いちおうタムラの本で、「酔」の字がタイトルに入ってるからとっとくか、
くらいの不遜な気持ちであっと云う間に読んだ本です。
すでにサケであれなタムラ先生ですので、この本も、
他人の本や辞書の定義部分の引用文をずらずら並べて字数原稿料を稼ぐテクニックを
縦横無尽に駆使しており、やはりか、と、苦笑しました。
1970年代、オイルショックの頃のインド旅行ですが、この頃のインドのほうが、
あとの時代より酒入手しやすかったのじゃないか、みたいな紀行文です。
旅のグとかで読んだ気がする(ちがうかな)、インドは酒より93だが、
南のコモリン岬のほうに降りてくとキリスト教ゾーンにはいるせいか
リカーパーミットとかが取れて酒買いやすくなる、みたいな話は、
この本には一切ありません。気ままにオールドパー飲んでます。
泊まるホテルもお湯のシャワーが出るところが多い。
残念なのは、英語ペラペラの翻訳業の作者なら、インド旅行する日本人の、
エイゴコンプレックスから来る鬱屈を軽く超越出来てるはずなのに、
軽く超越しすぎててそういうものが一般日本人にあることに気付いてない、
そのあたりが残念です。といっても、まだ海外渡航完全自由じゃない時代だから、
渡航する日本人はそれなりに英語力叩き込まれてる人ばかりだから、
関係ないのか。

インド旅行の本は、やはり妹尾河童の本が好きです。
貧乏旅行は誰でも出来るが、マハラジャ旅行は、
金のある人しか出来ないし、で、その記録を取る、見せる才能のある人は、
なかなかいないからです。妹尾河童は素晴らしかった。

河童が覗いたインド (新潮文庫)

河童が覗いたインド (新潮文庫)