新潮文庫で読みました。
- 作者: 永井荷風
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1987/03/16
- メディア: 文庫
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『花影』*1のAmazon関連商品で出てきたので、興味を引かれて読みました。
Amazonレビューで、今も昔もお水は変わらない、みたいな感想があり、
そうだな、と読んで思いました。『花影』より全然暖かいです。
…車内でガラケーから書いてみましたが、もう勘弁ならんですまどろっこしい。
なぜガラケーから記事を書くと、日付自体のタイトルが作られてしまうのでしょう。
以下後報です。
【後報】
岩波文庫の解説:中村真一郎*2
こうやって検索すると、
いかに自分が文学者や
研究者を知らないか
分かります。
上の三人誰も知らない。
で、注解が面白かったです。
時折混ざる、
註者の私見が好ましい。
(四〇)焼パンとコーヒーと……
この作品には、荷風の反俗的で孤独な、わびしい私生活の一端がよく出ている。
(八〇)実業家の……
荷風独自の時代観を知ることのできる部分である。とくに、世態、風俗を洞察し、「帝劇」と「三越」の建設を「一時代の出現」とみるところは、すこぶるユニークである。
この、註の40にはこの後、
西洋独活の罐詰、
アスパラガスが
出てきます。
アーティチョークやビーツ、
ザワークラウトまで
出てきたら、
もっとすごかったか。
ほかにもジャムパンを
あぶる場面があり、
パンは必ずあぶって
食べていた感じです。
七輪でなく、ガスかな?
また、牛乳は配達してもらったものを必ず沸かして飲んでいます。
外食の支那料理、中華で、チャウシュウとフウヨンタン、御飯しん香を誂え(頁246)
とあり、フウヨンタンは註がないのですが、芙蓉蛋、蟹たまのカニなしと思います。
南の訛りで、「蓉」のr音が変化してると思う。
漢字表記だと工藤久美子『カナダ遊戯楼に降る雪は』にも出てくる料理ですが、
当時の浅草では、注釈なしで通じた料理だったんのんでしょうか。
ただ、わたしが玉子焼に醤油をかけてやるのを待つように箸を取り(頁247)とあり、
餡かけでなくただの玉子焼きなのか?とも思いました。
あと、「寝」を「寐」と書くのが印象に残りました。
頁270
その時分から、住所の定まらない独身者で、酔うと自慢らしく二十の頃或料理屋の女中に生せた女の児が、その後成長して向嶋の芸者になっているのに巡り会い、親子の名乗りをしてから、食うものと着るものには不自由しない御隠居になった。観音様へお参りはせずとも、孝の道を説かれた孔子様の教がある間は大丈夫だよと言って、よく人を笑わせていたのを思合せると、
孔子もいい迷惑でしょう。
今はこういうことはないだろうけれど、こういうのが好きで荷風読む人が多いんだろうな、
と思いました。以上
(2014/11/7)