『つゆのあとさき・踊子』(新潮文庫)読了

新潮文庫で読みました。

つゆのあとさき (岩波文庫 緑 41-4)

つゆのあとさき (岩波文庫 緑 41-4)

岩波文庫は解説だけ参照しました。
『花影』*1Amazon関連商品で出てきたので、興味を引かれて読みました。
Amazonレビューで、今も昔もお水は変わらない、みたいな感想があり、
そうだな、と読んで思いました。『花影』より全然暖かいです。

…車内でガラケーから書いてみましたが、もう勘弁ならんですまどろっこしい。
なぜガラケーから記事を書くと、日付自体のタイトルが作られてしまうのでしょう。
以下後報です。
【後報】
岩波文庫の解説:中村真一郎*2

新潮文庫の解説:秋庭太郎*3

新潮文庫の注解:紅野敏郎*4

こうやって検索すると、
いかに自分が文学者や
研究者を知らないか
分かります。
上の三人誰も知らない。

で、注解が面白かったです。
時折混ざる、
註者の私見が好ましい。

(四〇)焼パンとコーヒーと……

この作品には、荷風の反俗的で孤独な、わびしい私生活の一端がよく出ている。

(八〇)実業家の…… 

荷風独自の時代観を知ることのできる部分である。とくに、世態、風俗を洞察し、「帝劇」と「三越」の建設を「一時代の出現」とみるところは、すこぶるユニークである。

この、註の40にはこの後、
西洋独活の罐詰
アスパラガスが
出てきます。
アーティチョークやビーツ、
ザワークラウトまで
出てきたら、
もっとすごかったか。

ほかにもジャムパンを
あぶる場面があり、
パンは必ずあぶって
食べていた感じです。
七輪でなく、ガスかな?

また、牛乳は配達してもらったものを必ず沸かして飲んでいます。
外食の支那料理、中華で、チャウシュウとフウヨンタン、御飯しん香を誂え(頁246)
とあり、フウヨンタンは註がないのですが、芙蓉蛋、蟹たまのカニなしと思います。
南の訛りで、「蓉」のr音が変化してると思う。
漢字表記だと工藤久美子『カナダ遊戯楼に降る雪は』にも出てくる料理ですが、
当時の浅草では、注釈なしで通じた料理だったんのんでしょうか。
ただ、わたしが玉子焼に醤油をかけてやるのを待つように箸を取り(頁247)とあり、
餡かけでなくただの玉子焼きなのか?とも思いました。

あと、「寝」を「寐」と書くのが印象に残りました。

頁270
その時分から、住所の定まらない独身者で、酔うと自慢らしく二十の頃或料理屋の女中に生せた女の児が、その後成長して向嶋の芸者になっているのに巡り会い、親子の名乗りをしてから、食うものと着るものには不自由しない御隠居になった。観音様へお参りはせずとも、孝の道を説かれた孔子様の教がある間は大丈夫だよと言って、よく人を笑わせていたのを思合せると、

孔子もいい迷惑でしょう。
今はこういうことはないだろうけれど、こういうのが好きで荷風読む人が多いんだろうな、
と思いました。以上
(2014/11/7)