『少年は荒野をめざす』5⃣ 6⃣ "The boy heads for the wilderness"(Shōnen wa Kōya wo Mezasu)vol.5 and 6 (conclude) by Yoshino Sakumi 吉野朔美(ぶ~けコミックス)"BOUQUET COMICS" 読了

カバー(部分)

⑤巻のみ図書館蔵書がないかったので、ブッコフで百十円で買いました。

ぶ~けコミックス⑤のカバ折がマーガレットコミックス電子版⑤の表紙。

デジタル版⑥巻の表紙がどこから来てるのかは、ぼーっと読んでいたので分かりません。紙版⑥巻のカバ折りは電子版③巻の表紙です。電子版①巻の表紙は⑥巻頁47、髪をあげた日夏サンと狩野母の対話の前の見開きから。

衝撃の④巻がオマケなし、広告なしだったのに対し、⑤巻は吉野サンの母親と父親と弟についてのエッセーまんがが載っています。麻雀をやる家庭だったとか、母親がペン入れしたイラストとかが載ってます。⑤巻巻末広告は『マインカンプ ー真田幸恵の闘争ー』上座理保『終止符エンドマークではじまる』生田悠理。⑥巻巻末広告はワイド版『子供はなんでも知っている』岩舘真理子『…点点点 ーまぬけんぼう庭子の記録ー』九月乃梨子と、『楽園から』生田悠理。平成2年2月現在の全作品リストあり。ついでに書くと、③巻巻末広告は『ニジンスキー寓話第三章』有吉京子『純情クレイジーフルーツ』続編④松苗あけみ『クリスタル・バラード』水星茗。

⑤巻が62年2月号から5月号まで。母親まんがはぶ~けデラックス62年7月10日号。父親まんがと弟まんがは描き下ろし。⑥巻は62年6月号から9月号まで。西暦じゃありません。

ヒマワリが⑥巻カバー裏ですが、お話的には⑤巻が残暑です。座間のひまわりまつりからの帰り道のような、ぐったりしたひまわりを手にした主人公が汗だくで歩いたりしています。胸がぺたんこな少女の脇の下の絵が見たい人はどうぞ。たしかどこかのページで、オッサンに胸元をぺらっとひろげられて肋骨だかビーチクだかも見られるコマがあります。週刊朝日デキゴトロジー」で水泳監視員が言っていたのですが、胸のある子よりない子のほうが、水着の胸元を直す時、上から胸が見えるんだとか。だそうです。

万両もしくは南天が⑤巻のカバー裏ですが、お話としては⑥巻です。木守柿から始まって、冬。

お話としては、黄身島陸の複雑な家庭環境(いつも和装で髪を結いあげている黄身島克津也という母親が入り婿の父親と結婚する前にほかの男と恋愛して生まれた子が陸)を調べ上げた日夏雄高サンが陸の恋人序列一位の貴久鳥子サンをそそのかして、アラスカでパイロットをしているその男性、篠原海路(たぶん独身)を引っ張ってきて、日夏邸にはハイネケンがたくさんあって(頁100)篠原は西木正明の小説のようにアラスカへ帰国。そして陸は失踪し、狩野も彼に同調し、トーヨコキッズの1990年代版みたいなプチ家出になり、自殺の真似ごと、プチ自傷を繰り返し、そして… という展開です。正直いらないと思った。これに惹かれる読者もいるのでしょうが、拘泥し続けてはいけない。いつまでもファーストガンダムを観てるようなもの。それは刷り込みの反射でしかない。

頁70「カゼ薬でトリップしちゃうのがあるって 知ってる?」という陸のせりふは編集者がケンカしてでも削らせたほうがよかったと思う。あまりに唐突。けっきょく薬局が開いてない時間だったので購入出来ないのですが、どうも山手線の内側、営団地下鉄があって、さらに、まだまだ戸建て住宅もあるようなあたりで家出野宿してる感じなので、24時間営業の薬局も当時からあるのにと思いました。ギロッポンから地下鉄でひと駅かふた駅。赤坂だったかどこだったか。お金持ってるふたりがあまり真剣でなくてよかった。

ねたばれでいうと、その後、陸と鳥子は駅(有人改札。キップにハサミを入れる人がいます。大阪人が読んで「東京遅れとるわ、アホちゃう」と鬼の首をとったように狂喜乱舞する画)ですれちがっても目も合わせず会話も交わさず、陸はアラスカへ。犬は老衰死。ペド日夏さんは探さないで下さいという置手紙を残して傷心旅行へ。狩野は事件後小説を書かないでいたのが、ふたたび書き始めるのかなというラスト。あくまで厨二病の範疇で話を収めるので、懐かしいと思う人はそれでいいというレベル。四巻で、現実が作中の美学を侵食してきた時のおぞましさを、その後の連載で必死に修復、リハッブに追われた展開だったと思いました。

六巻巻末のコミックス広告。1988年2月の初刷、読んだのは1990年2月の三刷。なので、『ジュリエットの卵』も全巻?載ってます。

カバーを外した表紙(部分)

カバーを外した表紙(部分)

カバーを外した表紙(部分)

以上