『アガワとダンの幸せになるためのワイン修業 ゴージャスワイン編』『アガワとダンの幸せになるためのワイン修業 カジュアルワイン編』読了

図書館の産業別書籍の、食品、発酵食品、酒類と進んだ棚で、偶然見つけた本。
阿川佐和子はベストセラーもあるし、週刊文春の対談連載、この人に会いたい!もあるし、
週刊朝日の対談連載は林真理子で、ハッキリカラーを分けていて素晴らしい)
今のテレビは知りませんが、TVタックルでしたか、
たけしや大竹まことに相対して顔を売りましたし、
消えている印象はないですが、檀ふみは、そういえば地味な人だし、見ないな、と思い、
そういうことを読書感想で書けばいいかと思って借りました。

檀れいはともかく、壇蜜に関して、
インリンの後ろにいたナントカスキーとかナントカビッチみたいなプロデュース役を、
火宅の人の娘がやってたら事実は小説より奇なりで面白いのですが、
勿論そういう事実はなく、残念です。れいの金麦も同様。

検索すると、直接的な記事はなかったのですが、
母親の介護とか、いろいろなんだな、と、伺える個人のブログが幾つかあり、
穏やかな生活を送られてるのだな、と思いました。
私はあまり新刊を読まないので、読んだ本の作者がお亡くなりになられていたり*1
火事にあわれていたり*2、不明だったり*3
いろいろ検索して考えさせられることも多いのですが、
さすがに檀ふみくらい名前の出ている方になると、
便りのないのはよい知らせ、と言えると思います。
(そして、今年の大河に吉田松陰の母親役で出ていると知りました。
 子どもがもう大きくなってるので、特に出番のない母らしいですが…)

カジュアル編 頁102
檀 あのぉ、先生、「タスカン」って何なんでしょう?
金子 「トスカーナ」のことです。
檀 じゃあ、「超トスカーナ」という意味なんですか。
金子 英語圏では「スーパータスカニー」とも言います。ブルゴーニュを「バーガンディー」と呼ぶようなものです。
檀 スーパータスカンと名が付くものは、普通のタスカンよりもおいしいんですか?

カジュアル編 頁130
 誰もこんなところで高級ワインなんかできないだろうと思っていた。そういった土地に新しい人たちが乗り出してきて、試行錯誤しながらワインをつくっているんです。
檀 ああ、そうか。ラベルに書いてあるビクトール・デ・ラ・セルナ氏という人?
畠盛 『エル・ムンド』という、日本で言う読売新聞みたいな新聞社の副編集長です。
檀 ワイン通で有名な人が自分のワインをつくっちゃった。
畠盛 そうそう、つくっちゃった。
檀 玉村豊男さんみたいな人がつくっちゃったの?
阿川 アッハッハッハッハッハ。
畠盛 玉村豊男さんよりも、もうちょっとあの、ジャーナリストがかった人ですけど(笑)。

ゴージャス編 頁68
阿川 これはおいしい!こういうおいしさをオールド・ヴィンテージと呼ぶわけですか〜。
山本 そう、もう七十年もたっているんですよ。
檀 七十四歳。でもピークは過ぎているんでしょう?
山本 と、思いますね。これも二十五年くらいで飲んでいたら、素敵だと思う。
檀 ピークを過ぎているオールド・ヴィンテージにこだわる、その心は?
山本 また怒られるかもしれないけど……女性を例にしていうと一般的には女性って三十歳くらいがピークですよね。
阿川 私、三十から仕事始めたんですけど。
檀 だんだん話が危険な領域に入ってきたぞ(笑)。
山本 ところが、四十五か五十になってからのほうが素敵な女性だって、いくらでもいるじゃないですか。ワインもそれと同じですよ。
阿川 日本ではなかなかオールド・ヴィンテージ女が認めてもらえないんですよ。
山本 お二人ともフランスだったら二十七、八で通るでしょ。
阿川 フランスだったらもっと若いです(笑)。
山本 (焦って)二十二歳!
檀 いいえ、この方は十三歳(笑)。
阿川 「お酒飲める?」なんて言われたりするわ(笑)。
山本 そうですか(苦笑)。

だいたいこんな感じで、毎回アテンド役のソムリエさん(すべて男性)が来て、
その人のチョイスしたワイン数種を二人がテイスティングして、
覚えたはずの専門用語をまた聞き直す、というような珍道中をやります。
ソムリエさんたちの経歴を読んで、小田原にかつてステラ・マリスという店があって、
そこで蒔かれた種が当時あちこちで芽吹いていたことを知りました。
親しみのあるのは当然懐にやさしいカジュアルワイン編の新世界ワインや伊ワインですが、
ゴージャスワイン編は唯一ふたりを自分のペースにさせない江川卓との絡みが面白く、
また山田五十鈴に比せられるヴィンテージワインを読んでると、
開高健の小説もそうですが、値段にありがたがるのも肩がこると分かり、
『居酒屋ほろ酔い考現学*4の名指摘、
ビール大瓶にかけられる酒税は139円なのに百万円のロマネコンティは60円の不合理、
を余裕をもって想起することも出来ます。
「ワイン王国」*5という雑誌の2001年〜2005年連載をまとめた本だそうで、
内容もテレビで毎週芸人さんやタレントさんがやってるのとかわらん
(予算は別にして)かもしれませんが、でも、読むのもまた良いものです。
インターネット時代の情報配信量と配信速度のなかでともすれば埋もれがちな、
マイペースな発信の仕方、間隔を、
きちんと拾えるような生き方、生活をしたいなと思いました。