『田村俊子 谷中天王寺町の日々』読了

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田村俊子―谷中天王寺町の日々

田村俊子―谷中天王寺町の日々

これは、カナダに飛ぶ前の、内縁のヒモ亭主田村松魚との同棲時代を、
三田文学のひとで、近代ブンガク研究をしている筆者が、
ガンバって調べた本です。バンクーバーについては守備半径のそと。
ただ、私は、工藤美代子さんの本は、
『旅人たちのバンクーバー*1しか読んでなかったのですが、
どうやら、スーザン・フィリップスとの共著である、
『晩香坡の愛 田村俊子と鈴木悦』のほうを読まねばならないと思いました。
下の本と同じドメス出版の本だし。松魚のアメリカ生活の挫折についても、
書いてあるらしいので。

この本は専門書で、書体についてどうたらとか、本当に専門なので、
素人の読書感想としては、以上です。以上
【後報】

頁179
 俊子の人生を年譜のうえからながめると、常に同じ行動のパターンがくりかえされていることに気づかされる。それは、書くことへのいきづまり、あるいは恋愛問題を含めた人間関係などに金銭問題がからんで、にっちもさっちもいかなくなった場がやってくると、いつもその場から思い切った転換を実行してしまうのである。それはたいていの場合、よくも悪しくも遁走というかたちを取る。後年、松魚と別れる時には、原稿を書くためにこもった熱海の旅館から雲隠れしているし、カナダのヴァンクーヴァーに恋人の鈴木悦を追って渡ったのも、晩年に、佐田稲子の夫であった窪川鶴次郎との恋愛問題で中国に渡ったのも、みな遁走めいている。

そして昭和二十年四月十三日夜、上海北四川路でワンバオツー乗車中、
脳溢血で倒れ、十六日永眠。以上
(2015/5/3)