アミルスタン・ラムの
人の小説。
稲葉明雄訳*1
真鍋博カバー*2
昭和五十四年十二月初版
原題で検索すると、
女性服のアパレル
ブランドやらが
ヒットし、それも
ネタばれだろうと
思いました。
左の表紙の自作服みたいな
お固い女性も、
ネタバレなのですが、
もうそれは仕方ない。
処方箋薬の濫用と
性倒錯?の話です。
- 出版社/メーカー: Penguin Books Ltd
- 発売日: 1975/09/25
- メディア: ペーパーバック
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という古典的な笑い話があるそうですが、これを21世紀に置き換えて、
四月四日はセクマイの日、LGBTの日、とはいわへんやろなあ、と思います。
全然関係ありませんが、再生回数1,718,520の下記も検索でヒットしましたが、
これはこの小説とは関係ないし、ネタばれにもならないだろうと思います。
セコナール云々は、訳者あとがきを先に読んでしまうともうネタばれで、
正直私自身としては、錯乱とかは、当事者が音波で後日語ることのみ大切で、
テープ起こしを読んで誰かが二次創作することにどんな意味があるのか、
少なくとも勇気づける以外の意味の何が楽しいのか、疑問と思っています。
カウセリング大国アメリカの一時期を切り取った小説で、リビドーやらトラウマやら、
ああだこうだがエンタテイメントの小飾りとして散りばめられていますが、
私はそういうものより、健常者が心神耗弱責任能力なしを勝ち取るため、
必死に譫妄離脱の偽装を試みる話のほうがエンタテイメントとしては成立しやすく、
読者の共感は呼ばないまでも心理にシンクロしやすいと思います。
この小説のような、他人のセックスの趣味をわかちあうのはなかなか難しい。
序ミズ・ジーン・マイケル・エリンに
1972年、すでに、"Ms"があったんですね。このジーンは、Xメンの、「ダーク・ジーン」
ではないだろうと思いました。都立水商。
頁8
「ときどき思うんだが、そもそもきみは、なぜシェゲッツ(ユダヤ人でない男)と結婚したんだい?」
「あんたがとっても、ファックが上手だったからよ」
執念ぶかい阿魔め。それに、理由はそんなことじゃなかったんだ。まるまる自分の手でシェゲッツを産み出したかったからなのだ。父親ピーターのような、大きく、たくましく、青い目と金髪をもった男を。内面的にはモーゼス・マイモニデス(一一三五〜一二〇四。スペイン生まれのユダヤ人哲学者。エジプトに移住してサルタンの侍医、ユダヤ教団のラビとなり、ユダヤ教の再解釈、体系化をおこなった)
よく分かりませんが、主人公は米国南部のドイツ系で、アシュケナジーアメリカンの妻とは、
独逸語でも意思の疎通が出来る感じみたいです。
頁10黒い髪の莫連女
頁11顔は“芸者”みたいに白い。
頁38叮嚀な口調
頁79フロリダ州マイアミのサンシャイン大学・人文学科・准教授の地位を得たもの
⇒1972年から准教授って呼び方があったんですね。当時は「助教授」だと思ってました。
頁88以前、ノーミイ・メイラーと握手したことがあるじゃないか。
⇒ノーマン・メイラー*3の誤植?はたして検索でヒットなし。
頁105
ヴィンスはテーブルに歩いていくと、砕いた氷の山につっこんである酒壜をゆびさし、給仕にいいつける。
「ジン・トニックを頼む。ジンをたっぷりムーチョにして」
「あれはジンではございません。シュナップス(オランダ、北欧で飲まれる蒸留酒)の一種、アクァヴィットでございます」
「ジンにそっくりだが」
「アクァヴィットでございます」
給仕はあからさまな軽蔑とともに繰り返す。デンマークには失業問題は存在しないのである。
「カラウェイで香りをつけたアルコールだよ」と、わたしはヴィンスに教えてやる。「飲んでみろ。土地の味がわかるよ」
ヴィンスという男は外国を旅してまわる間ずっと、包装されたアメリカの白パンを恋しがるような手合いなのだ。ことわざにいうとおり、人を故郷から連れだすことはできても、人から故郷を取りあげることはできないのである。
頁146
ひと儲けをたくらむ黒ん坊シュヴァルツェどもには銃口でおどかされて、汗水たらして稼いだ金をおとなしく、文句ひとついわず定期的にまきあげられている男――今、わたしを憐れんでくれようというのは、そんな男なのだ。
黒い森がシュバルツバルトというのはマスターキートンで知ってますが、
(あと、オレンジに出てくる東京シュバルツ)黒人もシュバルツェとは知りませんでした。
タランティーノの映画、ジャンゴだと、ドイツ系はわりかし公正でしたが、
まあナミビアとか別に公正でもなかったし。あとドイツ系というと、フューリーを思い出す。
頁192
「ええ、一度も。しかし、かなり長い間にわたって、クリスマスには、ハヌーカ・カードを送るようにしていました。(ハヌーカはユダヤ教の祭日。ユダヤ暦の三月二十五日から四月二日まで)そのうち、あたしがカードを出すところを、被告人にみつかりました。彼はひどく腹をたてました。あたしがユダヤ人であることに、枯葉いつも二律背反的な感情を抱いていたのです。あたしたちの世界にまじって楽しんではいましたが、それを自分の家族の鼻先にこすりつけるようなまねはするなと、はっきりいってましたから」
頁225霰弾銃ショットガンが雨冠とは知りませんでした。以上