『天国はまだ遠く』 (新潮文庫) 読了

天国はまだ遠く (新潮文庫)

天国はまだ遠く (新潮文庫)

瀬尾まいこの小説を読もうとして、何がよいか適当に検索して、
アマゾンレビューが70件もついているのと、徳井が出た映画だったので、
興味を惹かれて読んでみました。183頁ですが、かなり薄く、
サクッと読めます。読んだのは十二刷。文庫版あとがき有り。
カバー装画 ひらいみも ほかの中編と組み合わせて文庫化しなかったのは、
映画化されたがゆえなのか。教員である作者の丹後生活体験が、
活かされた映画だそうで、それは読んで、ぱっとすぐに分かります。
関西人が近くて遠い北の地、日本海をめざして特急に乗り、
終点が温泉地で思いがけず開けていて、ここちゃうと思って、
その先までタクって(深夜でない料金で八千円)着いた土地。
丹後はレンタカーかタクシーでもないと行けないと私も思っているので、
ものっそ納得しました。私は丹後弁は分かりませんので、
「なんちゃない」というフレーズを、肉声で聞いてみたいと思いました。
映画を見れば、徳井が喋っているのですが、それでいいのか。
なんちゃない Forvo
https://ja.forvo.com/search/%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A1%E3%82%83%E3%81%AA%E3%81%84/
私も城崎温泉までは行ったことあるのですが、そこからは、
兵庫鳥取のほうに行きました。
ふたりっこ ロケ地 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B5%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%81%A3%E5%AD%90#%E3%83%AD%E3%82%B1%E5%9C%B0
大引きの鼻 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%BC%95%E3%81%8D%E3%81%AE%E9%BC%BB
今子浦 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8A%E5%AD%90%E6%B5%A6
鎧駅 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8E%A7%E9%A7%85
映画は見てないのであまり書くあれもないですが、
民宿のおっさんが、身体がいろいろデカいという設定なので、
徳井だとサイズが違うと思いました。ヒロインは、
加藤ローサが演じたので、小説の主人公的にはうれしかったんちゃうかな。

公式の予告編動画が見つからなかったので、宮津町の町おこしみたいな、
動画チャンネルを載せておきます。小説のヒロインは、
また出たか、という、標準語を喋る関西人です。
だからなんや、っちゅう話ですけど、読みながら、
ここは実はこういうイントネーションなのだろうか、と、
感じながら読むのは、なかなか至難の技です。私は出来ません。

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%9B%BD%E3%81%AF%E3%81%BE%E3%81%A0%E9%81%A0%E3%81%8F
読むかどうか少しためらった理由が、皆触れているから、
ネタばれもくそもないでしょうが、導入が飛び道具の部分で、
まー飛び道具は飛び道具だと思いますので、読まない方がいい人は、
読まない方がいいです。宮津町にこのスーサイドの名所がないことは、
他の方のはてなダイアリーで知りました。映画ではそこだけ、
群馬県ロケしたとか。私は座間市在住ですので、これ以上は控えます。

天国はまだ遠く [DVD]

天国はまだ遠く [DVD]

DVDの特典にロケ地マップがあるそうですが、宮津天橋立のみとか。
てゆーか、DVDは、Inspired by瀬尾まいこ「天国はまだ遠く」(新潮社刊)
とあって、それじゃ原作じゃなく原案だろう、という気がします。

百二十万円というまずまずの貯金全額引き下ろしと、
一泊千円三食付きという破格の高待遇が、長期滞在(21日)に、
経済的な余裕とそれによる心理的安定感をもたらすので、
タイのチェンマイでも雲南省の大理でもセネガルでも
コートジボアールでもいいんじゃないかと思いましたが、
ことばが通じる、のみならず関西弁で通じる、という世界観が重要なので、
国内のご近所さんが旅先に設定されたんだと思います。
言語間の壁をなかったことにしてぺらぺら通じるかのように書くことも、
可能なわけですが(特にエッセーでは)それだとつまらんし。
スマホアプリで翻訳会話するドラマがそろそろ出てもいいとは思います。

頁90
「何かその辺に、四人組のCDがあったはずなんやけどなあ」
「四人組って、まさかこれですか?」
 私はビートルズのCDを田村さんに見せた。
「おお。それそれ」
「これって、ミスチルじゃないですよ」
「そうか」
「そうかって、ほら、よく見てください。これって、外国人でしょう? しかも、この人達ってすごく前の人で、ビートルズっていうんです。っていうか、かなり有名なんですけど」
「別にええやん。結局、あれやろ? ミスチルでもビートルズでも、なんや世界平和が大事で、人は人を傷つけるけど、愛することは素晴らしい。ってな感じのことを歌っとるんやろ」

このあとヒロインのフォローの台詞が入ります。
江青張春橋姚文元王洪文の四人帮でなくてよかった。

教会の讃美歌の個所は、こんなに上手なものなのか、
作者は現実に類似した体験をしたのかどうかと思いました。
京都の北で宗教というと、大本教しか思いつかない自分の未明を、
恥じるばかりです。以上