『朱唇』読了

朱唇 (中公文庫)

朱唇 (中公文庫)

読んだのは単行本ですが、またこの単行本の表紙画像がない。版元の公式ページにもアマゾンにもない。あるのは文庫の表紙画像のみ。

装   幀 名久井直子
カバー装画 中島千波
      「黒牡丹」
D T P 平面惑星

単行本なのであとがきも解説もありません。坂木司なら単行本にもあとがき書いてくれるのですが、坂木司のサンビス精神が突出してるというだけで、普通は単行本にはあとがきはないものだと。コストの問題もあるのかな?

ほかの方のブログで見て読もうかと思ったのですが、その時点では、傾城小説集ということには気づいてなかったかと。作者が中国歴史ものを得意としていることは以前から知ってましたが、なにしろ私は宮城谷すらロクに読まないという人間なので… 一度だけ宮城谷の現物を書店で目撃したことがあり、宮城谷ファンがそのそばで天にも昇るこころもちになってましたが、そのファンはその後パワハラでひどいことになり、私は彼らの運命がそうなるだろうと知りつつ、自分も追い詰められて先にトンズラしてました。閑話休題。七編の、中国のいろいろな時代の、しかし場所はガンコにナンキンを死守して、郭の話が収められています。なんで南京、金陵で統一したんだろう。あ、でも、開封と九江の話もありました。初出はバラバラで、前世紀に発表したものが多いです。書き下ろしも三篇あります。

頁43、花々公子と、日本の繰り返し記号を用いて書いて、「かかこうし」と日本語読みでルビを振っているのが新鮮でした。ゴンズ、ゴンズ、海人ゴンズイジョージ秋山のまんが。

頁59 背心
「なかなか、君もたしかな耳を持っている。知音とは、このことかな」

私にとって"知音"とは、下記、湖北省が誇る家庭婦人雑誌です。

百度百科
https://baike.baidu.com/item/%E7%9F%A5%E9%9F%B3/2214769
国立国会図書館サーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-Ia0000053046-00
版元公式
http://www.zhiyinmedia.com/jingpinyuedu/zhiyinzazhi/
版元公式ページにイキナリ下記の文言があるのは、下記産経新聞報道の事情があるからです。

新时代 新征程
认真学习贯彻党的十九大精神
知音杂志 2018年5月下半月版 深渊之中烟火之间: 两个光头闺蜜红尘恋恋 罗曼 2017年3月,贵州女孩张黔艳在重庆市沙坪坝区新桥医院被确诊为高危急性白血病,如不治疗,几天之内就会香消玉殒。而张黔艳的父母...

産経ニュース 2017.11.9 01:01
共産党大会の「精神」を深く学習するよう要求 習近平国家主席が新聞協会に祝電で
https://www.sankei.com/world/news/171109/wor1711090015-n1.html

226、遊冶郎と書いて、あそびにんとルビを振っています。

遊冶郎(ユウヤロウ)とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E9%81%8A%E5%86%B6%E9%83%8E-651248

頁96 牙娘
「ああ、所由たちか」
 所由とは下級の吏のことで、進士たちの世話役をもそう呼んだ。官といい吏というが、官が試験を通過したいわば上級職なのに対して、吏は役所の下働きとして採用された下級職で、官へ出世する可能性はない。資格もこれといってあるわけでなく、顔のきく無頼が吏となることもままあった。
(後略)

ままどころじゃないと思いますけど。中国は何千年もこんなで、変わらないんだなあなんて思ってるとスマホ決済国家に目を白黒。以上